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1.我にとっては幸運であった

「あーくそっ!」


荒い息をつきながら,悔しさから悪態をつく.

今回もまた勝てなかった。


競争相手は幼いころからの腐れ縁のハヤト。

今は向こうのほうで女子たちに囲まれながら、爽やかな笑顔を振りまいている。

ちょっと背は高くて、顔は整っているかもしれないけど、笑顔をばらまいているだけのあいつのどこがいいのだろうか。


こちらに気が付いて、どや顔をしてきたが、いらっときたのでこちらは、中指を立ててやる。

昔は、アヤちゃん、アヤちゃん言いながら後ろを付いてきて、かわいかったものを今ではなんと癪に障るやつになってしまったことか。時の流れはザンコクだ。


「お疲れー 今日もかっこよかったよーあやめちゃん!!」


そう言って私にタオルを手渡してくれたのは、同じクラスの友達のキクちゃん。

高校に入ってから何かと関わる機会が多くて、今ではクラスで一番仲のいい友達だ。

何かと持ち上げてくるので、少し恐縮してしまう。

というよりか、体力測定のただの100m走にかっこいいも悪いもあるのだろうか。


ハヤトに負けてる時点でかっこいいも何もないというと、


「アヤちゃんはかっこいいからーハヤト君とか関係ないのー!こだわりすぎだよー!」

とフォローしてくる。


ちょっと意味がわからない。


でも、ほかの男子はどうでも良いが、ハヤトにだけは負けるのは悔しい。

男女の体格の差だとわかっていても、納得がいかない。

ハヤトのくせに。


キクちゃんはそのあとも教室に戻るまで、かっこいいを連呼していた。

しつこいよ!



===============


「最近、神隠しが流行ってるらしいよ」


その日の帰り際、あいつは私に近づいてそういった。


「隣のクラスでも、突然いなくなったやつもいるらしいから気をつけろよ?」


いうだけ言うと、じゃあ、と言って部活に行ってしまった。


部活はなかったたため、珍しく一人で帰っていた。

いつもなら、途中まで一緒に帰っているキクちゃんも用事があるとかで、今日は別々で帰っている。


忠告もあったが、しょせん都市伝説レベルの噂話でしかないだろう。と無視してやった。

隣のクラスに確かに数日休んでいる子はいるが、風邪だと聞いているし、見舞いに行った子もいると聞いている。問題はないだろう。


あいつのことから、昼間のことを思い出し、悔しがっていると、突然後頭部に軽い衝撃を受けて、振り返るとちょっと離れたところにぼろぼろの熊のぬいぐるみらしきものが落ちている。


拾い上げて、周りを見渡すがあるのは家々。態々当てるために家の窓から投げたのだろうか?


疑問に思っていると、手元からおっさんくさいうめき声が聞こえる。

みると、拾ったぬいぐるみが動いて、こちらを見た。


「なんでここに人が。。。?」


ぬいぐるみは時代劇でも出てきそうなとても渋い声で言った。


驚いて思わず地面に叩きつけてしまう。


アスファルトで軽くワンバウンドしたぬいぐるみは、ぶへっと言いながら、動かなくなってしまった。


まずいと思って、拾おうとしゃがむ。


「ちょっと、そこのあなた。ここらへんで、変なぬいぐるみを見ませんでしたこと?」


唐突に後ろから声をかけられ、飛び上がってしまう。


振り向くと、フリルのふんだんにあしらったドレスを着た少女が片手を頬に当て、若干首をかしげて、微笑んでいた。


年は自分と同じくらいだろうか。しかしながら、有無を言わせないような威圧感があり、それが辺り一面に肌を刺すような緊張感を生んでいた。


おそらくは、とっさに後ろに隠したこのぬいぐるみのことを言っているのかもしれないが、なぜだか渡してはいけないような気がして、知らないと答えてしまう。


「そうですの。」


その少女はあっさりと下がって、「ありがとう、ごきげんよう」と微笑みながら、通り過ぎていった。


ほっとしていると、突然足元で地面がはじけ、後ろに倒れてしまう。


「ごめんあそばせ。やはり、あなたが持ってらしたのね。」


日傘を銃のように構えた先ほどの少女がたっていた。

彼女の視線をたどると、熊のぬいぐるみが転がっていた、転んだ時に落としたようだ。


「嘘を吐く子は悪い子。」


少女はくすくすと笑いながら、再び傘をこちらへとむける。


「悪い子にはお仕置きをしなければなりませんわね?」


彼女がそういうと日傘全体が光を帯び始める。


「でも単に巻き込まれてしまっただけのようですし、せめてもの情けに苦しませずあの世に送って差し上げますわ。」


とっさに腕で顔を覆う。


「では、またいつの日かあの世で。」


日傘からバレーボールほどの光球が飛び出し、まっすぐこちらへと飛んでくる。

アヤはぎゅっとめをつむり、死を覚悟した。


「すまない。」

渋い声が聞こえたと思ったら、とてつもない轟音とともに、視界が真っ白に染まる。





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