おじさんパート2観察
この少年は深い、とても深い眠りについている。
数日経ってなお目を覚ますことはない。
驚くことに、発見した次の日には細かな傷が癒えていた。すさまじい回復力としか言いようがない。
もしかすると腕や足が千切れようとも再生されるかもしれない・・
だが、その反面体のやつれていくスピードが速い。
再生する事で体の中のエネルギーを大量に消費するのだろう。
燃える物が無ければ消えてしまう炎の様にこの少年もあのままだと死んでいただろう。
私のとれた行動は独学の医療行為だけ・・・
自慢ではないが今の医学は比べると遥かに劣っている。
病気1つとっても『悪い血を抜く』といった考えられないものや、根拠のない迷信やどの植物かもわからない乾燥させた粉といったものばかり。
中には本当に効果の有る物もあるのだろうが・・・
この村ではいちを薬師という事になっている。
薬師とは薬の調合師であり病気や怪我に合った薬を処方する医者の様な存在だ。
効果のある薬草を用意する。もしくは他のものを混ぜてより効果の良いものにするといった具合だ。
まぁ正確に言ってしまうと錬金術に近いのかもしれない。
錬金術とは石を金に変える術である。元のものから別な物へと変換させたり作り出すことである。
私の場合は効果のある薬草からその成分だけを取り出し薬を作り出している。
そしてそれを体に効率よく取り入れる方法も
残念なことに自らの体で体の構造や仕組みを理解する機会が多くあった。
体を癒す方法を理解し学ぶ必要があったのだ。
さて、話をもどそう。
この少年に施した治療
それは体に直接、栄養分の入った管を繋げる事
本来なら血管に繋げなければならないのだが、この少年の場合は少々異なった。
傷を塞いでる何かに管を繋げたところ、ストローで液体を吸うように栄養分を吸収しだしたのだ。
そしてその量は異常だった。
一体、この少年の体のどこへ消えて行っているのか・・・・
それでも少年の血色や顔色が良くなっていくのを見ると確かに効果を与えている。
それを見ると安心し胸をなで下ろす
・・・・・今私はいったい何に〝安心″したというのだ・・・