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亡霊  作者: 冬影
4/6

4.悪魔

私は知らなかった

この世界に幸福があることを

そして気付いた

幸福になれるのは、人間の皮を被った悪魔だけだと


かつて悪魔は要求した

労働を

快楽を

何の意味も無い、この命を


そして悪魔は齎した

暴力を

嘲笑を

生まれてすぐに、死んだ子どもを


私は子どものために泣くこともなく

自分のために泣くこともない


これが当たり前なのだ

これが私への罰なのだ

きっと誰かが罪を犯し

それを私が贖っている

だからただ耐え祈るだけ

どうかお赦し下さいと


歳をとり、焼き殺されて、私は知った

この世界の、別の場所

幸福そうな、悪魔たち

あぁ憎らしい!

どうしてお前たちは大声で笑えるのか

どうしてお前たちは涙を流して抱き合えるのか

どうしてお前たちは穏やかな寝顔で眠れるのか

そして辛い、死にたい、などと、言えるのか


悪魔たちめ!

この世界はお前たちのものではない!

今に必ず、神がお前たちを裁くだろう!

そして耐え忍んだ人間たちを、約束の地へと連れて行って下さるだろう!

心して待つがいい!

それまで私はお前たちを、地獄に落ちろと呪い続ける!


 この作品のメッセージを誤解されたくはないので断っておきますが、初めから一貫して、語り手たちは筆者の代弁者なのでは無く、また必ずしも「正しい」人たちでもありません。

 幸福を感じている人を、または現実に辛い、苦しい思いをしている人たちがそれを表明することを、批判する意図はありません。


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