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剣の神器使いの諸々~其の1~

剣の神器使い編。


始まり、始まり~☆

剣の神器使いの居る国、イザーク。

岩石砂漠と断崖絶壁、猛獣跋扈の山と谷。自然の要塞とも言われるほど侵略者に容赦しない。

この国の人々は、ただそれを享受するだけではなく、積極的に自衛に勤しんでいる。主に武力。更に言うなら剣技に特化していると言っても過言ではない。

その国の訓練場は物々しい様子である。


大岩のような大男は、大剣を手にし、縦横無尽に振り回す。

対するのは、男の胸ほどもない、横幅の半分程もない、厚みの3分の1程もない華奢で小柄な女性。


名をサキ・フジワラと言う。


黒髪黒目、象牙色の肌に、申し訳程度の凹凸。パッチリ二重の目は垂れ気味で、その下には泣き黒子。低めの鼻と、プックリした唇。その右下にも黒子。儚げに立っていれば、庇護欲を掻き立てそうだが、倭刀(やまとう)を持って、大男と対峙し、尚且つ激しくやり合う様は、あんぐり大口開けてしまいそうだ。


「なんだぁ?手も足もでないのか?稀代のソードマスター様が名折れだなぁ!」

「女だからか弱くていらっしゃる。叙勲はどういった手を使われたのかなぁ!」


野次馬剣士から婦女子が聞けば耳を塞ぎたくなるようなヤジがとぶ。

サキは慣れたもので、野次馬をチラリと一瞥するだけで、顔色も剣筋も変わらない。

男の太刀筋を刹那に読み、のらりくらりとかわす。

それが何度も繰り返されると、男の身体中から汗が滴る。ギラギラした目は血走ってきて、口許が奇妙な笑みに歪む。


・・・頭のなか、何かヤバイ系の何か、出てきてるのかなぁ。


避けながら観察する。

サキは汗もかかず、呼吸も上がらずまだまだ余裕である。


・・・打ち合って倭刀、歯こぼれさせるの嫌なんだよなぁ。


構えていても一斎手を出さず、ただ避けまくっていた。

理由は単純で、


「くぉら、サキ!てめぇ、汗が気持ちわりぃとか、歯こぼれが嫌とかでやりあわねぇのはどう言うことだ⁉」


突如あがる怒声。

人影は豆粒なのに、やたら透る声に、デカイ音量なので一言一句聞こえる。

野次馬が真っ青な顔でそっちの方を見る。

大男は気がつかないらしく、攻撃の手は止まない。

声の主がツカツカ寄ってくる。


・・・嫌、どうもこうも、理由わかってんじゃん。


大剣を避けながら密かに突っ込む。


「だったら模擬剣貸して下さいよ。」

「てめえにゃこれで十分だ。」


投げ込まれたのは肘から指先までの長さの木の枝。太さは指2本ぐらい。

直ぐに倭刀をしまうと迫り来る大男の一撃を避け、ついでに足払いで派手にスッ転ばせ、土煙を巻き上げる。

枝を手にする。


・・・遠慮、手加減しなくていいんだ。


口許が歪む。

立ち上がった大男が突進してくる。

さながら猪のようだ。

大振りでかわされて、がら空きの左脇の下に正確に枝を叩き込む。


「ぐっ、がっ‼」


大男は白目をむいて昏倒した。


「おー、お前ら。心肺蘇生してやれ。」


内容に対して緊張感のない声で伝える。

野次馬はあわてて駆け寄ると、処置を始めた。

それを横目で見て、サキに近寄る。


枝を捨て、深呼吸する。軽く頭を振って見上げる。

金髪金目、褐色の肌に熊のようにガッチリした体躯。ガッツリはだけた胸元からは鍛えられた大胸筋と腹筋が見える。

金の双眸をギラリと光らせ、口許に不敵な笑み。丸太のような腕を組んで見下ろしてくる。


ゲラルト・ムツキ。

現在の剣の神器、バルムンクの使い手である。


「サキ・フジワラ。お前に今日付けで命令が出た。これは勅命書だ。心して掛かれ。」


投げ渡された勅命書を受け取る。

サキ宛の名前と、王の封蝋がされている?


・・・ん?


よくみると、物凄く観察すると、微かに封を解いた跡がある。

試しに開いてみると、思ったより簡単に開いたそれ。

封蝋を開いただけで固まったサキに、「早く、早く☆」と訴える何かが突き刺さる。


・・・開けたくないなぁ。見たくないなぁ。


「後で部屋で一人で見ます☆とか無しな。」


地を這うバリトンが極近くでした。

顔をあげたら敗けだ。

ため息をついて広げたそれ。


『ヨルバにて待つ。』


直ぐに勅命書を燃やす。

灰になったのを確認して、ゲラルトを仰ぐ。

この上なくいい笑顔で、


「勅命、確かに賜りました。早速準備にかかりますので、此にて失礼いたします。」


くるりと踵を返すと、一目散に宿舎に戻る。




必要最低限の荷物を持って、愛刀と鋼の剣を差して、準備万端。

窓から屋根を伝い、厩舎の馬に跨がり、全速力で駆ける。

夕日が沈み始めた頃、小さな町に着いた。

適当な宿に目星をつけ、馬を繋ぐ。通された部屋で荷物を下ろしたとき、


「俺おいてけぼりって、酷くね?」


後ろから抱き締められ、耳許で甘くささやくバリトン。

ご婦人方なら腰くだけかもしれない。

サキにとっては腕は脱出不可能、反撃不能で身動きが取れない。

声は地獄への招待だ。

背中に冷たい汗が流れる。

足掻いても、足掻いても腕が弛むことはない。


「ちょっ、ゲラルト隊長!何してるんですか⁉確か別件で忙しいはずじゃ⁉」

「そ。俺、隊長だから忙しいの。でも隊長だから部下使って纏めれば事足りるの。」


まるで明日の天気を話すようにさらりと言った。

ゲラルト率いる実動部隊は、辺境の紛争鎮圧に駆り出された筈だ。

今日付けで。

だのに、何で対極にあるサキの方に来たのか。


「そりゃなぁ。楽しそうだからじゃねぇか。」


元隠密特殊部隊出身。

サキは頭を抱えるのであった。




水の方では「何だかなぁ」だったので、刻んでいきたいと思います。


できるだけ定期で送り出したいのですが、・・・んー、どうでしょう?


読んでいただきありがとうございました。

ではまた水曜日に。

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