レオの病気
「ん・・、朝?」
眩しい光に照らされ、目が覚めた。ふと横を見ると、レオはいなかった。どこへ行ったのかと思い、服を着替え、部屋中を探した。
やっと見つけたのは、窓際だった。ちょこんと座り、青空を見つめていた。手にはスケッチブックと鉛筆を持っていた。
「どうした?」
いつの間にか、こっちを見ていた。私は、首を横に振って、何でもないって言うと隣に座って、首をレオの肩に預けた。
「琳華。・・・、結婚しよ?」
今のは、空耳だろうか?それとも現実・・・?もうどっちでもいいよ。私はそう思い、頷いた。
「琳華。実はな・・・。こっちに来る前に、旦那様と奥様に、琳華の事頼まれてたんだ。『娘をたのむ』って。」
「えっ?」
「『あの子は、私達にとっても大切な子なの。泣かせたりしたら、許さないわよ』って。剣幕で怒鳴られた。」
知らなかった。お母さん達、そんなこと言ったの?
親馬鹿だなぁー。って、親らしい事、何もされずに育ったけど・・。顔を合わせた時、二人で笑いあった。
その後、レオに指輪を渡してくれた。
「綺麗だね。指輪・・・。」
「あぁ。」
目線を合わせながら、笑いあった。するとレオが突然苦しみ出した。
「レオ・・・、れおぉぉっ。」
救急車を呼んだ。私は泣きながら、レオの背中をさすった。
「レオ・・、大丈夫?レオ・・・、レオっ。」
ピーポーピーポー
救急車の音がして、救急隊員さんが、うちに入ってきた。私は、レオを抱えて、そっちに走った。
病院についた後、医者に呼ばれて、私は話を聞きに行った。
「ここに、腫瘍がありますよね?音橋さんは、ガンです。」
「・・・?」
嘘っ、嘘でしょ?目元から、熱いものがこぼれ落ちた。
私は、ようやく落ち着いたレオの所に辿りついた。私は、レオの顔を見た途端、枯れていたはずの涙が、追うようにこぼれ落ちた。
「れおぉ。」
レオに抱きついた。強く抱き締めた。
「どうしたんだよ、琳華?」
黙ったまま、何も言わない私を、抱きしめて、頭を撫でた。あの時、全部流し切った筈なのに・・・。なんでこんなに、涙が出るの?
「そっか。言いにくかっただろ?ありがとな?」
ありがとうなんて、あなたに言われると、切ないよ。サヨナラなんて、言わないよね?絶対に。
「俺・・、もうひとりじゃ無いんだな・・・。」
私の手を握りながらそう言った
「当たり前だよ?」
レオは、一人じゃないよ。これからも、ずっと。
5年後
「ママー、パパー。」
私達は、海に来ていた。レオは、今有名なデザイナーになった。ガンは、克服できて、今は、頑張ってる。わたし達の子供、大きくなったら、何になるのかな?
「なぁに華蓮?」
「どうした?」
「大好きだよ。」