出会い
家に帰ってから、独りで泣き明かした。家には、誰もいない。私以外・・・。父さんも母さんも、イーストランドに住んでいて、毎月、食糧費と、家賃代、ガス料金に水道料金、電気料金を合わせて送ってくる。全部で、50万ぐらいだろう。こんなに、送って来て、私一人でどうしろって言うの?せめて、家政婦ぐらい雇ってくれても良いじゃない。もう・・・、こんな生活・・・、嫌だ。そんな時だ
った。
ピーンポーン
誰かが、インターフォンを押した。私は、鍵を開けた。そこに居たのは、知らない男の人だった。執事のような服。イケメンメガネ男子って感じ。
「奥様に頼まれて参りました。音橋怜央です。・・・、お嬢様。泣いていたのですか?」
そう言って、目に溜まっていた涙を拭き取った。レオはいつでも、そうやって崖端から、私を助けてくれたね。私は、レオさんの胸に抱きついて、泣き出した。今まで貯めていた涙を、流し着るように。最初は抱きつかれて、オロオロしていたレオさんは、私の頭を撫でながら、何回も大丈夫と呟いた。
初めて会った人に、あんなどう仕様もない姿見られちゃうと、何話していいか、分からなくなるなー。学校では、猫も杓子も被っているけれど、何故か、怜央さんの前では素直な自分に戻ってしまう。何でだろう。昨日初めてあっただけなのに・・・。
「ねぇ?玲央さん。貴方とあったの。昨日が初めてなの?」
一番気になっていたことを問いかけた。
「いいえ、昔に1度だけ。その時も、泣いておられましたね。」
懐かしむように、空を見上げた。
それは、琳華が3歳の時だった。レオは、琳華の父に拾われ、ここの執事になった。それはレオが十三の時。つまり、十五年前のことだ。
あの時、ないていた理由は、イジメられたからだった。お金持ちだからって調子に乗るなとか、人をからかうなとかって、言われたらしい。苛められたのを聞いてない両親は、琳華を放って仕事をしていた。その時は、一人でいるのが怖いって言われて、レオは一緒に居た。そう、まるで今日のような感じだった。再開が一緒じゃ、レオもビックリするのも当然だ。
「あれ、お嬢様・・・?寝てしまわれましたか・・・。」
レオは、胸元まで布団をかけると、ほっぺにキスをし、おやすみなさいとつぶやき、部屋を出た。
「ん・・・?朝・・?」
神々しい光が顔に当たり、目が覚めた。昨日は、泣き疲れたあとお風呂に入ったから、あまり腫れてはいなかった。
「良かった・・・。あっ、学校の準備しなきゃ。」
ギギィ。
ドアが開く音がし、レオさんが入って来た。
「お嬢様。今日は、学校ではありませんよ?」
えっ?嘘ー?今日は・・・。
あれ?土曜日〜?勘違いだったのかな。
「レオさん、朝食は?」
「出来ていますよ。奥様から、お嬢様の好きなものを聞いていましたので、好物ぞろいですよ。」
「ありがと、レオさん。」
「美味しかったよ、レオさん。ありがと。」
「いえいえ、褒められるほどのことは、していません。お嬢様、今日はお出かけにならないのですか?」
「あっ、じゃぁ付き合ってくれない?」