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黄昏のエッダ  作者: 羽月
終末
103/104

生還

「いや、妖魔も含めての、EARTHの生態系、というか、我々は、この星に関与できなくなってしまった、というか」


「えええ、なんだよそれ、面倒だろ、ちゃっちゃと全部消してくれよ」


「うわ、そんな事言うんだ? ロキって、そういうトコあるよな」


 背後からかけられたエンの言葉に、ロキが不審そうに振り返る。レヴィも寂しげな、怒りを湛えたような表情でロキを見ている。


「我々はもう用無し、お払い箱、というわけか」


「せっかく眷属になったばっかりなのに」


「ひどいよ、ロキ」


「え、ちょっと待ってよ、何それ」


 アキとフユにまで詰め寄られ、狼狽しながら高城を見る。


「妖魔の実体化をすべて初期化する事は、不可能ではない、かな、かなり複雑な手続きが必要だが。ただ、そうなると、当然、彼らも消える」


「だっ、だめだめだめだめ、それはだめ!」


 慌てて否定するロキに、周りから笑いが起こった。

 高城は微笑みながら、ロキに手を伸ばす。


「その指輪を借りられるかな?」


「これ? ヴォルケーノの、証」


「管理プログラム達の記憶はすべてバックアップが取ってあるんだが、思いというものは、我々の技術力を持ってしてもデータ化するのは困難で、コピーして移植する事はほぼ不可能なんだ。

 彼女は、実体が消し飛ぶ前、同じ空間に自分の証を見つけてね、そこに思いを隔離し、保存する事ができた」


「え、じゃあ」


「その証の中に、彼女の思いはある。

 それがあれば、彼女を、ほぼ以前のまま復活させる事ができる」


 ロキは少し潤んだ目でぱっと表情を輝かせた。高城はロキからオレンジ色の石がはめ込まれた指輪を受け取り、表情を厳しくした。


「この世界は、全てが繋がり、影響し合って秩序を保っている。

 覇天は、それを切り取る刀。

 使い方を間違えれば、この星の自然環境、生態系は崩壊する。

 これからも、その刀の力を欲する者が現れないとも限らない。

 どうか、気を付けて護っていってくれ」


「けど、俺、ぶっちゃけ自信ないんだけど。そんな、大事な役目なんて」


 ロキが畏縮して俯くと、高城が、ふふ、と笑いかける。


「そうだな、いきなりこんな事を言っても無理があるな。

 では、もう一人守護を増やす、というのはどうだろう。

 誰か適任者に心当たりはないかな?

 覇天の扱いに慣れ、それなりの力を持ち、この星の歴史や自然環境などに詳しい者。

 君は、火属性、水属性の眷属を持つ。

 今度新たに、土と光の属性を持つ眷属も手に入れた。

 できれば、違う属性の者がいいだろうな」


 ロキはぽかんとして眷属たちを振り返る。

 幼い海龍と風魔が慌てて手を振る。


「君は海龍を持っているし、僕じゃない方がいい。

 覇天の扱いなんて、やったことないし」


「僕は、風属性だけど、だめだよ、土地の守護者で眷属にはなれないから」


 エンがにやりと笑って、


「心当たりがあるんだろ?」


 といった。

 ロキはこわばった表情のまま胸元の石に触れ、高城に向き直った。

 ロキと視線が合うと、微笑んで、ゆっくり頷く。溢れた涙が、ロキの頬を伝って落ちる。


「あるよ、心当たり。眷属になって欲しいヤツが」


 後は、涙に胸が詰まって言葉にならなかった。

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