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童話パロディ企画。

※全てif話。物語の進行上にはまったく関係ございません。

※書きたかったからかいた、それだけです。苦情は受け付けません。


・童話シンデレラモチーフ。世界観はファンタジー。

・今回は男サイド。女の子達ほどギャグでもない。しかも落ちないグダグダ感。

・しかも続くよ、どこまでも。

・突っ込みは受け付けませんww。

・キャストは以下のとおり。

 王子様→蒼矢透

 魔法使い→紅原円

 元魔王→緑水絆

 貴族1→黄土統瑠

 貴族2→黄土翔瑠

・キャラ崩壊しているかも?気をつけてご生還ください。

・本編のネタバレ要素はありませんが、本編読後がもちろん推奨

 その日、宮廷魔術師に席を置く紅原は悩んでいた。

 城の回廊を歩きながら、考えを巡らす。


 悩みの種は先程植えつけられたものだ。

 紅原は宮廷魔術師を古くから排出する家系に生まれたが、生まれながらに魔力が低く一族から落ちこぼれの扱いを受けていた。

 とはいえ、少ないながらも魔力があることと紅原の名前とが彼を宮廷魔術師以外の職につかせることを拒んだ。

 紅原自身も積極的に運命とやらと戦う気もなく、ずるずると現在下っ端の雑用係のようなことをするに至っている。

 さきほど呼び出された宮廷魔術師長の部屋で聞かされた命令は正直、魔力の少ないながらも小手先だけは器用な紅原にとって難題ではない。

 だが、命じられた内容が内容なのであまり、気が進まなかった。


「おい、円。ちょっと待て」


 考え事をしていたせいで、呼び止められた声にぎくりとする。

 だが、顔には出さずに、ゆっくりと振り返った。


「ああ、王子。ご機嫌麗しゅう」


 へらりと笑うと、呼び止めた紅原が仕える蒼矢国の美貌の王子、蒼矢透が顔を顰めた。


「何がご機嫌だ。そう見えるのか?」

「いや、そうは見えまへんけど。なんですか?こんな城の廊下で俺みたいなのと話していたらまた怒られますよ?」

「……言いたいやつには言わせておけ。それにお前は俺の従兄弟で歴とした貴族で宮廷魔術師だ。

 俺と話をするのになんの不足がある」


 実は蒼矢の母親、つまり蒼矢国王妃は紅原の叔母にあたる。

 家系だけ見れば確かに蒼矢の言うとおりなのだが、一族から落ちこぼれ扱いされる紅原と王子である蒼矢が一緒にいるのを見て顔をしかめるものは多い。


「それとも、なにか?お前は俺と話をするのがいやなのか?」


 言われて、内心では舌打ちしたくなった。

 宮廷魔術師として地位の低い紅原にとって王子は仲良くしていたい最有力の相手だった。

 従兄弟としても友人としても決して嫌いではないが、実は現在の悩みの種の対象であるため、目の前にした相手ではなかった。


 宮廷魔術師長が命じたことは、来年成人を迎えるこの目の前の蒼矢国の王子の花嫁を見つけるための支援をすることだった。

 とどのつまり、宮廷魔術師一人につき一人以上、女性を見繕い、魔法なりで飾り立て王子にあてがえというものだ。


 蒼矢国の王子は見目麗しいことで有名な王子だ。

 生半可な美貌の女性では隣に並び立つことも直視することも難しいとも言われる。

 同じく美貌で名高い元魔王、現在ではなぜか勇者の託宣を受けた蒼矢国の女性と舞踏会にでるために城に滞在中の緑水王とはまた違った印象なのだが、どちらも綺麗すぎて近寄りがたい印象は同じだ。

 とはいえ、王子がモテないわけではない。

 元魔王と違い、それなりに女好きで優しい性格のため、一夜限りの遊び相手としての女性たちには人気だ。

 しかし、その美貌ゆえ、常に隣に寄り添おうとする女性はいない。

 過去何度か周囲があてがおうとしたが、そのどれもが彼の美貌と自身を比べて欝になり数日ももたなかった。

 そのため、業を煮やした城の者が「誰もでもいいから、王子と並んでも図太く一緒にいられる女子なら誰でもいいから王妃になってくれ!」という半ばヤケクソ気味に国中の妙齢の女性にお触れを出したのが今日行われる舞踏会の内幕だった。


 宮廷魔術師といっても、あまり魔力の高くない紅原にとっては、これを機に発言力を高めたい気はするが、さりとて目の前の友人でもある王子の相手なので、早々おかしな女をあてがう気にもなれずどうしようかと考えあぐねているのだ。


「そんなことはありまへん。光栄なお言葉ですよ。で、なんの相談ですか?今夜の舞踏会を逃げ出す算段なら聞けませんけど?」

「……いやなことを思い出させるな。せっかく頭から追い出していたのに」


 やはり、王子も気が進まないらしい。

 まあ、そうだろう。半ばやけくそな花嫁探しだが、王子にかけられた責任は重い。

 王族として妃を娶るのは義務だ。

 まだ遊んでいたいと言うのもあるだろうが、今夜、皇太子妃を決めなければ蒼矢の皇太子としての資質を問う声が湧き上がるだろう。

 それを避けるにしても今夜中に決める必要性があった。

 だが、紅原は知っていた。

 それなりにこの美貌の王子も傷ついているのだ。

 自身の隣を歩こうとする女性がいないことを。

 半ば諦めてはいるが、希望を捨てきれない。

 今夜会えれば、それに越したことはない。

 だが、今夜のようにしらみつぶしの舞踏会ですら会えないというのなら、ほとんどそれは絶望に近い。

 僅かな望みにすがりついているように紅原には見えた。

 とはいえ、プライドの高い王子にそんなこと指摘しようものなら怒らせるだけだ。

 紅原は軽い調子で返すことにした。


「それはそれは失礼しました。ですが、楽しめばええやないですか。女の子好きの王子としては」

「お前、それ嫌味だろう?…後腐れのない相手なら気楽だが、今回は王妃候補を見つける舞踏会だ。

 どの娘を選ぶのか、一々ダンスを踊る相手すら一挙手一投足がみはられる舞踏会なんて楽しみでもなんでもないだろう?」

「俺としては、早々に王子には落ち着いて欲しいところなんですけどね。

  あ、でもそれなりに相手の地位なんかも考慮に入れてダンスは申し込んだほうがええですよ?

  お隣の岩崎国の王子はどうも我が国の庶民に入れあげて、王妃にまでしようとしているとかで、もめているそうですから。

  廃嫡の危険もあるとか」


 最近仕入れたネタだったが、王子の顔に驚きはなかった。


「ああ、聞いた。あの方はもっと敏い人だと思っていたんだが、わからないものだな」

「……恋とはそれほどまでに人を狂わせるものなのかもしれまへんね」

「……なんだ、今日はえらくロマンチックなことを言うな」


 王子の笑いを含んだ言葉に、紅原は笑顔を貼り付けた。

 実際には笑えないはなしだ。

 紅原の両親は恋をしてその身を破滅に追いやった。

 父親は将来を嘱望されていた魔力の高い男だったが、とある村娘に恋をしたことでその魔力がなぜか減退した。

 そのことで一族から母親は責められ、紅原がさらに魔力の少ないことも相まって精神を病み、今では父親とともに一族も知らない秘境でひっそりと暮らしている。

 年に数回ばかり届く手紙に近況が綴られているが、会うことは叶わない。

 まさに恋に狂った両親の姿を見てきた紅原には決して笑い事ではなかった。

 だが、今そんなことを言い出すのはお門違いもいいところだ。


「いえ、別に。それより雑談しに来たわけやあらへんのでしょう?なんですか?」


「………実は、岩崎国からの輸入品リストのことなんだが」


 王子の言葉に瞬間苦笑いが浮かぶ。


「あ…ああ、あれですか。…実は妙さまに密輸入がバレまして。当分は差し控えたほうがよろしいかと」


 妙とは王子の乳母兼侍女頭の老女だ。

 それなりの年齢だというのに未だ衰えを知らない老獪な女性で幼い王子とともにイタズラをしてはこっぴどく怒られたので紅原も苦手としていた。


「な、なんだって?くそ、バレないようにうまくやっていたと思ったんだが」

「やっぱりあの方は侮れまへん。ただの侍女長かと思いきや、貿易のことまで熟知してはるし、いやはや、太刀打ちできまへんわ」

「くっ、おのれ妙め!じゃあ、次はいつ再開できる?」

「当分は差し控えたほうがよろしいかと。…そもそも子供向けの生菓子をわざわざ密輸入するのはどうかと思いますけど」

 わざわざ密輸入してまで王子が欲しかったものとは、となりの国で大流行りの生菓子だった。

 正直甘すぎるそれは紅原にとっては、一口食べればもう一口とは行かないものなのだが、王子はそうではないらしい。

 自身の部屋に専用の保管庫を作らせるほどの熱狂ぶりだ。

 とはいえ、子供向けに作られたそれを表立って好きなものと言うのは恥ずかしいらしく、城でもこのことを知っているのは密輸入に関わった紅原と妙だけだった。


「うるさい!個人的に輸入してたのがバレて、表立ってできなくなったんだ。仕方ないだろう!」

「それは王子が食べ過ぎたせいでしょ?それにしても飽きないんですか?あんなに甘ったるいもの」

「飽きるか。あんなうまいもの。」

「…さいですか。まあ、輸入できないなりに、今日我国の菓子屋に似たものを作らせて舞踏会に納品させる算段はつけてます。

  どうせ、舞踏会では食べれないでしょうから、それの一部を部屋にお持ちしますよ」

「ほ、本当か!さすがは円だな!恩に切る!」

「それくらいならお安い御用ですよ」


 にこやかに請負いながらも、隣国の王子が入れあげているという女性を見に行ったついでという理由は黙っておく。

 そう言えば、あの店でたまたま見かけた二人連れの女性のことを思い出す。

 黒髪の背の高い女と小柄な女。

 姉妹らしかったが、どうも小柄な方が姉らしくちぐはぐな印象を受けた。

 背の高い女はイマイチ地味な印象だったが、姉の方は中々の美少女だった。

 店主の娘らしき女と楽しそうにしていた印象から、知り合いなのだろう。

 今から王子にあてがう女を新たに見定めるのも面倒だ。

 あの姉妹のどちらかを探して適当に支援して舞踏会に送り込めば、面目は立つ。

 あの二人のどちらかを支援対象としようと紅原は決めた。

 決めたからには行動は早いほうがいい。

 王子の前を辞去するよう話を振ろうと口を開く。


「それより殿下、今日の舞踏会の準備とかええんですか?」

「舞踏会なんて男は添え物だろうが。別に準備なんて…」

「……ありますよ。がっつりと」


 突然聞こえた声に紅原は背筋に悪寒が走るのを感じた。


「た、妙…いつから」

「黙らっしゃい!今日の主賓が何を油を売っているんです?

  それに宮廷魔術師殿。王子の相手をしているより貴方にはやるべきことがあるでしょう!」

「あ、はーい。そうですね。…じゃ、俺はここで…」

「ちょ、円!お前、俺を見捨てる気か!」

「さあ、透様!さっさと行きますよ!お前たち!」


 妙の言葉とともにどこから湧いたのか、侍女が突然王子を取り囲んで押していく。


「さあ、王子様。お召換えを」

「舞踏会の最終調整にダンスの先生がみえられていますので」


 わらわらと口々に囲む侍女たちに、王子は慌てながらも彼女たちを押し戻せない。

 こんなところは実に女性に優しい。

 たまにそこが残念だと言われるが。


「ちょ、まだ夜まで時間があるだろうが!」

「ええい!往生際が悪いですよ!王子!そんな悠長なことしていられません!観念なさい!」


 呆気にとられる紅原を尻目に乳母と王子の攻防は激しさを増し、そのまま回廊の奥へ消えていった。


「…まったく、いつでもこの城は騒がしいですね」


 突然背後から響いた柔らかな声に紅原はぎくりとした。

 一見優しげながら、その魔力を帯びた声に紅原は背中に冷たい汗が流れるのを感じる。


「…これはこれは、魔王陛下」


 ゆっくりと振り返る先に美しい金糸の髪が明るい午前の光の元ふわふわと舞っている。

 長いそれをゆるくまとめたその姿はまるで童話で白馬に乗っている風情だが、紅原にはとてもそんな無害なものには見えない。

 普通の人間であればほとんど桁が違いすぎて感知することも難しい魔力も少ないながらも魔力のある紅原には強烈な圧力となってその身を縛る。

 ともすれ震えだしそうなほど濃密な魔力の本流にじわりと脂汗が滲んだ。


「魔王はやめてください。黒歴史の自覚はあるんです。…今はしがない城の居候です。どうか名前で」


 ふわりと微笑まれれば、城の侍女あたりなら卒倒しそうなほどの美貌だが、あいにく紅原に男を愛でる趣味は無い。

 実は紅原は魔王時代の緑水と相対したことがある。

 その時は美しいが、ひどく冷めた目をしており、まるで生気の感じられない人形のような王だと感じたものだ。

 だが、現在の彼は確かに身も震えるほどの魔力を有しているのはわかるが、以前のような危うさが抜け、一見しただけでは魔王などとは思えない。


 この変化をもたらしたのがただひとりの女性ということなのだから、すごいものだと思う。


「では、緑水様。…お珍しいですね。このような場所で」


 紅原たちが立つ回廊は城と城で働く者の居住区を繋ぐものだ。

 緑水は今は居候とはいえ元魔王というとんでもない過去を持つので、もちろん居住区ではなく別の場所があてがわれていた。

 確か居住区から見て城を挟んだ反対側の騎士団の演習所の最上階が彼の居室だったはずだ。

 一応騎士団にみはらせているという形ではあるのだが、彼が本気を出せば城どころか王都自体が壊滅してしまいかねないのであまり意味はないと言える。

 ともあれ、普段であればこんなところで出会うことなど決してないはずなのだ。

 だが聞いた時珍しく元魔王の顔が陰った。


「それは…」

「あ~、緑魔王発見!」

「もう!探しちゃったよ!勝手にいなくなるんだから!」


 バタバタと王宮に似つかわしくない足音が回廊に響く。


「あれ~、紅ちゃんだ!」

「あ。ホントだ!緑魔王と一緒なんて珍しいねー!」


 現れたのは王宮の名物と化しつつある双子の侯爵だ。

 本来であれば侯爵位を告げるのはひとりであるはずだが、この二人は特例として同じ名前を使うことを許されている。

 なぜかのかは未だに謎なのだが。


「これはこれは、黄土侯爵閣下たち。…なんでお二人が…」


 緑水を探しているのか、と言う前に目の前を通り過ぎる影がある。

 緑水が双子と紅原を無視してその場をさろうとしているのが見えた。

 しかし、させじとそのマントを双子の二対の腕が掴んで止めた。


「ちょっと!待ってよ!魔王陛下!今日は僕らにダンスを教える約束でしょ?」

「そんなこと約束した覚えはありません」

「いいじゃない!どうせ夜まで暇なんでしょ?

  なんか、利音ちゃんがなにかに忙しくて、構ってくれないそうじゃない!」


 双子の片割れがそう口にした瞬間、空気が一気に凍った。

 強大な冷たい魔力の本流に紅原は体が硬直する。


「……ほお、その情報はどこから…、ふ、問うまでもないですか」


 先程までの穏やかさとは真逆の冷徹な魔王の酷薄さを前面にでた緑水だったが、双子は剛毅にも普段の表情をまるで崩さない。


「あ、邪悪な顔!言っとくけど、美香ちゃんは関係ないからね。でもあんまりあの娘に変なことすると利音ちゃんに怒られるよ?」

「そうそう。まあ、にぶさに定評があるあの娘なら多分スルーすると思うけどね?」

「あ、翔瑠。ダンスを断れれたの、結構根に持ってる?」

「そんなわけ無いだろう!別に、たまたま相手がいないようだから誘ってやっただけだ。あんなのと別に踊りたかったわけじゃ…」

「はいはい、そういうことにしてあげるよ~。美香ちゃんは誘えたしね。それより、ねえ魔王様!さあレッツダンス!行こうよ~」

「嫌だと、言ったはずですよ。それにそもそもどうして貴方方に俺がダンスを教えなければならないんですか?」

「成り行き?」

「わけのわからないことを。俺はこれでも忙しいんですよ?」

「嘘つき!知ってるよ。暇に任せて城の書庫の本全部読んじゃったって司書さんが言ってたもん」

「新しい本の入荷がないたびに『仕事ができない人間はクズですね』って言われるたびに死にたくなるって言ってたもん!」


 紅原はそう言えば、最近医療班に頻繁に胃薬と安眠薬を所望する司書が増えたと言っていたことを思い出した。

 司書だけではない。

 緑水は居候しているだけでは申し訳ないと、王国の運営体制の相談役になっていた。

 ほとんど形ばかりのものだが、実際に国を動かしていた経験のある彼の意見はなかなか的を得ているらしく、国王の信は意外に厚い。

 今では城の経理などにも顔を出しており、彼が行くと文官などから薬を所望する者があとを耐えないと医療班が嘆いていた。

 黙って微笑んでいれば、まさに理想の王子様のような容貌だが、口を開けば仕事の鬼、その美貌も冷徹な言葉とともに鋭利な凶器と化す。

 正直城の文官たちにとっては現在進行形で魔王陛下らしい。


「それでも、なぜダンスなんですか?大体ダンスの練習にどうして憲兵所が指定なんですか?…なにより中にむさい男どもの気配がするんですか?しかも大勢」

「え?そんなことはないよ」

「そうだよ。別に連日の無茶ぶりに怒った文官たちにお金で雇われた傭兵とはいないよ?」

「ほお、それに貴方方は手を貸しているということですね?」

「だってそのほうが面白いし!」

「そうそう!一度きりの人生楽しまきゃ!」

「そうですね。今すぐに終わる人生ですから。楽しまなくては、ね?」

「お?魔王様。怒ってる?怖いよ~?」

「僕らに何かあったら美香ちゃんを経由して魔王陛下のこと利音ちゃんに伝わるよ~?」

「っ!それは…」

「ね、ほら。別にそのへんのごろつきだし、余興だと思えばよいよ?僕らも小金が稼げるし、魔王陛下も鬱憤晴らせるし一石二鳥!」

「…貴方方は文官からお金巻き上げているんですか?」

「だって、最近お菓子買う量を制限されちゃって、買いすぎで家の身代潰す気かお金くれないんだもん」

「貴方方のはお菓子という名の悪戯制作費用でしょう?」

「えへへ。ばれたか。まあいいじゃない!さ、さっさと片付けないと舞踏会に遅れるよ」

「俺が付き合わないといけない理由がどこに?」

「言ったじゃない。付き合ってくれないとリオンちゃんにいろいろ言いつけるから、ね?」


 緑水のアキレス腱である最終兵器と知り合いらしい双子に緑水はしばらく眉根を寄せていたが、やがて深々とため息を吐いた。


「……仕方がありません。どうせ、あの場に仕事を放り出した文官たちが揃っているでしょうから。

 これを機に逆らう気にもならないほどきついお仕置きをしておくのも悪くありませんしね」


 くくくく、と邪悪そのものの笑顔の緑水の表情に一抹の不安を感じ、恐る恐る声をかける。


「あ、あの。流石に城で人死だけはやめてもらえます?」

「……ああ、はい。流石に居候の立場は忘れませんよ」


 一瞬の間が気にはなるが、流石に大事な舞踏会の前に無茶なことはしまいと流すことにした。

 その後、一瞬だけ双子と魔王に憲兵所へ誘われるが、仕事があると丁重に断り街に出ることにした。

 憲兵所にその日悲鳴が途絶えることはなかったとか。

シンデレラパロ男サイド。しかも続くという理不尽さ(汗

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