人気投票御礼企画<紅原編>
今回は人気投票で惜しくも二票差で二位だった紅いののだよ。
※全てif話。物語の進行上にはまったく関係ございません。
※書きたかったからかいた、それだけです。苦情は受け付けません。
・舞台設定はゲーム終了後、恋人同士状態で、高校三年生ダネ。特に時系列は関係ないかな。
・多少恋人関係になれた時期、いちゃこらするだけ。オチはない。
・頂き物イラストより妄想の産物っす。
・キャラ崩壊しているかも?気をつけてご生還ください。
・本編のネタバレ要素はありませんが、本編読後がもちろん推奨
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人気の少ない校舎裏。
机にいつの間にか入れられていた紙片によって呼び出された先で、あたしは絶体絶命のピンチに陥っていた。
「…えっと紅原…様?」
あたしを壁とのあいだに囲い込み逃がさないとばかりに見下ろす赤毛の男の様子を恐る恐る見上げる。
明らかに雰囲気が怒っている。
その様子に何か怒らせるようなことをしたのかと思ったが、まるで覚えがない。
そんな混乱するあたしを見下ろし、そっとにこやかに笑う男の目は笑っていない。
「環ちゃん。二人きりの時は名前で読んでって言っとるやろ?俺ら付き合っとるんやろ?」
「そ、それは…。まあ、でもここ学校…」
流石に学園で絶大な人気のある月下騎士の一人と付き合っているなどと周りに知れればどんないじめをうけるか。
考えるだに恐ろしいので、あたしたちの関係は内緒なのだ。
学校ではあくまでも付き合っていることは内緒というのが暗黙の了解だと思っていたのでこんなふうに校舎裏で追い詰められるとは考えもしていなかった。
しかもなんか怒っている。
「…なに怒ってんですか?」
「…怒っとらんよ」
「怒ってるじゃないですか?ほら、言ってください。言わなきゃわかんないです」
めんどくさいことにこの恋人はこれまでいろいろ鬱屈された環境にいたせいか、自分の感情を外に出すのが非常に苦手なのだ。
だから促してやらないと何を怒っているのか自分でも把握していないことが多いのだ。
聞いてあげる体制になれば、怒っていた雰囲気が薄れ代わりに憮然とした顔があらわれ、ポツリとつぶやいた。
「…昨日の放課後、なんで待っとらへんかったん?」
「…え?昨日って」
記憶をたどってようやくそれに該当するような出来事に行き当たる。
「昨日って、もしかして聖さんと双子と帰った時ですか?でもあの時は別に一緒に帰る約束してなかったじゃないですか」
「…それでもほかの男と帰ることないやろ?」
「でも、あれって聖さんとも一緒で……しかも無理やり連れて行かれたんですけど」
「それでも断り。俺と帰るとかどうとでも言えたやろ、双子相手なら」
どうやら双子と帰ったことが非常に気に食わかなったらしい。
考えてみれがその手が使えた。しくじったな。
「……まあ、それもそうですね」
あっさり頷いて見せれば、なぜか円の顔が曇った。
「っ。…ごめんな」
「なんで謝るんですか?」
「…別に縛り付ける気はないんよ。ただ君のこととなったらなんや心狭くなるっちゅうか。…なんあ格好悪いな、俺」
落ち込む彼の頭にそっと手を伸ばせば、驚いた顔が降ってくる。
そのままいい子いい子と頭を撫でてやれば、複雑そうだが、僅かになでやすいように屈んでくれる。
どこか気持ちよさそうに円は目を細めた。
「…なんや、子供扱い…」
「子供でもなんでもいいです。どっちにしろあなたにしかこんなことしません」
「……双子にも?」
「するわけないじゃないですか。あの振り回すしかしない子達に」
思い出しても腹の立つ。
帰るだけと言いながら、車でゲームセンターやらなんやら連れ回された。
今日小テストがあったから勉強したかったのに、門限ギリギリまで連れ回され散々だった。
回避できるならあの連中と下校などしたくない。
円の見た目より柔らかい髪をなでていると、ささくれだった心が少しだけ癒された気もする。
どれくらいなでていたのか、ポツリと円のつぶやきがため息の様の漏れた。
「…なんや自分の単純さに悲しくなってきたわ」
「単純って?なんで?」
「なんや頭撫でられただけやのに、怒ってたのもどうでも良くなった」
「単純結構じゃないですか。あたしは好きですよ?単純な方が」
「っ!……環ちゃん。それ不意打ちちゃう?」
「…何がですか?」
本気でわからなくて聞いたのだが、呆れたようながっかりしたような顔をされた。
一体なんなのか。
「俺って情けないなあ。振り回されてばっかりで…」
「別にそんなの今更じゃないですか?」
「…それって俺がいつも情けないってこと?」
「ヘタレの自覚はあるんでしょ?」
言い返すと情けない顔をされた。
「…なんや余裕あるな?環ちゃん。この間までキス一つでも顔真っ赤にしとったのに」
言われて、先日のキスを思いだし、次いでそのまま吸血されたのを思いだし顔が赤くなるのを感じた。
「あれ?なんや思い出した?」
「…こんな真昼間から何言い出すんですか!」
「…昼間からって、…なに想像したん?」
にやりと笑われ、かっとなる。
「そ、そんなの言えるわけ…」
「言われへんような事なん?なんや環ちゃんも純情なだけかと思っとったけどなかなか…」
「…それ以上言うと、血、しばらくあげませんよ?」
「…御免なさい」
「よろしい」
全く昼間っからなに思い出させるのやら。
しかもここは学校。
火照った気持ちを沈めようとしていたら、不意に影がさした。
一瞬体が逃げるが、もともと壁に追い詰められていたのでそれ以上逃げることも叶わず、そのまま唇を奪われた。
流石に学校だったことを考慮してくれたのか追い詰められるような深いものでなく、軽い触れるだけのキスだ。
しかし。
「…顔真っ赤。…これじゃ、このあとの授業出られへんね?」
頬を包まれ、意地悪く微笑まれれば、まだまだこういうことに関しては相手の方が余裕があることが苛立つ。
「っ!…誰のせいですか!」
「さあ、俺のせいか?だったら嬉しい」
そう言って心底嬉しそうに笑われれば怒れない自分がなんだか悔しい。
「なあ、どうせ出られへんのやったら…このまま、血をもらってもええか?」
するりと頬から首筋を撫でられれば熱がまた上がるのを感じる。
「数日前にあげたばっかりじゃ…」
「そうなんやけど。俺自分では淡白なつもりやったんやけど、結局親父の息子やったんやと今更ながら実感しとる」
いや、あの人と同列に扱うにはやっぱりまだいろいろなにが足りないというか。
…よく持つな、円のお母さん。たまに吸われるだけでもちょっと貧血気味になるのに、毎日吸われてるなんて。
「……環ちゃん?何か考えとる?」
「いや、円のお母さんよく持つな、と」
そう言うと、一瞬顔がしかめられた後、溜息を吐かれた。
「あの人たちは…まあ特別というか」
「でも円のお母さんって、普通の人間でしょ?いくら花嫁になったとはいえ、結構きつくないかな、と」
「基本あの人もタフな人やからね。せやなかったら親父の相手なんかしてられへん。
とはいえ最初の方は結構倒れてたらしいけど…」
「それをどう克服したんでしょう?今度遊びに行ったら教えてくれるかな?」
「……環ちゃん?
こういう状況であの人たちの話はやめてほしいんやけど。
もしかして血もろうたらあかん?」
「ダメといったらやめてくれるんですか?」
「一応考慮にはいれる」
「…やめるとは言わない時点でこちらに選択権はないんですね」
そう言ったら少し困ったみたいな顔で微笑まれたが、その時点ですでにリボンタイを外されていた。
所詮辞めるつもりはないようで、前回の吸血から経った日数を計算して、ギリギリだがまあいいかと思う。
抱き寄せられ、そっと首筋に顔を寄せられた。
そのまま噛まれるかと構えていると、首筋に僅かに唇を触れた状態で耳元で囁かれる。
「どうしてもダメならやめるけど…」
その言葉に思わず溜息を吐いた。
強引なのか弱気なのかたまにはっきりして欲しい時があるが、まあこれがこの人の悪いところでもあり、優しさでもあることはわかっている。
あたしは返事の代わりに円の背中に手をまわし、そっと目を閉じた。
ヘタレはヘタレ。でも少しだけ強引に、でもヘタレというネタでした。
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