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第一話

 ───31年前


 美しき異形が人や魔物を襲っていた。魔物といえども天使に敵うはずはなく為す術もなく殺される。

 人は逃げ続ける、だが天使からは逃れることが出来ず、一年経つ頃にはカオスの人口は七割にまで減っていた。

 逃げることを人類が諦めた時、四人の救世主が現れた。その四人はカオスには存在しない力【真力】を持っており、力を行使し天使を殺していく。

 天使をすべて殺し、人類を救った四人は英雄として崇められた。


 ある者は聖王と、


 ある者は冥王と、


 ある者は覇王と、


 そしてある者は魔皇と呼ばれた。


 四人は天使が存在する異界【インフェルノ】を封印し、それぞれの大陸へ散らばった。

 そして大陸を復興させ、もう自分達が必要ないと判断すると未来のために学園を建て子供達を育成しようと決めた。

 そのために人々の前から姿を消し、誰もいない場所に学園を建てた。そこに入学する生徒は、魔物から国や町を守りたい者の集まりだった。 

 大陸を完全に復興させ、学校を建てるために20年の時間がかかった。


 ───10年後


 四大陸の一つであるトワイライトガーデンにある学校リベリオンには今年約60人の生徒が入学した。この学園に入学する生徒は他の英雄の学園に入ることが出来なかった者だが、落ちこぼれという訳ではない。現時点では力は弱いがいくらでも強くなる可能性はある。

 学園は一~五年生まであり、15歳のときに入学する。成長期のため身体能力の向上はいくらでも期待することができる。


  ▼  ▼  ▼


 学園に入学する生徒の一人であるシエルは緊張していた。


 「…(怖い人とかいないかな)」

 

 シエルは覇王が建てた学園に入学しようとしていたが、わずかに力が足らず落とされた。そのため大陸を渡ってこの学園に来たが外観をみるだけで少し怯えてしまっていた。そびえ立つ外観はたしかに少し不気味に見えてしまうかもしれない。


 「…大丈夫?」


 緊張していたシエルに一人の少女が話しかける。


 「えっと…私の名前はサラっていいます。顔色が悪いけど大丈夫?」


 サラと名乗った少女は心配そうな顔をしながら続けた。

 シエルはその少女を見ると急に真っ赤になりながら答える。


 「だだ大丈夫だよっ、緊張しちゃっただけだから…!」


 シエルはあわてて答えた後に思う。


 「…(こんなにかわいい子見たことないよ)」


 年相応の幼さを持った少女はとてもかわいらしかった。そのままジッと見つめていると恥ずかしいのか少し顔を赤くしながらサラは目を逸らした。その様子がかわいらしく、シエルの顔はまた赤くなってしまう。二人が話している場所はホールと呼ばれている場所で生徒全員を収容できるほどの広さがある。(生徒の数が少ないというのもあるが)


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 このような配置になっており、左から一年生である。

 お互い気まずい雰囲気になってきたとき先生と思われる先生が立ち上がった。


 「それではこれより育成学園【リベリオン】の入学式を開始するぞ。今年の新入生の数は60人と比較的少ないが、それはつまり一人に対して教える時間が増えるということだ。俺はお前達に刀剣類の剣術を教えるジンだ。他の教師にも紹介してもらう。」


 ジンという男はそう言って腰を下ろし、隣にいる男性に目を向ける。隣の男は微笑みながら席を立つ。


 「初めましてみなさん、まずは入学おめでとうございます。私は銃類の技術をあなた達に教えるアレックスという者です。まだ慣れないと思いますが楽しくやっていきましょうね。」


 優しい雰囲気を持つ男性教師は座り、隣にいる女性に目を向ける。目を向けられた女性は立ち上がり、あいさつをする。

 

 「入学おめでとう、私は皆さんに治力を教えるアルエという者です。治力は傷を治す癒しの力です。任務などで全員が生還するためには治力は絶対に必要です。そのことをわかっておいて下さい。」


 アルエという女性の紹介が終わった後、再びジンが話す。


 「この学園は戦闘能力を磨くことが目的だがそれだけじゃない。普通の勉学もするからそれはわかっておけ。」


 ジンが言う通り学園は戦闘能力の育成だけを目的とする訳ではなく、普通に勉強しなければならない。

勉強を教える教師も一人ずつ紹介していき、ようやく前にいる先生全員の紹介が終わった時、シエルは違和感を持った。

 学園長がいないのだ。そのことが気になりサラに尋ねる。


 「学園長って体調が悪いのかな?」


 その言葉を聞き、サラも学園長がいないことに気づく。


 「そういえば居ないね、何かあったのかな?」


 学園長が居ないことに気づいたのはシエルだけではなく、何人かの生徒も気づいている。

 その時近くに座っていた新入生が言う。


 「…やっぱり今年も居ないんだな」

 「…殆ど姿を見せないんだってな学園長って」

 「…聞いた話じゃ今の最上級生の入学式の時から一度も姿を見せてないって話だぜ」


 そうなのか…とシエルは思った。その雰囲気を感じたのかジンが口を開く。


 「あ~えっとだな、学園長は人と会うのが好きじゃな……」


 そう言おうとした時


 ───ガコン


 と鈍い音がする。それは扉の開く音であり、音の発生場所に教師や生徒が目を向けるとそこには一人の少年が立っていた。


 「遅刻した生徒の人かな?」


 サラが小声でシエルに言う。シエルもそう思った。

 だが教師陣は驚きを隠せていない。そして上級生の何人かの生徒も驚いている。その様子を見たシエルとサラは気づく。


 「あの人ってもしかして…」

 「うん、多分そうだと思う。」


 そして場の空気から気づく生徒も出てきたとき、ジンが話しかける


 「学園長、どうしてここに?あなたは人前に出るのが嫌いでしょう。」


 実際にその通りであり、ここ数年は殆ど人前に姿を現すことはなかった。


 「……別に、ただ…なんとなくだ」


 小さい声で返し、自分が座るべき場所に向かう。その時に見えた彼の目はとてもではないが英雄とまで呼ばれる者の目には見えなかった。

 そして自分の席に座る。(当然ながら位置は真ん中である)


 「一応あなたも自己紹介しておいたらどうです?」


 ここにきたのだからそれは当然である。


 

リベリオンの形はハ○ー・ポッターの

ホ○ワーツを想像して下さい。

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