第7話
「ユウジ様。こちらがこの村で1番大きな屋敷でございます。こちらをユウジ様に進呈いたします」
「……」
「どうかされましたか?」
先ほどまで殴り合いをしていた脳筋のパワーゴブリン・ゴルドーはどこかへと消え去り、そこにはまるで執事のように敬語で喋り恭しく接してくる大型な未知の生物が存在した。ハッキリ言って似合わない。
「どうかされましたかって……逆に言いたいよ。どうした?」
「俺は敗北し村の長はユウジ様に変わったんです。俺を含めてこの村のゴブリンたちは全員があなたの指示に従います」
「だからって変わりすぎだろ……というか俺はまだ長を受け入れてるわけでもないし……村長と村人ってこんな感じでもないだろ?」
「進化前のただのゴブリンがパワーゴブリンである俺に勝利したんです。さらにユウジ様はセイシュの魔石にてホブゴブリンに進化した。強さは俺を遥かに超えているでしょう……そんなユウジ様以外に村の長が務まる者はいません」
ゴルドーの言葉通り……俺はゴブリンからホブゴブリンに進化を果たした。それは俺がゴルドーに勝利した後に遡る。
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ゴルドーに勝利したはいいものの決闘の目的である俺の無実の証明を直感でしてくれるはずのゴルドーが気絶してしまったため、俺の処遇はどうなるのかと若干の不安が過っていたがわりとすぐにゴルドーが目を覚ました。そして指示を出す。
「……セイシュを捕らえろ……」
目が覚めて一番最初に発した言葉がそれだった。つまりそれが意味するところを理解した周囲は騒然となるが驚くことはまだあった。
「……ゴルドー様……」
そう声を発しながらゴルドーに近づくのはランスゴブリンのザーノ。その槍の矛先には首を貫かれたセイシュがいた。
「なんだザーノ?殺しちまったのか?」
「……逃げた……」
どうやら話を聞くにザーノ自身もセイシュは疑っていたらしい。そのためいつでも動けるようにセイシュのそばで立っていたようだ。しかしそれにはもう一体の眷属であるソードゴブリンのソリューは驚愕。
「……まさかセイシュが同胞殺しを……ザーノは気づいていたの?ゴルドー様も?」
「……」フルフル
ソリューの言葉にザーノは首を横に振り否定の意思を伝える。しかしゴルドーは少々暗い表情となり重い口を開く。
「……家族だからこそ些細な変化が気になるもんだ……俺がもっと早く動いてりゃあ死ななくていい命があったろうよ……」
そう言って立ち上がったゴルドーは周囲で見学していたゴブリンたちに頭を下げて謝罪した。
「みんな……申し訳なかった……」
戸惑いを隠せない様子の周囲のゴブリンたち。しかし頭を下げ続けるゴルドーに1体の老人のような杖を突いたゴブリンが近寄ってくる。
「ゴルドーよ……眷属が行ったことは主人の責任にある……わかっているな?」
「……爺さん……」
突然出てきた老人のゴブリンに逆にこっちが困惑する俺。
「あの方はゴブリン村で最年長のホウシュさん。あの方もセイシュに家族を殺された1人です」
エリーが俺に近づいて説明してくれた。その説明を聞きながらいったいなにが起こるんだろう?と思っているとゴルドーがこちらを向いて頭を下げる。
「ユウジ……いやユウジさま。俺は敗者だ……そして眷属の行った罪の責任を受けて村の長から降りようと思う。ぜひ新たな村の長になってほしい……」
「は?長ってそんなの」
ドサッ
ゴルドーの言葉を受けて無理だと拒否しようとしたらザーノからセイシュの死体を俺の前に投げられた。
「セイシュの魔石を献上いたします。そこまでの強さがあるのならもしかすればそれで進化ができるかもしれません」
「……進化……」
そこで俺は村の長とかそんなことよりも進化という言葉にひかれた。やっぱり魔物に転生したのなら最強を目指したいしそれならば進化は必須。俺自身も結構な進化済みの魔物を倒してきたので進化までの道のりはそう遠くないとはずだと思っていた。そうして俺は餌に引き寄せられる魚のようにセイシュの死体に近づいていき魔石を破壊した。
パリン!
こうして俺はホブゴブリンへと進化を果たした
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それまでゴルドーが使用していた家を半ば強引に渡された俺はゴルドーやソリュー*ザーノにエリーという面々に見られながらゴブリン村の長になることに対して悩んでいた。
「いかがでしょうか?ユウジさま?」
「……」
みんながゴルドーの質問に対しての返答を求めている。エリーなんて目をキラキラさせているのがわかる。
「はあ……まあこうなった以上は仕方がないか……」
そもそもが最強を目指すにあたり一人よりも仲間がいたほうが効率もよく安全面でもいいだろうし。
「(責任が伴うのが嫌だったけど……そこは覚悟を決めるしかないか……)」
俺がそう返答すると一番喜んでくれたのはエリーだった。
「おめでとうございます!ユウジさま!この生涯をかけてユウジさまに尽くしていくことをこの命に誓います!」
「あ、ありがとう」
出会って数日でどうしてここまで狂信的になれるんだろうか?
「ありがとうございますユウジさま」
改めて頭を下げるゴルドーにそれに倣ってソリューとザーノも頭を下げる。だがその光景を見て俺のゴブリン村の長としての初めての命令が決まった。
「長としての初めての命令だ。 ゴルドーはその堅苦しい口調をやめろ。正直似合ってない」
「……似合ってないってお前……」
ゴルドーは後ろに控えるソリューとザーノのほうを向いた。すると両者ともに頷きで返す。
「そもそもお前が長の時にエリーとか誰かがそこまでの対応をしてる風には見えなかったけど?」
「それは……確かに……」
その言葉にはエリーも頷きで返すことでゴルドーはやっと理解したらしい。
「ふう……これでも考えた末に行動だったんだぞ?」
「ゴルドーは直感型だろ?考えてどうするよ。もっと感情で動けばいいだろ?」
「そうですよゴルドー様!私たちもユウジの長への就任は認めますがだからと言ってゴルドー様がこんな若造に遜っている姿は見たくありません!」
「……」コクコク
ザーノも言葉には発さないがソリューの言葉に頷いているところを見るにそれが正しいんだろう。
「……お前ら……」
その言葉に感動している様子のゴルドー。
「そもそもとして俺はこの村の出身じゃないし、いわば余所者だ……いくらゴルドーに勝ったところでゴルドーと同程度の信頼を寄せられているかといえばそれは別だろう。だからこそ俺にはゴルドーが必要なんだ……これから頼むぞゴルドー」
「……何をしたらいいかはわかんねえが……まあよろしく頼むわユウジ……」
こうして俺はゴルドーと硬い握手を交わした。
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