第5話
ある程度の強さは手に入れたとして現在俺たちは村へと向かっている。
「まさかこの数日でここまで強くなるだなんて……さすがはユウジ様です。これならばゴルドーさんに勝つこともできるかも知れません」
「ははは。ありがとう。 さすがに生まれて数日で死ぬなんてことにはなりたくないからな」
「しかしユウジ様は見た魔物が行っていたスキルを獲得できている様子。それもスキルなのでしょうか?おそらく通常では獲得できないような特別なスキルということですよね?」
「まあね。普通に獲得は無理なんじゃないかな?」
転生チートだからな。そもそもオリジンスキル自体が俺のためのスキルランクっぽいし。ほかに持っている奴がいたらそれは俺と同じ転生者ということになるだろうから。
「そろそろ村に近づいてきます。いつ捜索隊と出会うかわかりません。気をつけてください」
神妙な表情となるエリー。いきなり襲われるなんてこともあり得るために警戒しながら進む。すると数分ほど歩いたときに俺の察知スキルが反応した。
「エリー……後ろに……」
「はい!ユウジ様!」
俺がエリーを自身の背後に誘導した次に瞬間に左右の木々の間から2体のゴブリンが襲い掛かってくる。
「死になさい!!」
「……」
俺に向かって1体が剣を振り下ろしもう1体が槍を突く。それらは当然のようにオーラで強化された強力な一撃。それを俺は剣の横を叩き槍は下方向に蹴ることで防いだ。
「なっ!?バカな!?」
「っ!?」
驚愕の両者。しかしそれは俺も同じこと。
「(お、おお……咄嗟に身体が動いたけど……俺ってこんなこともできるんだ。結構すごいな俺……)」
一連の流れは俺が考えて動いたことではなく自身の危機に身体が反射的に動いただけ。なのでもう一度同じ動きが可能なのかは俺ですらわからない。
「さすがです!ユウジ様!」
「ありがとうエリー。できれば説得を頼む」
「わかりました。やってみます!」
そういうとエリーが俺の少し前へと出て説明へと入る。
「聞いてください!この方は同胞殺しではありません!」
「エリー!?生きていたのね!?」
「……」
「もちろんです!ソリューさん!ザーノさんも聞いてください!この方は私を助けてくださったのです!真の犯人の手によって!」
どうかエリーの言葉を信じてくださいと祈りつつもここまで修行をしたのだからゴブリン村最強と聞くパワーゴブリンのゴルドーとは戦ってみたいという気持ちが芽生えてくる。
エリーが何があったかを説明する。それは真犯人がマジックゴブリンのセイシュであるという真実についても。しかしそこについての対策もすでにされていた。
「……やはりセイシュの言っていた通り……」
「……洗脳……」
両者はエリーが俺によって洗脳を受けていると判断したようだ。おそらくセイシュというあの下衆がなにか言ったんだろう。
「違います!?私は洗脳など受けていません!?私は正常です!?」
「では真にやっていないのならばその男が逃げた理由はなに?逃げる必要はなかったはずよ」
そういって俺に対して剣を向けてくるソードゴブリンのソリュー。女性のゴブリンのようだ。ちなみに先ほどからじっと俺を見つめてほとんど何も発さないのがランスゴブリンのザーノ。寡黙なタイプらしい。ちなみにどちらも進化したゴブリンなためか進化前の俺よりも背が大きい。
「セイシュが私を殺そうとしていてそこに村から増援がやってくるんですよ!村のゴブリンでないユウジ様が村を信用できるわけないじゃないですか!」
「それだけではないわ。その者は進化もしていないただのゴブリンね?にもかかわらず私とザーノの奇襲を看破し素手でいなして見せた……そんな異常な行動をしてみせた者なら洗脳の力を持っていてもおかしくない……そこのゴブリンは得体が知れないのよ……」
「それは!?……たしかに……」
エリーが後ろにいる俺を申し訳なさそうに見つめる。
「(得体が知れないって……まあ、翼が生えたりと本来ならありえないことをやってるからそう思われててもしょうがないか……)」
どうやら説得は無理そうだなと思っているところにソリューとザーノの後ろから2mは超えていそうな筋骨隆々な大ゴブリンが大きなハンマーを持ってやってきた。その横にはエリーを殺そうとしたセイシュも共に。
「ああ!よかったです!エリーは無事のようですね!その男に殺されているのではと心配していたんですよ!」
エリーを見つけて無事な様子に安堵するという演技をするセイシュ。それに対してエリーは怒り心頭。
「よくもそのようなことを!?」
「ああ……どうやらあの様子ですと私の懸念は当たったようですね……薄く洗脳の気配も感じます……」
「私は洗脳など受けていません!私を殺そうとしたのはセイシュでありそこをユウジ様が助けてくださったのです!」
エリーの必死な言葉も次々と集まってくるゴブリンには洗脳を受けた者の言葉として映り誰も信じようとはしない。逆にエリーに対して憐みの目を向けるものがほとんど。しかしこの男は違うようだ。
「……エリー……」
そう呟きながらエリーに近づいていき片膝をつき目線を合わせるゴルドー。
「……ゴルドーさん……」
「俺の目を見て話せ……お前を殺そうとしたのはその男か……」
そういいながらゴルドーは俺に対して指を差してくる。それに対してエリーは毅然とした態度で否定する。
「違います。ユウジ様は私の命の恩人です……私を殺そうとしこれまでの同胞殺しのすべてを行ってきたのはセイシュです……」
「……」
そう自身を見つめるゴルドーの目から一切そらさずに静かにしかし芯ある言葉にて真実を語るエリー。その状況に危機感を覚えたのかセイシュが慌てながらもゴルドーに話しかける。
「だ!?騙されてはいけません!?エリーは洗脳を受けているんです!?だからそのような言葉を吐くだけで!? まさかゴルドー様は私をお疑いになるのですか?」
そう問われたゴルドーはゆっくりと立ち上がりセイシュへと顔を向ける。
「セイシュ……お前は俺の眷属だ……俺の家族だ。家族のことは最後まで信じてるに決まってんだろ……」
「で、ですよね!よかったです!では皆でその同胞殺しを殺してしまいましょう!」
そうして周囲のゴブリンたちが臨戦態勢へと移る。
「(ここらが潮時か……逃げたほうがいいかもな……)」
逃げるときにエリーもつれていくべきかと思案していると周囲のゴブリンたちを止めたのはゴルドーだった。
「……だがエリーの言葉も嘘とは思えねえ……」
「ですからそれは!?」
セイシュの言葉を無視するかのようにゴルドーは視線を俺へと移す。
「……真実は戦えば分かんだろ……」
こうして俺はゴブリン村の中央広場にて決闘が行われることになった。
読んでくださりありがとうございます!
もし少しでも面白いと思ったら評価・ブックマーク・感想をしてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!




