第2話
「シャー!」
ジャキンジャキン!
「くっ!?」
いま俺はデカカマキリと戦闘中。その両手の鎌は木々を一刀両断するほどの切れ味を誇るためうかつに飛び込めない。
「(タイミングを読め!あの鎌は手と変わらない!こちらを掴もうとする手だ!それを潜り抜けて逆に投げてやる!)」
やはり一番慣れているのが柔道だからか戦闘中にそちらの思考になってしまう。だがそれも悪くはなさそう。
「シャー!!」
ザン!
デカカマキリによって振り下ろされる鎌。しかし俺はそれを待っていた。
「いまだ!」
俺はデカカマキリに向かい最近手に入れた新たなスキル「突進」を使用して一気にデカカマキリの懐へ。
ギュン!
「シャ!?」
「おらあ!背負い飛ばし!」
俺は振り下ろされようとしているデカカマキリの腕をつかんで背負い投げの要領で空へと投げた。
ブン!
「シャー!?」
しかし投げられたデカカマキリは空中も自在なため少しの戸惑いはありつつもすぐに態勢を確保。しかしその少しの戸惑いがデカカマキリの命取りとなった。
「はあ!オーラブレード!」
俺は空中にデカカマキリを投げた瞬間にそちらに跳躍。折れている剣の先端をオーラの刃として伸ばしそのままデカカマキリを切り裂いた。
ザン!
「シャ!?」
こうしてデカカマキリとの戦闘に勝利した。
「ふう……なんとか勝てたけど……やっぱりこのオーラが最強だな。剣が折れてもこれで行けるし」
俺は先のイノシシとの戦闘にて勝利はしたもののその時に剣が折れてしまっている。だがそれすらもオーラを刃とすることが可能だったため何とかなっている。
「さて……次はどこに行こうかな~」
俺は剣をしまい投擲用に石を拾いながら森の中を適当に進んでいく。すると先はゆるやかな坂となっているのだがその下には家が立ち並んでいるのが見える。
「集落?まさか人間がここに住んでるのか?」
人間がいるのかと警戒したがそうではなくそこで暮らしていたのは俺と同じゴブリンたちだった。
「そうか……あれはゴブリン集落なのか……どうしようかな?」
まさかのゴブリン集落発見で同じゴブリンとしてあそこに行ってみるかどうか。よそ者として排除される可能性もある。さすがにまだ転生して間もないし戦うにしても多勢に無勢。戦いは避けるべきだろう。
「でも……やっぱり興味はあるよな~……」
そんな感じで悩んでいる時にふと右側を見てみると視界の先に2体のゴブリンを発見。しかしそこは不穏な光景をしていた。1体のゴブリンは杖を持ちもう1体は空中に浮かんだ水に窒息死しかけている。
「ふふふ♪ああなんて楽しいんでしょう♪もっと見せてください♪あなたの苦痛にゆがむ表情を♪」
「ごぼごぼごぼ!?」
杖を持つゴブリンが愉悦な表情をしもう一方のゴブリンを殺そうとしているのが見た瞬間にわかる。それを発見した瞬間に俺は考えるよりも早く身体が動いていた。
まず手に持つ石を全てゴブリンの杖を持つ手に当てる。
ヒュン!
これについては投擲・狙撃の両スキルが効果を発揮したのか全弾命中。そのおかげで杖は奴の手からこぼれ落ち水は地面へと落ちる。
ガン!
「なっ!?」
「がはっ!?ごほっ!?ごほっ!?」
水が地面に落下したことで殺されそうになっていたゴブリンは窒息死を免れた。そして俺は石を投擲した瞬間に突進スキルを発動させて殺されそうになっていたゴブリンを守るように両ゴブリンの間に割って入る。
「なんだ貴様?村の連中じゃないな?」
「(咄嗟に助けちゃったけど……俺大丈夫か?相手は明らかに魔法を使ってたし1人とは限らないし……)」
助けることによっての自分の危険について頭では分かっているつもりだったが身体が勝手に動いて助けてしまっていた。
「(やっぱり……あの表情が気に食わなかったんだろうな……)」
俺の頭に過ったのは中学生時代のイジメについて。俺は中学時代にイジメに遭いその頃は引きこもりをしていた。高校に関しては地元から遠くの高校を選択することでその連中と離れることができた。
そしてその高校がたまたま柔道部が強豪で2度とイジメられないために強くなるために柔道部に入部したという過去がある。
「貴様が誰かは知らぬが見られたからには殺す必要がある」
「……」
落ちた杖を手元に召喚し杖をこちらへと向けて魔法を放とうとするゴブリン。魔法が放たれる前に俺は目の前のゴブリンを殺すため動き出そうとした瞬間に左の方向から足音が聞こえてきた。
「ふっ」ニヤリ
不敵な笑みをを浮かべるゴブリン。それを見て事態は悪い方向へと進んでいくことがわかった。
「こっちです!同胞殺しの犯人がわかりましたよ!」
同胞殺し。それはおそらく俺の後ろで気絶しているゴブリンを殺そうとしていたところからも、目の前のゴブリンがその犯人であり俺に罪をなすりつけようとしているのだろう。
「今は逃げるしかないか!」
どんな言い訳をしても唯一の証言者が気絶している状態では諸共殺されかねない。かといってここで暴れては事態が悪化するだけ。俺には後ろのゴブリンを抱えて逃げるという選択肢しかなかった。
「突進!」
ギュン!
俺は突進にてその場から遠ざかる。その後ろをゴブリンたちが追ってくる。憎しみが込められたその目で。
こうして俺は転生初日から犯罪者のような逃走劇が幕を開けた。
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