第1話
それは通勤中のことだった。
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「ふわぁ~。早朝から会社に行かなきゃいけないなんて不幸だろ」
俺の名前は池織雄二(32歳)。最近前の会社を辞めて今の会社に転勤してきたんだがこの会社、給料自体はいいんだがその分残業が多すぎる。
「残業代が高いから稼ぎたい人にとってはいいかもしれないけど……もうちょっとゆっくりしたいよな~……転勤する会社をミスったな……」
転勤してまだ数日なのだがすでに後悔していた。
「会社……行きたくないな~……」
ボソッとつぶやいたその言葉は思わぬ形で叶えられることになる。
ピイーーーー!!
「え?」
なんの音だろう?と思い右方向を振り向くと目の前にトラックが迫っていた。俺のいる地点は歩道でそこにトラックの運転手が気絶したように突っ伏している。病気かなにかだろうか?そんな状況がスローモーションのようにゆっくりと確認でき俺はその気絶トラックに轢き殺された。
ドン!!
「ぐえっ!?」
こうして俺は死亡した。池織雄二(享年32歳)。しかしここからが俺の波乱万丈ながらも最高な人生・・・いやゴブリン生のスタートだった。
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「んん……」
眠たい目をこすりながら俺は体を起こす。
「ふわぁ~……あれ?」
目が覚めて徐々に頭が働きだす。そして次第に思い出していった。自分が死んだはずだということに。
「なんで俺……これってもしかして……」
自身の身体を見てみると緑色で手にはボロボロの剣が握られていた。そのことに驚きそして確信に変わる。
「俺……転生してね?しかもゴブリンに……」
ゴブリンかどうかは置いておくとしてもトラックに轢かれて死んだ影響で人間ではないナニカに転生したことは事実らしい。それをなんとか受け入れた俺は異世界転生の定番のステータス確認を行うことにした。
「……日本だったら頭のおかしなやつだな……。 ステータス!」
意を決して叫んだその言葉に無事反応し画面が現れた。そこにはこのように記されていた。
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名前:ユウジ
種族:ゴブリン
オリジンスキル:学ぶー
ノーマルスキル:剣術C(7)狙撃C(5)投擲C(3)騎乗C(5)
ハイスキル:料理B(2)格闘B(3)
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「ふむふむ……名前から池織が消えてユウジになってて……やっぱり種族はゴブリン。で?なんでこんなにスキルが多いんだ?」
初手からなぞにスキルが多いことが気になった。しかもハイスキルとかいう上位っぽいランクのやつが2つもあるし。これに関してはステータスを知りたいと思ったら知ることができたのでそこで理解できた。*名前はそのままなので省く。
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・種族「ゴブリン」:緑色の体色をした小鬼。魔物の中でも下から数えたほうがいいほどに弱い。
・オリジンスキル「学ぶー」:転生者のみが得られるスキル。本来のスキルレベルが存在せずその能力は特殊なものが多い。「学ぶー」は見るだけでスキルを習得可能。
・ノーマルスキル:スキルのランクで一番下。最初のランク。進化するとハイスキルとなる。
・ハイスキル:ノーマルスキルの進化したランク。中間のランク。進化するとアルティメットスキルとなる。
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「オリジンスキルか……つまり俺のこの生まれながらに大量のスキルっていうのは生前の池織雄二の頃に見たことが反映されてるってことか?」
それなら納得がいく。剣術は高校生の頃に剣道の授業もあったし時代劇とかアニメとかを見てだろう。狙撃も銃撃戦を見てだろうし、投擲は野球に騎乗は自転車とかだろうか?
「料理は一人暮らしが長いってのと友人とかによく褒められるってのもあるか?格闘に関しては完全に柔道だな」
どうやらこの「学ぶ」スキルは見るだけではなく前世にて行っていたことでかつその力量がそのまま反映されているらしい。実は俺は高校の頃に柔道部で全国優勝の経験もある。大学からは柔道の道をやめたけどおそらくそれが反映されてるんだろう。
「さて……どうせ異世界に転生してこうしてゴブリンに転生したならやることはひとつだろ……目指せ最強!」
俺はボロボロの剣を掲げて最強を目指すため森を歩くことにした。
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森を歩くこと数分で敵を発見。相手はウルフが1体で川の水を飲んでいた。
「お?最初の魔物発見だな……魔物だよな?」
「オフ?」
俺の話し声が聞こえたのは後ろを振り返るウルフ。
「う~ん……最強は目指したいけど……やっぱりこっちから攻撃するのは気が引けるな……」
前世の頃の常識が染みついておりいきなり襲い掛かるということにためらいが生まれている。
「バウバウ!」
ダッ!
「来た!?」
咄嗟に俺は全力で後方にジャンプ。しかしそれは5mを優に超える大跳躍の後退となった。その原因が突如として身体が光り出したことにあることは容易に想像できた。
「バウ?」
「え?な、なんで……はっ!?これがオーラか!?」
オーラとはハイスキル「格闘」にて使えるようになる身体能力を強化したりが可能な気のようなもの。オーラは体内から放出されそのまま身体強化したりが可能だったりする。
俺は着地してニヤリと笑みを浮かべウルフを見る。
「お前……俺を殺そうとしたよな?……大義名分発見!」
俺はオーラを再度発動。一気にウルフに接近。
「バウ!?」
その流れのまま俺はボロボロの剣を振り抜いた。
ザン!
パリン!
「ん?パリン?」
ウルフを両断したときに体内にあるものを一緒に両断した。そこから溢れた光が俺の中に吸収されたのがわかる。
「……なんだったんだ?今のは?……」
しばらく考えて出した予想は魔物の進化に影響しているのでは?と言うこと。魔物の体内にある物といえば魔石だろうしそれを壊したことでゴブリンの身体にいい影響があるのだろうと。
「それにしても……俺って最強じゃね?転生初期からハイスキルがあるし?ウルフを瞬殺だし?これから魔物を倒し続けていけば進化とか早々に出来そうじゃ『ブモウ!!』っね!?」
ドゴン!!
「ぐへっ!?」
調子に乗っていたのが悪かったのかまるでバチにでも当たったかのように横から来たなにかに吹き飛ばされた。まるでまたトラックに轢かれたと錯覚するほどに。
「ぐおお……なんなんだ?」
そちらを見るとそこにはいまも後ろ足で地面の土を掘り突進する気満々の猪の魔物。
「ブモウ!!」
ドドドド!!
まるで親の仇のように再度の突進を仕掛けてくる猪。
ドシン!!
しかしそれを俺はオーラも使用して力を強化し受け止める。
「ブモウ!!」
「ウオオオオオ!!」
俺と猪の力勝負は俺が猪を下方向に押さえつけたことで猪を完全に押さえ込んで勝った。
「これが元柔道部全国優勝者の実力だ!」
ザク!
押さえつけたまま俺は落とした剣で猪の身体を刺し貫いた。
パリン!
こうしてウルフとの戦いに続いて猪との連戦も勝利を収めた。
ピコン♪
【ノーマルスキル「突進C(5)」を獲得いたしました】
猪の魔物はラッシュボア。
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