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父親の前時代的なオルゴール

作者: きつねあるき
掲載日:2025/12/19

 僕が、小学校に上がる頃だったと思います。


 押し入れの中から薄汚い箱を見付けたのです。


 それを、父親に見せに行くと、驚きを禁じ得ませんでした。


 それは、年代物の手巻きオルゴールだったのです。


 早速、父親はオルゴールを鳴らそうとしましたが、全く動かなかったのです。


 そこで、箱の中を開けてみたら、ギアや金属板が()び付いているではありませんか。


 父は、錆びた部分に油を差してみましたが、改善しませんでした。


 次の日から、父親はオルゴールを修理しようと、心当たりのあるお店を片っ端から当たっていったのです。


 しかし、ほとんどのお店で断られてしまったのです。


 諦めきれなかった父親は、隣町まで行って修理をしてくれそうなお店に行ったのです。


 すると、店主は言いました。


「この状態じゃ修理は出来ないが、どうしてもと言うのなら内緒でやり方だけは教えよう」


 それからというもの、父親は(ひま)さえあれば隣町まで出掛けて行きました。


 そして、半年が経った時に、いよいよ分解してみる事になったのです。


 父親は、細かい部品を一つ一つ並べました。


 それを、時間を掛けて丁寧(ていねい)にメンテしていきました。


 2ヶ月後、試行錯誤を重ねて、やっとオルゴールを鳴らす事が出来たのです。


 翌日、父親は家族と一緒に、修理したオルゴールをお披露目する事にしたのです。


「これから、オルゴールの音を聞かせてあげるから」


 オルゴールは問題なく作動したものの、家族ではこんな感想でした。


「えっ、これだけ?」


「短いから何の曲か分からないね」


 曲はゆっくりで、長さはいいところ3~4秒でした。


 それでも、父親は時々オルゴールを鳴らしていたのです。


 あれから数年経って、僕は修学旅行で有名なオルゴール館に行ったのです。


 滞在時間は30分でした。


 お土産を買うには長いかなと思って、友達とオルゴールの試聴(しちょう)をしまくったのです。


 その時、父親が苦労して修理したオルゴールの楽曲が鳴ったのです。


 僕は、その音色に胸が響きました。


 お小遣いで買えそうだったので、僕は迷わずそのオルゴールを購入しました。


 家に帰って、僕は家族にオルゴールを聞かせてみました。


「これは、お父さんのオルゴールと同じ曲じゃないの!」


 この時ばかりは、家族全員が色めき立ちました。


 僕のオルゴールは15秒位でテンポが速く、父親の物とは音色が違っていました。


 父親は、2つのオルゴールを同時に鳴らしました。


 数秒間の二重奏ではありましたが、家族皆がほっこりしました。

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