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TS転生した俺は魔法少女になれないらしい  作者: えとう えと


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新進気鋭!


 あれから暫く経って俺は様々なインベーダーを倒した。

 歩けばインベーダーに当たるので探すまでもない。

 新たに【たたかう】のコマンドが実装された俺は苦戦しつつも多くのインベーダーを倒した。


 そして、戦っていくうちに敵が弱くなっていくのを感じた。

 いや、違うか。自分がどんどん強くなっていったのだ。

 恐らくレベルアップの原理が働いているのだろう。倒せば倒すほどに身体能力が上がっていった。

 エンカウントだけで口座に金が増えるのを見ているからか呑み込みは早かった。

 しかし、それにしたって異常な成長速度だと思う。


「エネルギーを吸収しているからな。それもあるんだろう」


 体質的に成長しやすいと言う無理やりな説明で納得させたカゲは俺の疑問に対してそう予測を立てた。

 確かに、一切の攻撃をエネルギーの吸収で行っていると考えれば丸々一体分のインベーダーの力を吸収しているわけだ。


 それと、エネルギーを放出できるようになった。

 カゲが言うには当初は貯蔵がなかったために打ち出すものがなかったが今は吸収したそれらがあるから出来なくはないと言う事だった。

 試行錯誤の結果、俺の体内に入ったエネルギーは時間が経てば吸収してしまうので、カゲに得た分の半分をどうにかして貯蔵することにした。

 その結果、エネルギーの出力が可能となった。つっても、今となっては吸収の方が強いとわかっているので攻撃手段としては使わんが。

 それと、カゲが言うには本来契約すれば「術」と言うのが使えるらしいが、既存の儀式構造だけでなく術として変換する理まで書き換えられてしまっているのでできないんだとか。

 

「まあ、今はそんなことより、こっちだな」


 俺はスマホで「魔法少女NET」を開く。

 いかにも行政が作りそうなダサい名前のアプリだが、行政がWEBサイトではなくアプリオンリーで提供しているとなれば関心するほどだ。

 WEBサイトをブックマークしてくださいとか言い出さないからな。


 まあ、とにかくそんな魔法少女NETには「魔法少女ランキング」と言うものが存在する。

 流石日本という事もあって最上位はSランク、そしてAからFランクまで存在する。

 で、魔法少女と言うのはここに例外なく登録する必要がある。


 ランキングの閲覧は誰にでもできて、戦闘の様子はライブ配信される機能もある。

 魔法少女が例外なくそれを行われるとなれば、身バレとか普段の生活に支障が出そうなものだが、変身後の魔法少女と言うのは変身元の少女と判別することが出来なくなるいわば認識阻害とも言える便利効果を纏っている。

 だから、テレビの前の皆がどう考えても同一人物じゃんと思ってもこの世界の住人には分からないのだ。

 まあ、正直この世界の人間は地毛でピンクとか青とか緑とかいないから変身して派手な髪色に変わり、尚且つ魔法少女補正でメイクを施されれば普通にわからんが。

 ああ、ちなみに俺の髪は色が落ちないから地毛だよ。多分。


 で、本題はそのランキングの登録は必須だと言うことだ。

 俺は結局魔法少女になることは叶わなかった。

 しかし、魔法少女NETの一機能である「使い魔収納」を使い続けるのであれば魔法少女としての登録が欠かせない。


 一応、魔法少女には勧誘されてから決心するためのお決まりの「悩むフェーズ」があるので、一定期間は登録せずにこの機能を使うことが出来ると言う配慮はある。

 しかしながら、大抵のサブスクと同じで登録せずに使える機能と言うのは永遠ではない。

 無料お試しプラン何て精々一か月が関の山だ。

 と言うわけで、俺はカゲをバックに詰めて生活を送るかどうにかして魔法少女として登録をするかと言う選択を迫られていた。


 選択と言ってもお前魔法少女じゃないじゃんと思われるかもしれないが、どうにもカゲはその辺の偽装は出来ると言う。

 流石推定ラスボスと言うことで俺には悩む程度の材料が手元にあるのだった。


「まあ、でも収納機能使うためだけに、仕事が課されるのはなぁ」


 俺が引き寄せてしまったインベーダーや手の届く範囲の人助けぐらい進んでしてもいいが、全く関係のないところで起きたことに対して予定を飛ばしてはせ参じると言うのは気が進まない。

 大体自分が助けてもらっておいてと言う話だが、俺は出来た人間ではないのだ。

 そう思うとそもそもの話、魂にイチモツをぶら下げてなくても魔法少女には選ばれてなかったのかもしれない。


「ちょっと、貴方何してるの!?」


 何って、自己嫌悪だよ。

 そんなことを思いながら声の方を振り返れば、エメラルドのような瞳を携え、これまたエメラルドグリーンの頭髪を揺らした少女が浮遊していた。

 ああ、魔法少女だ。生で見たのは初めてかも。

 ライブ配信でビルとビルの間を飛んでいるのは見ても、自分が通報するときはそんな暇もなく泣きながら逃げていたからな。


「答えなさい!私はインベーダーの反応があったから来たのよ。何でそのインベーダーが倒されていてその上に貴方が座っているの?」

「あー倒したから?」


 沈黙が彼女の感情を激化させたか更に声を荒げて問い詰める。

 つーか、ミスったな。

 今回は吸収ではなく出力による実験をこいつでしてたために死体が消えてなかった。


 ──どうする?我も見られたぞ

 ──そうなんだよなぁ


 使い魔を連れているのは通常魔法少女だけ。

 カゲを連れた俺を見た時点で俺がこのまま正体を明かさなければ魔法少女であることを前提として情報を探るなりされる可能性がある。

 そうなると、法律で魔法少女以外の一般人によるインベーダーの戦闘は禁止されているから面倒ごとになる可能性は高い。大体、魔法少女に関わる法律ってなんだよって話だが、流石に特別法だろうからどうにかなるとも思えん。


「そう言うことを訊いたんじゃないわよ!ここに出動できる魔法少女反応はなかったし、貴方に対して識別も効かない。何者かって聞いてるの!」

「いやー。初戦闘でさ。まだ登録してなくて」

「嘘つきなさい!この辺りで検出されたインベーダーが最近付近の魔法少女が倒す前に倒されているのもあなたの仕業でしょう!」


 検出って、そうか。

 通報しなきゃいいと思ってたが、インベーダーが現れたのを検知する機械があったな。

 と言うか、これまでの戦闘もまずかったか。

 俺の目の前の空間を切り裂いて来るから他に知られる前に倒せていると思い込んでいた。


「いいわ!力ずくで貴方の正体を暴いてあげる!」


 何も良くないし、こっちは生身だぞ!?

 大体レベルアップの恩恵が無きゃ、動きに反応するのも難しいだろう。


「チッ、カゲ逃げるぞ」


 逆行でも使わなきゃ、巻き込んでの逃走は出来ない。

 仕方なく合図をカゲに送って、スマホに収納する。

 そして、俺はエネルギーを出力する。


 無論攻撃ではない。

 単なる目くらましだ。

 光は蝶を象って、幾重にもなって群を成して少女に向かう。

 一直線に突っ込んでくる少女の視界を奪い、それを振り払う間に離脱した。

 実験した甲斐があったぜ。いや、実験しなきゃ死体は残らなかったけども。


 一応証拠が残らないようにインベーダーの死体も吸収によって処理して俺はその場を離れた。


「どこ行ったのよぉ!」


 すでに少女の絶叫が聞こえる位置にはいなかった。






 ◆


「これからどうするつもりだ」


 エメラルド魔法少女から逃げた俺にカゲはそう問いかけた。

 このラスボス候補も現代の生活に慣れ、すっかり庶民派になってしまった。

 しかし、それゆえか俺の考えには共感することも増え、今回の事態に面倒を覚えているようだ。


 と言うか、俺になまじ金があるから現代育ちではないコイツにとっては成金生活は天国にも等しいのだろう。

 もっと破壊を楽しませろとか言う気配ないし。


「実際、どうしようもないよ。こっちから出来ることもないに等しいし、あくまで最悪の事態は最悪の事態、あの魔法少女がアクションを取らない可能性だって十分に考えられる」


 俺は魔法少女でないのに戦闘行為をしたことに対して大きな力がかかる可能性はあると考えていたが、あくまで可能性だ。

 少女が態々行動を起こさなければ起こることでもないし、国家のオジサンたちに大事にされている魔法少女の頼みと言えど態々、俺を探すために動くとも思えない。

 第一メリットがないしな。

 俺は別に人類に害を与えてないしな。むしろ貢献しているまである。


 うんうん。


「おい。現実逃避をするな。オマエも気付いているだろ」

「うるさいな~」


 気付いてるって。

 わかりやすい尾行しやがって。

 おい、そのサングラス取れや。車の中から尾行してるからってふんぞり返ってるんちゃうぞ。


 と言う事で、このまま家には行けない。

 近くの地下駐車場に向かうことにした。

 あれ、これって車じゃないとどっから入るの?

 ああ、こっちか。


「気付かれてしまいましたか」


 冷たいコンクリートを照らす光の中で俺の隣に止まった車の中からスーツ姿の男が出てくる。

 こんな暗い場所でもサングラス取らない男を見てると一瞬こちらから目をそらして後部座席へと手をかけた。

 ドアマンかのようにして車のドアを開けるとドアの下の隙間からヒールが見えた。

 大人の女性かなとわくわくしてみれば、婆さんだった。

 小綺麗でどっかのセレブみたいだ。


「まずは貴方を尾行するような真似をしてしまったことを謝ります」


 「別にいいですよ」とは言えん。

 とりあえず睨んでおこう。婆さんのこうげきりょくがさがった!


「ですが、どうか。我々に少しばかりお話しする時間をいただけませんか?」

「手短に」

「承知しています。では、私の自己紹介から、魔法少女統括管理委員会副委員会長の森峰と申します」


 名刺を受け取る。肩書き長!?

 そういや名刺って受け取り方あったよな。どうすんだっけ。

 やべ、片手で受け取っちゃった。

 えっと、貰ったらすぐにしまった方が良いんか?分からんからしまっとこ。ずっともらったものを持ってるなんて非常識だろ。

 なんか森峰さんの眉がピクリと動いた。何それ?わかってんじゃん、みたいな感じ?


 つーか魔法少女の管轄してるとこの人じゃん。

 でも、エメラルド少女がノータイムでチクんなきゃこのタイミングで来なくねぇか?

 いや、そもそもエメラルド少女の送迎をこの車で行ったくらいの事じゃなきゃ説明がつかない。


「実はあなたに今日は頼みがあって来ました」

「頼み?」


 違法インベーダー討伐を直々に咎めに来たのか思ったが違うのか。


「ええ、今現在あなたが行っているインベーダー討伐に関してこちらに少しばかり、お手伝いをさせて頂きたいのです」

「手伝い?足手纏いはいらないけど」


 もしかして、自分の目のかける魔法少女でも同行させて箔でもつけたいのか。

 ランキングに登録されていない俺を同行させることで疑似的に実績を得る。

 そう考えて敢えて強い言い方をする。

 本来ならこちらが強気に出られる相手でもないが、俺は他の魔法少女にまで責任は持てない。

 一人で、討伐出来ない程度の実力であれば死ぬ確率は高いだろう。

 だが、森峰はそうではないと言う。


「いえ、お手伝いと言うのは戦力的な話ではありません。我々の言うのは「魔法少女NET」を始めとする魔法少女への特典や支援の提供をあなたに行いたいのです」


 恩を売りたいと言う事だろうか。

 そう思い訝しむ。狙いが見えない。


「加えて、魔法少女に課せられる討伐義務や要請の類は免除します」

「目的は?」


 俺には難しいことはわからない。

 だから、端的に彼方の目的を聞くことにした。

 嘘でも何でもそれがなければ考えようがない。

 

 森峰は渋るように言葉を吐いた。


「……我々はあなたの力を評価しています。同時に現場にいち早く急行し討伐を行い被害を抑えて頂いていることにも感謝しています。しかし、一方で委員会内の一部では危険視する声も出つつあります。その声を抑えるために、どうか表向きだけも登録をしていただきたいのです。無論これまでの違法とみなされる行為も登録手続きの処理が遅れていただけだと情報の修正を行います」


 つまり言葉の上では少なくともこの人は俺の存在を好意的にとらえている。

 しかし、違法行為であることには変わりないから咎められないうちにホワイトにしたいと言う事だろう。


 ──どう思う?カゲ

 ──更に条件を上乗せして承諾しても良いと我は思う。


 だよな。

 そもそも、副委員長とやらはトップ2だろう。

 そんな人が態々出向いていると言うのなら誠意としては十分だ。

 それに元々悩んでいたことだ。


「わかった」

「っ!……ありがとうございます」


 森峰は分かりやすく反応を示して頭を下げた。


「ただし、条件がある。私の邪魔はするな」

「もちろんです。それに、何かお役に立てることがあれば何なりと申し出てください」


 森峰は再度頭を下げる。

 まあ、話しは終わったか。そう思い背を向けようとした俺に森峰は口を開く。


「あの。最後に何とお呼びすればいいか、教えて頂けませんか?無論、活動名です」


 ああ、魔法少女はそう言うのがあるんだったな。

 まあ、正直うんこakaなう、とかでもいいが、どうするか。

 大体、この身体の名前の「比果比五子(ヒガヒイコ)」と言う名もキャラクリの時に自分でつけた名前だしな。

 俺の感覚からすればこっちも偽名のようなものだ。

 ただ、生活に支障があると考えれば別に決めた方が良いだろう。

 すでに、素顔はさらしているんだ。名前までさらせるか。


「じゃあ、コフィンで」


 そもそも比五子は珈琲を反対から読んでつけた名前だ。

 なまって、こーふぃん、コフィンって感じで良いだろう。多分。

 つーか、コフィンってなんだろ。マフィン的な?


「わかりました。コフィンさん。では、我々はすぐに手続きを行います」


 俺は頭に浮かんだ疑問に意識を向けているとそんな言葉が帰って来た。

 またつけられても嫌だし、さっきみたいにエネルギーを蝶の形にして全身を隠してその場を離れることにした。

 防犯カメラも一応塞いでおいたので大丈夫だろう。

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