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TS転生した俺は魔法少女になれないらしい  作者: えとう えと
一章

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15/19

ひらめき!


「やっぱり、私はダメだな」


 偶然遭遇した比果比五子と自分を比較して自己嫌悪に陥る。

 やはり、誘因気質なのかインベーダーが目の前に現れて、比果比五子がそれを倒した。

 自分も戦えるようになったのだ。だからこそ、変身しようとしたがその前にインベーダーは両断された。


 そして、どうにも周辺に複数体同時に現れたと言う事実をしった比果比五子はもみじに笑いかけてその場を離れた。

 こんな時にすぐについていくと言えない自分を恨めしく思う。

 こんな自分とは違って彼女は成長していると言うのに。力もそうだが、ただ自分への火の粉を払うだけでなく今のように人を助けに行っている。

 ただ、力を付ければつけるほどに、どれだけ自分に実力がないのかを痛感してしまう。

 だからこそ、今回大量発生しているインベーダーはD級の自分には敵わないとわかってしまう。


 先ほどだって、彼女は力を使い目から血を流していた。

 そんな異常な自己犠牲にだって、寄り添い止めることが出来ない。

 だって、自分は弱いから。

 無責任に役目を変わることすらできないのだから。






 ◆


「あのクソ女。とんでもないもん使わせやがって」


 俺は脳内に狂った白衣の女を思い出す。

 奴が報酬にとくれた魔眼コンタクトを試しに使ったがひどい目にあった。

 十回の報酬に一度もらえる魔眼コンタクトで、やっと一つもらえたのが「望遠視」の能力を扱う事の出来るものだった。

 そしてスマホの観測魔眼メーターの異変と共にいきなり複数体現れたインベーダーに対して使って見たのだ。


 まあ、能力としては使い物の範疇ではあったと思う。

 だが、こんなもの使えたもんじゃない。

 確かに奴は1dayと言っていた。超ベリーベリーハードとも言っていた。


 だが、目ん玉が爆発するとは思わねぇだろ。


 何で、前世はソフトだったから痛かったらどうしようとか緊張してつけてみれば、目が破裂すんだよ。

 普通に叫んだし。隣にいたもみじを驚かせてしまったし。

 端から片目分しかなかったからよかったが、俺の身体に回復の仕様がなかったらどうしてくれんだ。

 確かに思い返してみれば、琴浦自身の魔眼は再生するとか言ってたから自分で使う分には良かったんだろうが。


 ちなみに、逆行は発動しなかった。

 多分、ゲームでもこういう仕様なんじゃないかな。知らんけど。

 なんで、こんなのが世間で流行ってたんだ?


 大体、琴浦の目的が俺の目を破裂させることだった可能性だってある。

 普通最初に説明するよな。

 と言うか、留意すべき内容ではなく判断を左右する事項だろう。


 いや、もしかしたら言っていたのかもしれない。

 奴の話は洪水のようにとめどなく流れ出て来るし、大半は意味のないような空っぽな話のくせしてシレっと重要なことを言ったりする。

 マジで「スカラカ、チャカポコ」と聞こえてきそうだ。

 それにたちが悪いのは奴の地獄外道祭文には「ヘイ。御退屈様」なんて言う絞めの言葉はない。奴は多分相手が退屈しているなんて考えを持つことは一生ないだろう。

 こちらが、その場を離れても一生喋っているくらいだ。


「思い出しただけで頭が痛くなってくる」


 こぼれた言葉にカゲが首を傾げて、琴浦のことだと言えば「あぁ……」と同情するような顔をした。

 仮にも推定ラスボスが、一回、人化させて生贄にしたのに素直に同情するほど、やはりあのイカレ女はやばいのだろうか。


「いや、忘れよう」


 今は、目の前のインベーダーだ。

 確認した限りでは、飛行能力を有する個体が十三。

 脅威度は低く恐らく知性体ではない。A級にも満たないだろう。


 だが、空からの民間人への攻撃や情報の共有を知性体へ送る手段などあれば、倒しておくに越したことはない。


 数も多いし、出力で作った刀の錆にしてやろう。

 先ほどのもみじと俺の前に出て来たインベーダーには効果があることは分かっている。

 ただ、まだ試作の域は出ないので、色々と試したいと思っていたのだ。


 バレーボールほどの眼球に羽根が生えたような、不気味な見た目の個体を見据えた。

 同じ形状が五体。俺目掛けて突撃してきた。

 その囲む様に俺の元へと衝突せんとするそれらを逆行で躱す。

 一歩後方へ移動した俺の手には例の出力で作られた黒い刀が握られていた。

 そして、それを一振りすれば、五体まとめて両断することに成功した。


「やっぱ、出力を付与出来れば有効打になるな」


 黒い刀身を見て呟く。

 インベーダー相手に対して通常魔法少女と違い、俺は吸収での攻撃手段しか持ち合わせなかった。

 しかし、出力した刀に吸収の効果を施すことで、武器による攻撃手段を得ることに成功していた。

 本来、俺が手で直接触れて吸収しなければならないが、ある種、刀を身体の一部として解釈することによりその効果を刃まで付与するに至っていた。

 実際、吸収は俺の身体をパスとして使い、エネルギーを吸い取る力だ。そして、それは別の物体を挟んで効果を及ぼすことは出来なかった。

 だが、俺が出力したエネルギーから出来ているそれならば、「身体」として解釈をして体を伸ばすような感覚でこういったことが出来るのではないかと考えていたのだ。

 

「ん?」

「キサマも気付いたか」


 出力により生成した刀の性能の把握は大体できた。

 後は適当に、周辺のインベーダーを狩ろうと移動しつつ、切っては捨てを繰り返していれば何やら一体のインベーダーを囲うようにして魔法少女が戦っていた。

 そして、二人が戦闘不能になっていて最後の一人がラストチャンスを逃したのを見て、俺は飛び降りた。

 両手で刀を握りこんで、インベーダーの首に狙いをつける。

 落下に身体を任せて、不意を突いて首を飛ばした。


「……」


 そして不意に白い衣装をまとった魔法少女と目が合う。

 何か驚いたように目を見開いた。


「魔法少女……コフィンさん、ですよね」


 どうやら彼方は俺を知っているらしい。

 面識はないが俺もネットで見たことあるような気もする。そんなことを考えて首を傾げる。


「……すみません。自己紹介がまだでしたね。お見苦しい姿で恐縮ですが、私は魔法少女雪砂です」


 俺の沈黙をどう受け取ったのか、少女──雪砂は自らを名乗った。


「えっと、獲物をよこどりするような真似をしたことは謝る」


 正直、俺が不意を突いて居なければ全滅していただろうが、割り込んでいったのは事実だ。一応謝罪をしておこう。

 実際、最初から俺がこの場に居ても、今みたいな完全な意識外からの攻撃でもしなきゃ難なく倒せなかったことも分かるほどの気配を持っていたし。


「いえ。助けていただいたことには感謝しています。ですから、気にしないでください」

「そう」


 特に気にしていないのなら良かったと思いつつ口を開く。


「……それと、一応応急処置はしておいたけど」


 俺は、血を流す緑髪の少女とそれよりは軽傷そうな少女を指す。

 怪我を負っていたから、俺のエネルギーを使用して回復をさせた。

 初の知性体遭遇からいろいろ試したが生身の人間を回復するのは今のところ無理っぽいけど、魔法少女は魔力体という事もあってある程度の回復をすることが出来ることがわかった。

 目を覚ますほどの回復は出来ないが。

 と言うか、なんか見たことあるような……。あれ?エメラルド少女じゃねこれ?


「ありがとうございます。……回復能力も有しているのですね」

「あー。まあね」


 雪砂の言葉に適当に返した。

 そんなとき不意にまた強力な気配を感じる。


「これは……」

「滿汐はまだ各地で影響を及ぼしているようですね」


 滿汐と言うのは、世界強度がどうたらでたくさんインベーダーが来ることだったよな。

 淡い記憶を思い出す。

 こんなファンタジーの設定も教科書に載っているだけで、眠気がしてくる。

 琴浦が作ったとかいう観測魔眼はともかく、滿汐は災害名として広く知られているはずだけど、世界強度とかの仕組みはどうなんだろうか?流石に予測できないことはないだろうが。


 素朴な疑問を浮かべていれば、雪砂は難しい顔をする。


「ですが、これは些か強力過ぎる反応です……!」


 スマホで何か情報を確認できるのか、画面を睨んでいる。

 魔法少女NETに関してはカゲに任せきりだからな。未だにそこまで機能について知らない。


 ──強力なインベーダ―反応だ。

 ──強力?

 ──先ほど不意を突いた奴とは比べものにならないほどの反応を示している。委員会は、S級指定を出した。


 S級指定。

 問答無用でA級認定されるのが知性体と言う存在で、知性を有しているだけでそれなりに強い。

 そして、ピンからキリまであるA級だが、その上位にいるインベーダーはとてつもなく強い。

 多分タイマンじゃ俺には勝てん。

 で、そんなインベーダーが逆立ちしても届かない脅威として存在するのが、S級指定インベーダーと言う存在だ。

 そいつらを対処できるのはS級認定魔法少女だけと言える。


 そんな存在として、委員会は現れた一つの反応に対して判断づけた。


 これに対して、俺たちA級以下は近づくことさえも許されない。

 課される命令は撤退だ。

 だが、スマホを見つつ俺は口を開いた。


「ここは……さっきの公園か?」

「先ほどまで、居たのですか?」

「ああ」


 返事をしながらもみじは避難できたかを考える。

 いくら魔法少女と言っても相手はS級だ。仮にもA級認定された俺ですらしっぽを巻いて逃げる事態だ。

 その時、カゲがテレパシーで叫ぶように言った。


 ──おい。気になって調べてみたら、魔法少女朝桜の自動配信機能が作動している。確実に上位指定インベーダーと遭遇している。


「マズイな」

「どうかなさいましたか?」


 俺の呟きが、聞こえたのか雪砂が問うてくる。

 

「知り合いの魔法少女がインベーダーに遭遇したらしい」

「本当ですか。それはまずいことになりましたね」


 神妙な顔をした雪砂が自分の顎を触る。


「ああ。S級魔法少女がすぐ来てくれることを願いたいが、それを待ってる暇がない。救出するにしてもその間まで凌げるか……」

「いえ、そうではありません。救出にあたってですが、S級魔法少女の力を借りることはできないかもしれません。現在S級魔法少女に要請が届いているはずですが、何らかの原因があるのか、急行する気配がありません」


 事態に対処できる唯一の手が微動だにしていないことを知らされた。

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