屋上!
A級魔法少女が大量に生えてくる天坂とかいう魔境について
124:名無しの魔法少女マニア
朝桜ちゃん一生魔法少女コフィンの話してないか?
126:名無しの魔法少女マニア
自身のライブ配信でも言ってたけど、マジの恩人らしいし。
実際、ずっと最下位の自分の背中押してくれたって考えると妥当な気もする。
129:名無しの魔法少女マニア
なんか、朝桜の話題が最近多くて気になってライブ配信覗きに行ったら、朝桜じゃなくて魔法少女コフィンについて詳しくなったんだが
132:名無しの魔法少女マニア
俺と同じ経験してる奴いたわ
133:名無しの魔法少女マニア
俺もおんなじ
140:名無しの魔法少女マニア
朝桜も話題だけど、此処までの話題性になったのはやっぱりその前のコフィンのランキングの件もあんのかね?
145:名無しの魔法少女マニア
普通に関係してる。
謎の魔法少女って騒いでるとこに、密かに人気のあった不動の最下位朝桜の恩人発言だし。
146:名無しの魔法少女マニア
でも、朝桜ちゃんの力説を聞いてなお分かることは少ないんだよね
152:名無しの魔法少女マニア
コフィンって名前も謎なんだよな
日本の魔法少女は皆漢字名だし
154:名無しの魔法少女マニア
あれって使い魔が決めるらしいけど、名前に魔術的な意味を込めるとかで漢字なんだよな
そう言うとこは巫女が原型って感じがする
155:名無しの魔法少女マニア
何にしても棺ってのも気になるよな
前々からインベーダーの棺説はあるけど
157:名無しの魔法少女マニア
今回の侍インベーダーとの戦いを考えるとその説が補強される気が済んだよな
倒した侍の刀を模倣してたし
159:名無しの魔法少女マニア
あれがコフィンの魔法かもな。
倒した相手の持ち物を模倣して自分の物にするとか
160:名無しの魔法少女マニア
弁慶かよ
163:名無しの魔法少女マニア
自身が棺となってインベーダーの武器を取り込んでいる節はあるよな
多用する鎖とか槍とかもそんな気がする
166:名無しの魔法少女マニア
昔いた死神ちゃんを思い出すわ
あれも、インベーダーの命を刈り取った魂の解放とか言ってたし
168:名無しの魔法少女マニア
少し気になるのが、殺したインベーダーの武器の貯蔵が魔法だとして、他の攻撃が何なのかは気になるんだよな。
ハサミ使った瞬間移動と接触によるインベーダーの魔法体の分解。
171:名無しの魔法少女マニア
それとインベーダーの発生予測の能力な
警報より先にコフィンが現場にいつもいんだよな
174:名無しの魔法少女マニア
その辺は朝桜ちゃんが知ってるんだろうか?
プライバシーの尊重の意識があんのか、能力の詳細についてはあまり語らんからな
175:名無しの魔法少女マニア
コフィンが増えたせいで天坂の魔法少女が凄いことになってんな
179:名無しの魔法少女マニア
天坂の魔法少女の数はそもそも多いけど、S級一人いるだけじゃなくてコフィンも現れたからなぁ
182:名無しの魔法少女マニア
天坂が魔境になりつつあるのはそうだけど、七人しかいないS級魔法少女の夜空と同列に扱われるコフィンが異常じゃね?
◆
学校の屋上ってのは現実問題入ることが出来ない。
漫画や小説なんかで幻想を抱いた少年少女がリアルを目の前にして膝から崩れ落ちることも珍しくない。
むしろ、現実の屋上は漫画なんかと違って入れないなんて言うネタは発火するほどこすられている。
そして例にもれず、前世では学校の屋上何て入ることが出来なかった俺だが、今世では違った。なんたってゲームの世界だし。
一人だけ疑似制服での登校の日々に少し疲労を感じて、人目のつかない場所を探してみれば屋上へ入れることが分かったのだ。
始めは階段の裏とかトイレとかいろいろ考えたが、結局人目はあった。階段の裏はイチャイチャと戯れるカップルと同席する羽目になったし、トイレは女子トイレと会って余計に人が来た。
そんな紆余曲折の末に見つけた屋上で俺は伸びをした。日差しが気持ちいい。
「しかし、眩しいな」
太陽を見ながら目を細める。
もう少ししたら夏になるだろうか。
そんなことをボケーと考えていると一つの声を揺らした。
「貴様にも分かるか。奴らの光が」
僅かに背後を振り向けば、仁王立ちする一人の少女が目に映った。
無機質な印象を受ける正方体の階段室の上に立つ少女に俺は言葉を返す。
「ああ、精霊が泣いている」
「精霊が!?」
俺が適当に返答すれば少女は驚いて見せる。
少女の名前は方波見黒墨。見ての通り中二病だ。
俺ほどではないが、既存の制服に黒の要素の多い着こなしをする彼女とはこの屋上で出会った仲で、そして、この学校で数少ない友人にギリギリ分類できる人間だった。
琴浦レンズのような行き過ぎたイタイ人間は勘弁だが、顔の言い美少女であれば中二病も愛嬌だ。それに、一番の白衣の狂人との違いは人目を弁える程度の節度を持っていることだ。決して人前ではしない。彼女の中二病発動ゾーンはこの屋上だけだ。なら、こちらも付き合ってやろうと言う物。
「精霊が泣き。異界の光が漏れ出ている」
「まさか!?」
「ああ、世界が軋んでいる。……来るぞ!」
弾かれるように黒墨は空を睨んだ。
まあ、何もないんだけどね。
年甲斐もなくはしゃぐのも楽しいな、なんて思っていた時、バキバキと嫌な音がした。
ああ、そうだった。引き寄せるんだった。
宙に罅が入って、硝子のように割れる。
紛れもなくインベーダーの出現だった。
「やるか?」
いや、やんないよ。構えんな。
どこまで行っても一般人には歯が立たない。分別があると思っていただけに、対抗しようと構えを取った黒墨におののく。
「いや、私たちが手を出すまでもない」
何とか彼女の動きを制止しようと言葉を吐いた。
普通に止めてもだめだろうと思って、それっぽい感じで言って見る。
それに対して「まさか!?」みたいな感じで目を見開いたので止まってくれるだろう。構えを解いたことに胸を折ろす。
でも、どうやってあのインベーダーを止めようか。目の前で、俺が認識阻害をかけてもバレるだろうし。面倒ごとは勘弁だ。
しかし、俺の悩みとは裏腹に、一つの光がインベーダーにぶつかった。
「学校にまで現れるなんて、いい度胸ね!」
「翠冷。近くに学生がいます。攻撃が当たらないように気を付けてください」
なんか聞き覚えのある声だと思えば、エメラルド少女がそこにいた。
隣に浮遊する緑色のぬいぐるみを思うと「翠冷」と言うのがエメラルド少女の名前だろうか。
「わかってるわよ。被害を出す前に倒してやるわ!」
翠冷はそう宣言して、魔法を発動した。
少女が指を動かすと、ほんのりと緑に光る一枚の葉っぱが出現する。
それを手から離すとゆらりと風に乗った葉っぱがインベーダーに触れた。
不思議そうに葉っぱを見ていたインベーダーは次の瞬間、霜が身体を広がり、動きを止めた。
「とどめ!」
翠冷はステッキを握りこんで、凍り付いたインベーダーを殴れば、石造のように割れる。
殴るのかよと思ったが、なるほど彼女は強いのかもしれない。
そして、翠冷は俺たちの前に降り立った。
「貴方たち、怪我はない?……って、方波見黒墨!?」
「……」
翠冷は黒墨を見て、驚いた声を出した。対する、黒墨は特に反応はない。
一方的に、認識しているのか。それとも、魔法少女であるがゆえに認識阻害が働いているのか。
何にしても、魔法少女と言う立場上まずいと思ったのだろう。翠冷はごまかすように視線を外した。
その様子に、一件落着と胸を降ろすのだった。
◆
「やはり、比果比五子は魔法少女コフィンか」
「クスミの予感は当たってたぜ」
魔法少女夜空。
数少ないS級魔法少女の一人である方波見黒墨の言葉に使い魔であるダークムーンが言葉を返す。
そんな中、遠くを見た黒墨はニヤリと口元に笑みをたたえた。




