ガンダムという名の革命 第6話:立てよ国民!(終)
作者のかつをです。
第十三章の最終話です。
一つの作品がいかにしてファンの熱狂を巻き込み、時代を動かし、そして文化そのものになったのか。
その奇跡の軌跡を描きました。
※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。
『機動戦士ガンダム』の奇跡の復活劇。
その熱狂は一つの巨大なクライマックスへと収束していく。
テレビシリーズを再編集し新作カットを加えた劇場版三部作の公開である。
そしてその第一作目の公開を前にした1981年2月22日。
新宿駅東口広場で一本の歴史的なイベントが開催された。
「アニメ新世紀宣言」。
そこに集まったのは一万五千人ともいわれる若者たちだった。
彼らはただガンダムを愛するというその一点だけでここに集っていた。
ステージに富野喜幸が立った。
彼は眼下に広がるおびただしい数のファンの姿を見て絶句した。
かつて誰にも理解されず打ち切りという屈辱を味わった自分たちの物語。
その物語をこんなにも多くの若者たちが愛してくれていた。
彼の目に熱いものがこみ上げてきた。
彼はマイクを握りしめ、こう叫んだ。
「私は今、感動であります!」
「テレビのまんがはもう卒業しました。これからはアニメ新世紀の始まりです!」
その高らかな宣言に、広場は割れんばかりの歓声に包まれた。
それはアニメがもはや子供だけのものではない。
若者たちの文化として胸を張って市民権を得た歴史的な瞬間だった。
ガンダムというたった一本の作品が、アニメの歴史そのものを変えてしまったのだ。
……2025年、東京。
物語の冒頭に登場したあのお台場の実物大ガンダム。
その足元で一人の青年がスマートフォンを構え、夢中でシャッターを切っている。
彼は知らない。
今自分が当たり前のように見上げているその「リアルロボット」という文化が。
かつて「おもちゃを売るためのアニメはもうやらない」と誓った、名もなきクリエイターたちの誇り高き反逆の結晶だということを。
視聴率という巨大な壁に一度は敗れながらも。
ファンの熱い愛によって奇跡の復活を遂げた、不屈の物語だということを。
歴史は遠い過去の記録の中だけにあるのではない。
私たちの心を熱くさせるあのヒーローの、その鋼の肉体に確かに宿っているのだ。
青年は撮った写真を見返し、満足げに微笑んだ。
その魂は確かに次の世代へと受け継がれていた。
ジーク、ジオン。
その合言葉と共に。
(第十三章:ガンダムという名の革命 ~おもちゃを売るためのアニメは、もうやらない~ 了)
第十三章「ガンダムという名の革命」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
新宿での「アニメ新世紀宣言」はまさに歴史的なイベントでした。この時シャアのコスプレをした若き日の富野監督が、ファンと共に「ジーク・ジオン!」と叫んだという伝説が残されています。
さて、アニメが若者文化として市民権を得た物語でした。
次なる物語は週刊誌が登場するさらに前の時代。
もう一つの知られざる漫画文化の物語です。
次回から、新章が始まります。
**第十四章:駅のホームの忘れもの ~貸本漫画、もう一つのまんが道~**
書店で本を買うのが当たり前ではなかった時代。
路地裏の小さな「貸本屋」が漫画文化の主役でした。
そこで育まれたもう一つの過激で自由なまんが道の物語が始まります。
引き続き、この壮大な漫画創世記の旅にお付き合いいただけると嬉しいです。
ブックマークや評価で応援していただけると第十四章の執筆も頑張れます!
それでは、また新たな物語でお会いしましょう。
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▼作者「かつを」の創作の舞台裏
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