『少年ジャンプ』が愛読者賞を始めた日 第6話:王者の座へ
作者のかつをです。
第十章の第6話をお届けします。
ついにジャンプが頂点へと上り詰める歴史的な瞬間です。
今回はその怒涛の快進撃を具体的な作品と共に振り返りました。
読者の皆様も胸を熱くした作品があったのではないでしょうか。
※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。
1970年代。
日本の漫画界の勢力図は、劇的に塗り替えられようとしていた。
かつて絶対的な王者だったはずの『週刊少年マガジン』と『週刊少年サンデー』。
その輝きに少しずつ翳りが見え始めていた。
学生運動の終焉と共に彼らが得意としていた熱血スポ根ものや社会派の作品が、徐々に読者の心を掴めなくなっていたのだ。
その巨大な二つの山の谷間に、一条の眩しい光を放ちながら猛烈な勢いで駆け上がってくる新世代の挑戦者。
それが『週刊少年ジャンプ』だった。
彼らがその手に握りしめていたのはいつの時代も子供たちの心を熱くする普遍的なテーマ。
「友情・努力・勝利」。
本宮ひろ志の『男一匹ガキ大将』がその口火を切った。
貧しい少年が友情と根性だけを武器に日本中の番長を束ね、ついには政財界の巨悪にまで戦いを挑む。
その荒唐無稽でしかし圧倒的に熱い物語に子供たちは熱狂した。
ジャンプはついに発行部数100万部を突破する。
その勢いはもう誰にも止められなかった。
愛読者賞で発掘された新しい才能たちが次々とジャンプ三原則を体現したメガヒットを放っていく。
永井豪の『マジンガーZ』。
車田正美の『リングにかけろ』。
そして、ゆでたまごの『キン肉マン』。
彼らの描くヒーローたちは決してクールではなかった。
不器用で泥臭く何度も何度も打ちのめされる。
しかし仲間との友情を支えに血の滲むような努力を重ね、最後には必ず強大な敵に勝利する。
そのシンプルで力強い物語のフォーマットは少年たちの心を完璧に鷲掴みにした。
そしてついにその日はやってきた。
1978年。
『週刊少年ジャンプ』の発行部数は200万部を突破。
マガジンとサンデーを抜き去り、ついに週刊少年漫画誌のトップの座へと躍り出たのだ。
創刊からわずか10年。
後発の三番手と呼ばれた弱小の寄せ集め軍団が起こした奇跡のジャイアントキリング。
編集長の長野規は刷り上がったばかりの最新号のジャンプを感慨深げに見つめていた。
その表紙には誇らしげに「発行部数200万部突破!」の文字が躍っていた。
しかしこれはまだ頂点ではなかった。
ここから始まるジャンプの空前絶後の黄金時代のほんの序章に過ぎないことを、彼はまだ知らなかった。
王者の座は手に入れた。
しかし本当の戦いはここからだった。
この王座を守り続けるという孤独で果てしない戦いが。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
ジャンプが初めて発行部数でトップに立った1978年。この年は奇しくも『スター・ウォーズ』が日本で公開され社会現象を巻き起こした年でもありました。時代が新しいエンターテイメントを求めていたのかもしれませんね。
さて、ついに王者の座を手に入れたジャンプ。
その最強の作り方は現代の私たちにどう繋がっているのでしょうか。
次回、「最強の作り方(終)」。
第十章、感動の最終話です。
物語は佳境です。ぜひ最後までお付き合いください。
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