韓国から来た黒船、Webtoonの襲来 第4話:ピッコマの逆襲
作者のかつをです。
第十九章の第4話をお届けします。
Webtoonの代名詞ともなった大ヒット作『俺だけレベルアップな件』。
この作品の成功が、日本におけるWebtoonの地位を一変させました。
コンテンツの力がプラットフォームを牽引する、そのダイナミズムを描きました。
※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。
2016年にサービスを開始した「ピッコマ」。
最後発の漫画アプリとして登場した彼らは、当初苦戦を強いられた。
日本の有名出版社の人気作は、すでにLINEマンガやKindleといった先行プラットフォームが押さえていたからだ。
「我々には武器がない」
カカオジャパン(現・カカオピッコマ)の金在龍社長は、起死回生の一手を模索していた。
日本の読者に媚びるのではなく、自分たちが持つ最強のコンテンツで勝負するしかない。
彼らが投入したのは、韓国で大ヒットしていたWebtoon、『俺だけレベルアップな件』だった。
最弱のハンターだった主人公が、ある日特別な能力に目覚め、ゲームのように「レベルアップ」して最強の存在へと成り上がっていく物語。
その内容は、日本の「なろう系」小説やRPGゲームに慣れ親しんだ読者層に、強烈に刺さるものだった。
そして何より、そのビジュアルの衝撃。
暗闇に光る魔獣の目。
炸裂する魔法のエフェクト。
縦長の画面をフルに使った、疾走感あふれるアクションシーン。
フルカラーだからこそ表現できる、リッチで迫力のある映像美。
「なんだこの漫画は!?」
「絵が凄すぎる。アニメを見ているみたいだ」
日本の読者たちは、初めて「本気のWebtoon」の底力を見せつけられた。
ピッコマは、この作品を「待てば¥0」という強力なエンジンに乗せてプッシュした。
読み始めれば止まらない。
続きが気になって課金する。
その中毒性は凄まじかった。
『俺だけレベルアップな件』は、瞬く間に日本の電子コミック市場でトップクラスの売り上げを叩き出した。
名だたる日本の人気漫画を押しのけて、韓国発の縦読み漫画がランキングの1位を独占する。
それは、日本の漫画関係者にとって信じがたい、そして恐るべき事態だった。
「Webtoonは、売れる」
その事実は、もはや誰の目にも明らかだった。
それは単なる暇つぶしではなく、読者がお金を払ってでも読みたいと思う、れっきとした「エンターテイメント」として認知されたのだ。
ピッコマの快進撃は、日本の出版社たちの意識を変えた。
「我々も縦スクロール漫画を作らなければならないのではないか」
しかし、いざ作ろうとした彼らは、Webtoonの制作システムが日本のそれとは根本的に異なることに愕然とすることになる。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
『俺だけレベルアップな件』は、アニメ化もされ世界中で大ヒットしました。タイトルの響きからも分かる通り、原作は韓国のウェブ小説です。小説からWebtoonへ、そしてアニメへというメディアミックスの流れも確立されました。
さて、Webtoonの威力を見せつけられた日本の漫画界。
しかし、その制作手法は日本の伝統的なやり方とは全く異なっていました。
次回、「フルカラー、週刊連載」。
個人の才能に頼らない、工業化された制作システムの秘密に迫ります。
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▼作者「かつを」の創作の舞台裏
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