表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
漫画創世記~ペン先は世界を描いた~  作者: かつを
第4部:失われたペン先編 ~時代の波とWebの衝撃~
109/131

『COM』、手塚治虫が若者に託した夢 第2話:神様の号令

作者のかつをです。

第十七章の第2話をお届けします。

 

「COM」という名前に込められた意味。

それは一方的な発信ではなく、読者との「交流」を重視するという、当時としては非常に先進的なコンセプトでした。

 

※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。

1966年、虫プロ商事の一室。

手塚治虫は集められた若い編集者たちを前に、熱っぽく語っていた。

 

「新しい雑誌の名前は『COMコム』にする」

 

COMICS(漫画)、COMPANION(仲間)、COMMUNICATION(対話)。

そのすべての頭文字をとった名前だ。

 

手塚の構想は明確だった。

単にプロの漫画家が作品を発表するだけの場ではない。

漫画家と読者が、あるいは読者同士が、漫画を通じて語り合い、共に新しい表現を模索する「広場」のような雑誌にするのだ。

 

「『ガロ』が閉じた密室の熱狂なら、我々は開かれた広場の熱狂を目指す」

 

彼は、当時の商業誌では敬遠されがちだった実験的な作品や、個人的なテーマを描いた作品を積極的に掲載することを宣言した。

 

そして何より、彼自身がその先頭に立つ覚悟を決めていた。

 

「僕も描くよ。今まで少年誌では描けなかった、僕のライフワークを」

 

手塚のその言葉に、編集者たちは身震いした。

神様が本気だ。

あの手塚治虫が、売れることや人気取りを度外視して、本当に描きたいものを描く場所を求めている。

 

さらに手塚は、石ノ森章太郎や永島慎二といった、当時の若手実力派たちにも声をかけた。

彼らもまた、少年誌の枠組みの中では描ききれない何かを抱えていた。

 

「手塚先生がやるなら」

「ここなら、自由に描けるかもしれない」

 

トキワ荘出身の天才たちが、手塚の号令の下に集結し始めた。

 

編集部は熱気に包まれていた。

儲かるかどうかは二の次だ。

とにかく、漫画という表現の限界に挑みたい。

見たこともないような凄い雑誌を作りたい。

 

その純粋で危険な情熱が、雑誌作りの原動力となっていた。

 

1967年1月。

ついに『COM』創刊号が世に放たれる。

その表紙には、手塚治虫が描き下ろした、炎をまとった不死鳥の姿があった。

それは彼自身の、そして漫画という文化そのものの再生と進化を象徴する、力強い宣言だった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

 

『COM』の創刊号は即日完売するほどの人気だったそうです。当時の漫画ファンたちが、いかに「新しい何か」に飢えていたかが分かりますね。

 

さて、手塚治虫がこの雑誌のために用意したライフワーク。

それは日本漫画史に輝く不滅の金字塔でした。

 

次回、「火の鳥という生命」。

神様が描いた壮大な生命のドラマに迫ります。

 

よろしければ、応援の評価をお願いいたします!

ーーーーーーーーーーーーーー

もし、この物語の「もっと深い話」に興味が湧いたら、ぜひnoteに遊びに来てください。IT、音楽、漫画、アニメ…全シリーズの創作秘話や、開発中の歴史散策アプリの話などを綴っています。


▼作者「かつを」の創作の舞台裏

https://note.com/katsuo_story

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ