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漫画創世記~ペン先は世界を描いた~  作者: かつを
第4部:失われたペン先編 ~時代の波とWebの衝撃~
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商業主義に背を向けた伝説の雑誌 第6話:時代の終わりと内紛

作者のかつをです。

第十六章の第6話をお届けします。

 

どんな偉大な文化もいつかは終わりを迎えます。

今回は『ガロ』という伝説の雑誌がいかにしてその輝きを失い、最期を迎えたのか。その少し切ない物語を描きました。

 

※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。

絶対的な柱であった白土三平と長井勝一。

その二つの太陽を同時に失いかけた『ガロ』は迷走を始めた。

 

長井が病に倒れた後、編集部は若いスタッフたちに引き継がれた。

しかし彼らには、長井のような神がかり的な才能の嗅覚はなかった。

そして何よりも、赤字を垂れ流し続けても雑誌を守り抜くという、狂気じみた覚悟がなかった。

 

新しい編集部は雑誌のテコ入れを図った。

サブカルチャーだけでなく、より大衆受けする音楽やファッションの記事を載せ始めた。

表紙のデザインもポップで洗練されたものへと変わっていった。

 

それは雑誌を商業的に生き延びさせるための、現実的な、しかし苦渋の選択だった。

 

しかしその選択は、古くからの『ガロ』の熱心な読者たちの猛烈な反発を招いた。

 

「これは俺たちの『ガロ』じゃない!」

「商業主義に魂を売ったのか!」

 

かつてカウンターカルチャーの聖書だった雑誌。

その雑誌が自らカウンターであることをやめてしまった。

読者たちの失望は深かった。

 

さらに不幸な内紛が追い打ちをかけた。

 

経営方針を巡って編集部内は分裂。

長井勝一が育てた古参の社員と、新しい経営陣との間で醜い権力闘争が繰り広げられた。

 

作家たちもまたその争いに巻き込まれていった。

ある者は古参の社員に付き、ある者は新しい経営陣を支持した。

かつて同じ理想の旗の下に集った同志たちが、互いに傷つけ合い憎しみ合う。

 

その泥沼の内紛劇は、週刊誌のゴシップ記事として世間の好奇の目に晒された。

伝説は地に堕ちた。

 

1990年代。

『ガロ』は休刊と復刊を繰り返しながら、そのかつての輝きを完全に失っていった。

そして2002年。

ついにその長い長い歴史に、静かに幕を下ろした。

 

商業主義に背を向けた赤い花。

そのあまりにも美しく、そして誇り高かった花は、時代の流れの中で自らの理想の重さに耐えきれず散っていった。

 

それは一つの美しい夢の終わりだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

 

『ガロ』の内紛と休刊を巡る顛末は非常に複雑で、今なお多くの謎に包まれています。それほどまでにこの雑誌が多くの人々に愛され、そして多くの人々の人生を狂わせてきたということなのでしょう。

 

さて、ついにその歴史の幕を閉じた『ガロ』。

その儚い伝説は現代の私たちに何を遺したのでしょうか。

 

次回、「伝説のインク(終)」。

第十六章、感動の最終話です。

 

物語は佳境です。ぜひ最後までお付き合いください。

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もし、この物語の「もっと深い話」に興味が湧いたら、ぜひnoteに遊びに来てください。IT、音楽、漫画、アニメ…全シリーズの創作秘話や、開発中の歴史散策アプリの話などを綴っています。


▼作者「かつを」の創作の舞台裏

https://note.com/katsuo_story

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