表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/36

第9話

 母と子、雌と雄、悪魔と人間。

 2つが1つに還るように愛を確かめ合う。


 阿久戸一家の初めての夜は、

 甘く、切なく、湿っぽく、熱く、そして、

 涙があふれるほどうれしかった。


 あと激しかった。


#####


「やぁっ、もう出ないのぉ……」


「まだまだ頑張って~おっきおっき♡」


「今日はもうダメ、疲れちゃったから……」


「えぇっ?! ママを愛してくれないの? グスッ」


「明日にしよ、続きはお楽しみってコトで」


「も〜そんな親不孝な子にはお仕置きよ、えいっ」


「うひぃっ?!」


「つけ根のとこがキクんだもんね〜? ぐりぐり〜ぐりぐり〜」


「ぎゅっ、あぅっ、ぎっいぃぃぃーーーっ?!」


「ほ〜ら元気いっぱい大復活♡ さぁもう1回、上から下まで……」


「も、もう勘弁してぇーーー!」


 うなされて飛び起きる。もう朝になっていた。


「ハッ?! ゆ、夢か……よかったぁ」


(ママは……いないや。もう起きてるのかな)


(わ、カラダじゅうキスマークと歯型だらけ。お洋服着て隠さなきゃ)


(シーツがビショビショ。僕の体液と……ママの匂いもする。お互いいっぱい汗かいちゃったし)


(喉カラカラだ、何か飲みにいこ)


(最上階だから眺めがいいなぁ。ビルがあんなに小さい、車が走るのも人が歩くのもゆっくりに見える)


(僕1人じゃこんな景色見れなかった。全部ママのおかげ、悪魔の力の……)


「もう起きたの?」


「あ、ママ」


「まだ寝てていいのよ? 昨日は色々あって疲れてるでしょう」


(1番疲れたのママの相手したからだよ、とは言えないや)


「目が冴えちゃったんだ。ママも?」


「元から早起きなの。お茶でも飲む?」


「うん」


 ダイニングへ。季人がポットでお湯を沸かした。


「ママ〜その辺の引き出しにティーパックとか入ってない?」


「あったわよ〜紅茶とコーヒー、どっちがいい?」


「紅茶かな」


「ならママもお紅茶〜……お砂糖はどれくらい入れる?」


「たくさん! 僕への愛情くらい」


「あら大変、世界中からお砂糖を集めてこなきゃ」


「大げさなんだから〜……うん、甘いとおいし〜い! ゴクゴク飲めちゃう!」


「ねぇ、ママにも甘いの入れてくれる?」


「お砂糖ならそこにあるじゃない」


「違うわ、《《季人ちゃんの甘いの》》が欲しいの」


「え?」


「体液、注いで♡ ママのカップに」


「ママのカップに? でも……」


「お口ぐじゅぐじゅ〜ってして唾液をブチュっと吐き出しちゃえばいいから、ほらほら♡」


「分かったよ。んっ、んっ……んべぇ」


「もっともっとも〜っと♡ ほっぺの内側を噛み噛みして、喉の奥から絞るみたいにするのよ」


「んぎっ、んぎゅうっ……ぷぇっ、ぶぇぇっ」


「必死になっちゃってカワユイ♡ 紅茶が泡立つくらい出ちゃってるんだから」


(恥ずかしいよぅ……でも昨日の夜はもっと恥ずかしいことされたんだ。それに比べれば……)


(やっぱり恥ずかしいなぁ)


「んんっ、もう出ないや」


「ありがと、いただきま〜す♡ ゴックゴックゴクン……」


「わざとらしく喉鳴らさなくてもいいのに……」


「プハ〜ごちそうさま、と〜ってもおいしかったわ♡」


「どういたしまして〜」


「クセになっちゃう味ね。ママもう一杯飲みたいわ、いい?」


「え……うん」


「ありがと♡」


 やがて部屋のドア前が騒がしくなってきた。


『ロイヤルスイートに客はいなかったはずだぞ?!』

『中からカギがかかってる、絶対に誰かいるんだ!』

『警察に通報したぞ! もう逃げられないからな!』


「元気な従業員さんたちだこと。邪魔しちゃ悪いし、そろそろお暇しましょうか」


「そだね。昨日壊したこの窓から出る?」


「えぇ、飛ぶわよ。準備はいい?」


「いいよ。しっかりママにつかまってるから」


「それじゃあチェックアウトよ、それッ!」


「うぅーーーわぁーーーっ! 朝のお空飛ぶのキモチイイ〜!」


「すっかり慣れちゃって。最初は『こわ〜い』『下ろして〜』って言ってたのに」


「3回目だもん、楽しむ余裕くらいあるよ」


「すごいわ〜子どもの成長って早いのね」


「そうだよ。だから1日1日をめいっぱい楽しもうね」


「モチのロン♡ 今日はどんな楽しいことする?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ