第26話
人間界のアミューズメントを堪能する2人。
もう夕方になり、そろそろ帰るというころ。
公園のベンチに座って一息つく。
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「もうこんな時間ね。今日は楽しかったわ」
「僕も。最後にいい思い出ができたよ。ちょっとトイレ行ってくる。ここで待ってて」
「1人で大丈夫? 手伝ってあげようか?」
「トイレくらい1人でできますぅ〜! いってきます!」
「いってらっしゃ〜い……はぁ、最後の思い出ねぇ。やりきれないわ」
哀しげな千春に無遠慮に近づいてくる人影が2つ。
『ねぇ彼女、ヒマ〜?』
『難しい顔してどうしたん? 悩みでもある感じ?」話聞こか?』
『ベンチの隣失礼〜よいしょ』
『つらい気持ち分かってあげられるよ〜その、あの、なんか、な? 生理とか?』
『そういうときは飲んで忘れようよ。いい店知ってるからさ。俺顔が利くから割引できるよ?』
「……」
『もしも〜し? 俺のこと見えてない?』
『お前がタイプじゃないんだろ。こいつがイヤなら俺と2人でどう?』
『おい、抜けがけすんなよ!』
「チッ」
『あァ? 今舌打ちした? それはひどくない? せっかく話しかけてんのにさ、悪いとか思わないわけ?』
『こいつ怒ったら怖いよ? 謝るなら早い方がいいと思うなぁ』
『調子乗んなよ? そのデカいカラダたっぷり遊んでやるから。ほら、こっちこい』
男が千春の無防備な肩に手を伸ばす。雷が瞬いた。
「うわあぁぁぁーーーっ! 離れろ離れ離れろぉーーーっ!」
『おぁっ?! んだこのガキ?』
『いいとこだったのに邪魔すんじゃねぇよ』
「季人ちゃん……?」
「あっちいけよぉ! この僕んだい、僕のママだからぁ! 勝手に触んなってぇ! あっちいけってぇーーーっ!」
『子連れかよ。冷めたわ』
『っせえなクソガキ。お前こそどっかいけよ』
男たちは去った。途端、ガクンと崩れ落ちる季人。
「だ、大丈夫?! ワタクシのためにそんな無理して……!」
「えへへ、頑張っちゃった……カッコよくなかったけど」
「ううん、そんなことない。とっても嬉しかったんだから」
「びっくりしたよ、トイレから帰ってきたら千春さんがヘンなのに絡まれてるんだもん」
「そうなのよ。あまりにも下衆だったから視界にも入れたくなかったんだけど、しつこくて。季人ちゃんがあと2秒遅かったら消し炭にしてたわ」
「そうだろうと思ったけど……我慢できなかった。他の男に少しでも触られるのがイヤだって思っちゃって」
「ワタクシは季人ちゃんだけのものよ。他の男になんて絶対振り向かない、前にも言ったでしょ?」
「フフッ、そうだったね」
「季人ちゃん……」
「千春さん……」
そっと目を閉じて唇を重ねる。体液を貪らずに。
「一生愛してるよ、千春さん」
「えぇ、誰よりも愛してるから。季人ちゃん」