第15話
色気より食い気。
千春の誘惑を無下にして衣食住の食を済ませた。
最後に住。家族らしい家を買いに行く。
アパート? タワマン? 借家?
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「「やっぱり持ち家一戸建て! キャッキャッ♪」」
「家族ならドカンと一軒家買わないと。季人ちゃんはどんなお家がいい?」
「ひろ〜いお庭があってね、お休みの日は家族みんなでBBQするのが夢だったんだ! それとそれとワンワンとかネコちゃん飼って、お庭でいっしょに遊びたい!」
「ん〜ペットなんて飼ったら季人ちゃんがママに構ってくれなくなるかもしれないからダメ〜」
「そんな〜」
「ママだったら駅近、築浅、治安よし、徒歩圏内にスーパーとドラッグストア……学校もあればいいわね」
「学校?! ひょっとして僕、学校に行っていいの?!」
「モチのロン、ちゃんとした家族の子はちゃんと学校に行くものよ」
「そうなんだ……僕小学校も行ったことなかったから。通りすがりにランドセル背負った子を羨ましいなって見てるだけだったの」
「よしよし、ママがちゃ〜んとお勉強させてあげるからね。季人ちゃんは小学校何年生になるのかしら? 自分が何歳か分かる?」
「えっとね、多分14、15歳」
「え゛?! そんなに歳いってるの?! 身長は140cmもないし、髪は細い癖っ毛で、ほっぺはもちもちで、あんよはよちよち……見た目には10歳くらいなのに……」
「初めに捨てられたのが5歳になったばかりのころで、それから4,000日近く経ってるから合ってるはずだよ」
「そ、そうなんだ……学校は高校を探した方がよさそうね……」
「ほしいお家のイメージはこんな感じかな。でもお家なんて今から買えるかな?」
「買わなきゃいけないわ、ホテル暮らしも面倒だし。専門家にお願いしましょ」
不動産屋に行って自分たちの要望を押しつける。
「1日待つからこんな感じの物件探して。以上」
「いやいやそんな急にムリですよ!」
「弱音を吐くより手を動かしなさい。条件1つでも漏れたら許さないから」
「無茶苦茶な……そんなに自分の好きな家がほしいなら新しく建てたらどうです?」
「おバカさん? ワタクシたちは今すぐ住みたいの。建てるまで何ヶ月も待ってられないわ」
「知らないって! そんなワガママばっかり言うんだったら帰ってください!」
【電脳洗脳】
「はい……従業員総出で明日までに見つけます……」
「よろしく~」
翌日、再び不動産屋へ。
「ご要望に合うのが1件だけありました……早速内見に参りましょう……」
「ほら探せばあるじゃない」
「わ〜テンション上がってきた〜↑」