表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/36

第1話 はじめての召喚

「えぇーーーっ?! ホントに悪魔さん来ちゃったぁ!」


「ようやく見つけましたわ、運命のご主人様♡ この度はご召喚に預かりまして幸甚の極みにございます〜♡」


#####


 阿久戸季人あくどりひとは物乞いの孤児。

 町の片隅でゴミを漁って生きてきた。

 路上で1人寂しく凍える日々。


 誰かに助けてほしかった。

 でも周りの人間はみんな見て見ぬふりをする。


 だからムシャクシャしてヤッてやった。

 漫画やアニメでよくあるアレ。

 満月の夜、悪魔召喚の儀式。

 人間がダメなら悪魔を頼ればいいじゃない。


 魔法陣を描いて呪文を唱えて、

 『悪魔さんおいでませ〜』なんてやってみた。

 もちろんほんの冗談、暇潰し。


 そしたらズドン、と雷が落ちてきた。

 いっしょに落ちてきたのは大きなお姉さん。

 立派な角と翼と尻尾、緋色の髪と真紅の瞳。

 穴空き水着みたいなスカスカピチピチの格好。


 季人と悪魔、初めての出会いだった。


#####


「コホン、改めまして。ワタクシは『スプリングス=サディ=ハルナバル』と申します。以後お見知り置きを」


「僕は阿久戸季人だよ。よろしくね」


「『リヒト』、なんと甘美な響きでしょう♡ 季人様、あぁ季人様〜♡」


「おおげさだなぁ。で、本物の悪魔さんなの? えっちぃコスプレお姉さんじゃなくて?」 


「ムムッ、失敬な。正真正銘あくまで悪魔ですとも。立派な角が生えてますし、翼も羽ばたいてますし、尻尾もフワリフワリと動いていますでしょう?」


「作り物には見えないね。やっぱり本物? でもそれだけじゃなぁ」


「だったら魔法をごらんになります? 男の子はそういうのがお好きでしょ?」


「魔法?! 見たい見た〜い!」


「素直でよろしい♡ それではワタクシにしっかりつかまってくださいな」


「こう?」


「そうそう、腰をしっかり引き寄せて♡ 早速お空に参りましょう、それっ!」


「びっえぇぇぇーーーっ?!」


 瞬く間に空高く舞い上がった。


「もうこんな高くまで来ましたよ〜人間どもが蟻ん子より小さい、滑稽ですね〜」


「ぎゃあぁぁぁーーーっ! 高いよぉ怖いよぉ! 下ろして下ろしてぇ!」


「あらら、パニックになってらっしゃる。落ちついてくださいな、よしよし、よしよし♡」


「あふゅう……頭なでなでキモチイイ……」


「赤ちゃんみたいでいいですね〜♡ ワタクシにつかまってれば大丈夫ですからね」


「うん。で、こんな高いところで何するの?」


「魔法でこの町を消して差し上げましょう。悪魔の妙技、とくとごらんあれ」


「え? なんて?」


人世一夜ひとよひとよ一見殺ひとみごろ……我は暗雲『天砕カミクダキ』……堕治だっちを貪るこの世の悪に、天理を割いて極荊きょっけいを与えん……」


「どんどんお空が真っ暗に……雷がゴロゴロ言ってる……」


「我らが主従の門出なるぞ、そのはなむけに散るがいい」


雷光ヴィレ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ