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天才魔法師イルヴァ・フェルディーンは、嘘をつかない  作者: 如月あい
3.お披露目

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51.お披露目会での開会前の来客対応②

 騒がしくなった大広間の入り口をみると、なんと銀髪の前下がりのボブの少し冷たい印象の美女が、豪華絢爛な銀のドレスをまとって立っていた。

 イルヴァでも彼女の名前は知っている。


ーーーどうしてロヴィーサ・ノルデンフェルト公爵がここに? 息子が代理だったんじゃないの?


 そう、姿を表したのは、ロヴィーサだった。

 エリアスもどうやら彼女の登場に気づいたらしく、目を瞬いている。イルヴァと同じく状況を整理できていないのだろう。


 基本的に貴族が開く催し物は招待制だ。招待されていない人が入るには、招待状を持って代理で訪れる必要がある。つまりフェリクスは、確かに招待状を持ってロヴィーサの代理としてここに入ってきたはずだ。

 それなのにロヴィーサが現れるということは、彼は正式な代理ではないということだろうか。


「何をそんなに見てーーー。まずい、母上か」


 どうやら彼は招待状を親の盗んで入ってきた侵入者だったようだ。人混みに紛れて逃げようとしたところ、エリアスがイルヴァから離れて、フェリクスの手を掴んだ。


「どうして代理人を詐称してまでここに来たのですか? そこまで我々の婚約を邪魔したいと?」

「邪魔したい? 意外と人の気持ちがわからないのだな」


 フェリクスはそういうと、エリアスの手を振り払って逃げるように入り口とは別の方向に逃げていく。

 エリアスは人の気持ちがわからないと言われて驚いたのか、手を振り払われた後も、その場に立ち尽くしていた。

 そうこうしているうちに、銀髪ボブの美女、ロヴィーサ・ノルデンフェルトがイルヴァとエリアスのところにやってきてしまった。

 先ほどまではイルヴァの腰に手を回していたエリアスだったが、フェリクスが逃げ去ったあと、元に戻る前に、イルヴァとエリアスの間にロヴィーサが立ってしまった。


「エリアス・レンダールとイルヴァ・フェルディーンの婚約をノルデンフェルトとしてお祝い申し上げる。2人のこの先に幸多からんことを」

「ありがとうございます。ノルデンフェルト公爵」


 エリアスが例をいうと、ロヴィーサはイルヴァに向かって微笑みかけた。


「初めましてだね? 私はロヴィーサ・ノルデンフェルトだ。今日のイルヴァ嬢はこの会場を明るく照らすシャンデリアのごとく美しく輝いている」

「お初にお目にかかります、イルヴァ・フェルディーンと申します。今宵のノルデンフェルト公爵は太陽に照らされた白銀の世界を思わせる美しさですね」


 彼女の銀のドレスは、魔法によって物理的な輝きを放っていた。光に照らされた宝石が光るように、銀のドレスが彼女の動きにあわせて波を打つように光る。その光によって全体的に銀が白く見え、雪に覆われた高原を想起させた。

 イルヴァは素直にその感想を口にしたのだが、ロヴィーサはおや、という顔をしたあと、その冷たい印象のある表情を和らげた。


「宝石に例えられることはあるけれど、白銀の世界とは。さすが、冬の寒さの厳しいフェルディーン家のご令嬢だね」


 ノルデンフェルト領は南部の領地で、国の中でも暑い地域だ。雪など降らない。だから雪に例えるのは珍しいのかもしれない。

 これはポジティブに受け取ればよいのか、それとも何か気に障ったのかわからずエリアスの方をみたが、大丈夫と言わんばかりに小さく頷いてくれたので、これは合格だったらしい。


「先ほどは愚息がすまなかった。代理を装って侵入するなど許されることではないが……どうしても確かめたかったみたいでね」


 確かめたいとはなんなのだろうかと思ったが、イルヴァは極力会話を広げない方が良さそうだ。先ほど失言してフェリクスを怒らせたばかりである。


「私たちの婚約が、果たされるかどうかをでしょうか?」

「ああ。事情は知っているだろう? 表層上、何を口にしたかはわからないが、本心は定まっている。知らせを聞いて小躍りしていたからな。とはいえ、この場での出来事は噂される。噂されるということは、当然、かの方の耳にも入る」 


 ロヴィーサの会話は意図的に主語が省略されている。これは前提の認識がある上での会話だ。イルヴァはしばし考えて、そして、ようやく思い当たった。

 フェリクスがアマルディアのことを好きなのであれば、恋敵であるエリアスの婚約話を邪魔するのはおかしい。先ほどの言葉は、アマルディアの味方をしていたという印象付けるためのポーズであって、本心は違う、ということだろう。 

 珍しく、言葉の裏が理解できたと喜んでいたら、ロヴィーサと目が合ってしまった。


「水魔法による自己治癒能力向上の研究と水魔法における氷生成魔法の論文を読んだ。どちらも素晴らしい研究だ。私は水魔法が1番得意だから、とても勉強になったよ」


 彼女は淡々と言うので、本当に誉めているのか、アマルディアのように全く違う意味があるのかわからない。

 イルヴァはひとまず、言葉通り受け取って返すことにした。


「ありがとうごさいます。水魔法による治癒魔法の論文も申請中で、近々、公になりますので、そちらもご興味を持っていただけるかもしれません」

「水魔法で治癒魔法を?」


 目を丸くしたロヴィーサは興味深げに質問してきた。彼女の息子を怒らせた後なので、彼女の心象はよくしておいたほうがいいだろう。

 彼女の手に、小さな傷があるのを見つけて、イルヴァはそっと一歩近づいた。


「よろしければ、そちらの手の傷を治しても?」

「良いのか?」


 彼女は女性にしては大きめの手を差し出してきた。人差し指の傷なので、紙などで切ったのだろうか。

 イルヴァは彼女の手を取ると、魔法式を可視化しながら治療した。


「すごい」


 彼女は相変わらず表情が大きく変えることはなかったが、今度は本物の賞賛であると確信できた。

 彼女の声は相変わらずトーンは低いが、どこか楽しげな様子だった。新しい魔法を見るときの高揚感はイルヴァも身に覚えがあるので共感できる。

 そしておもむろに、彼女は先ほどとは逆の左手を差し出して何故か手袋を脱いだ。


「もう一度見たい。これだと古傷で難しいだろうか?」


 手袋の下から現れた手は、火傷の跡が残っている。古傷と言ってはいるが、ノルデンフェルト家が傷を永遠と放置しておくわけもない。公爵が治していない期間はせいぜい1週間以内ぐらいだろう。光魔法の方が綺麗になおりそうだが、イルヴァなら、水魔法でも治せそうだ。


 イルヴァは彼女の左手をそっと包むようにして再び魔法を使った。

 あっという間に滑らかな皮膚に戻ったのを見て、イルヴァは小さく息をつく。


「治せましたが、もっと古い傷になると、光魔法の方が良いと思います」


 そう言って顔を上げようとしたが、その前に暖かい何かに包まれていた。

 気づいた時には自分より背の高い彼女にすっぽりと抱きしめられていたのだ。視界は彼女の肩で奪われているので、彼女のエキゾチックな香水の香りが印象的だった。


 ーーーど、どうしよう?


 顔が見えないので、この抱擁の意図がイルヴァには分からなかった。あまりにも近い位置にいるのでどうしていいかわからずに固まっていると、盗聴よけの防衛魔法とともに、耳元で小さな声が降ってきた。


「この傷は2()0()()直せなかったものだ。本当に感謝する」


 ーーー20年? それは相当、訳ありだわ。え、それを治しちゃった? 


 なんだか余計なことに首を突っ込んだ予感がしたが、もう後には戻れない。もしかすると、彼女もイルヴァが治してしまうことを期待していなかったのかもしれない。


「お礼をしたいのだが、何か望むものは?」


 彼女は防衛魔法をかけたままだが、少しだけイルヴァから離れて問いかけてきた。先ほどまでほとんど動かなかった表情に温かい笑みが浮かんでいる。

 視界の端で、エリアスがひどく驚いているのが見えた。多分、ロヴィーサのこの表情は珍しいものなのだ。


「特に希望がなければ、フェルディーン家のこの素敵なタウンハウスとは別に、個人の別邸があっても良いのでは?」


 突然のことでイルヴァが答えられずにいると、屋敷を提案されてしまった。

 お礼の規模が思っていたよりも壮大すぎる。そんなものを受け取っても管理できないし、そもそもノルデンフェルト公爵家が想像する別邸の規模が怖い。


「いえ。実は……さきほど、私が無知でご子息に失礼をしてしまいまして……よろしければ、それをお目こぼしいただけませんか?」

「ふむ……何があったか聞いても?」

 それはダメです、と言える流れではないので、イルヴァはやや視線を泳がせながら言った。

「事情を知らず、殿下に求婚すればよいのではと申し上げました……」


 誤魔化すことはできないので端的に言うと、ロヴィーサは瞬きを何度かした後、すっと左手を口元に持っていった。そしてややうつむきながら、肩を震わせている。


 ーーーこれは……笑ってるのかしら。


 声こそ出していないが、明らかに笑っている仕草だ。何がツボにハマったのかわからないが、彼女はひとしきり笑ったあと、表情を整えて背筋を伸ばした。


「すまない。面と向かってそんなことを言われたら、フェリクスがどんな顔をしたんだろうと思うと笑えてしまった。あの子はその話題はタブーとして触れられてこなかったから、怒っただろう? でも気にしなくていい。私から取り成しておく」

「ありがとうございます」

 

 フェリクスの心情はどうあれ、治療のお礼としてロヴィーサが取り成してくれるのであれば、追求してきたりはしないだろう。

 これで話がまとまってよかった、と安心していたら、ロヴィーサは首を傾げて言った。


「ただ、まあそんなことだと足りないな。やはり別邸を進呈しようか? 研究所近くの家なんかどうだ?」

「いえいえ。それでは、いただきすぎかと」


 王立研究所近くの家という好立地な家を送られたら、送られた別邸がフェルディーン家のタウンハウスの本棟ぐらいの価値になってしまうかもしれない。

 なんとかそれは辞退したい。ただでさえ、フェリクスに図らずしも喧嘩を売ってしまったのに両親の気苦労が増えてしまう。


「物だと負担に思うのであれば……物理的ではないが、役に立つものを進呈しよう」


 彼女はそういうと、盗聴よけの防衛魔法を解除した。そして、むしろその逆の音を拡散する魔法を行使しながら言った。


「ノルデンフェルト公爵ロヴィーサが、イルヴァ嬢にお祝い申し上げる。2人の婚約に水を差すものが現れぬよう、私が目を光らせよう」


 彼女の声は、魔法によって、大広間中に響き渡った。3階建て分の吹き抜けのある建物だというのに、その全ての場所に確実に魔法によって音声が届けられた。

 当然、会場中の視線がこちらに集まった。開始前だとはいえ、招待客の半分ぐらいはすでに会場入りしている。かなりの数の視線が集まるのを感じた。

 また、近くにいるエリアスも盗聴よけの魔法で全ての会話を聞いていたわけではないから、状況がつかめないのだろう、困惑した表情でこちらを見ていた。

 しかし、そんな周囲のざわめきはどこ吹く風だとばかりに飄々とした様子でロヴィーサは続けた。


「よければお近づきの印に、今後、ロヴィーサと名前で呼んでくれ。私もイルヴァと呼ぼう」

「ろ、ロヴィーサ様。過分なお言葉、感謝申し上げます」


 あまりの事態にイルヴァの声がひっくり返ってしまったが、なんとか名前を呼んでお礼を返した。

 貴族が下位貴族に名前を呼ぶことを許すのは、実質的に庇護下にあることを明文化する意味合いも強い。しかもフェルディーン家は中立と言っているが、実質的に貴族派の家で、中立寄りの王家派であるノルデンフェルト家とは派閥も違う。

 そんな中、ノルデンフェルト公爵本人である彼女が、個人的にイルヴァにだけ名前で呼ぶことを許すのは、極めて珍しい事態だった。

 これは下手をすると、王都に別邸をもらうよりも価値があることだ。

 

「本日の主役を長く拘束してしまってすまない。では、私はこれで」


 背の高い彼女はそういうと颯爽と会場の端へと去っていく。

 残されたイルヴァとエリアスは、思わず同時に顔を見合わせた。そしてエリアスはイルヴァの横に並ぶと、盗聴よけの魔法を使いながら聞いてきた。


「何をしたの? 手を握っていたようだったけど……」

「水魔法の研究に興味があるようだったから、水魔法による治療をしたの。そしたら、感謝されてあんなことに」

「治療しただけで? 実はこっそりもっと高度な魔法を使ったとかではない?」


 エリアスにとっても、ロヴィーサが治療ごときであそこまでする理由がわからないのだろう。ノルデンフェルト公爵家なら、本人が光魔法が使えなくても、治癒の魔法を使える魔法師を呼び寄せることなど容易いはずだ。


「いえ。本当にただ、水魔法で治療しただけよ」

「後で考えよう。とりあえず、フェリクス以外の友人を紹介するよ」


 すっかり忘れていたが、フェリクスはエリアスの友人たちと来ていたのだった。彼らはノルデンフェルト公爵本人の登場で、空気を読んでそっと距離をとっていてくれたようだ。もしかすると、イルヴァがフェリクスを怒らせて、巻き添えを恐れただけかもしれないが。

 エリアスは再びイルヴァの腰に手を回すと、盗聴よけを解除しながら友人たちに向き直った。


「エリアスとフェルディーン嬢の婚約をお祝い申し上げます。エリアスの友人のヘンリック・アーデルフェルトと申します。ルビーのごとく輝くフェルディーン嬢と婚約できるとは、エリアスも幸せ者ですね」

「お二人のご婚約をお祝い申し上げます。同じく友人のシーモン・ルンロートと申します」

「ご婚約おめでとうございます。カスパー・リリイェルムです」


 一気に3人分の名前を言われたので、イルヴァは祝辞に礼は返したものの、彼らの名前は数分後には忘れてしまいそうだ。とはいえ、エリアスの友人であれば、この後の会話もほとんどエリアスが話すだろう。


 ーーーいや、さっきサボって痛い目を見たから、反省を生かして情報だけ取得しておいたほうがいいか。


 索引の魔法を使って再び情報を呼び出した。


【ヘンリック・アーデルフェルト。アーデルフェルト侯爵家の次男。父親は内務卿。政治学部の学生。政治学部でのトップの成績で、早期卒業予定。卒業後は官僚になるべく国家試験を受ける予定。エリアスとは幼馴染】


 1人目のヘンリックが侯爵家と聞いて納得した。彼だけはイルヴァのことを別で褒めたからだ。高位貴族は、比較的いついかなるときも女性を褒める振る舞いをすることが多い。


【シーモン・ルンロート。ルンロート子爵家の三男。父親は財務局に務めている。練兵学部の学生。ルンロート子爵夫人とエレオノーラが友人で、爵位差があるもののエリアスとは幼馴染。実技は得意だが、あまり筆記テストは得意ではない。補習対象になることもしばしば】


 シーモンは練兵学部というだけあって、よく鍛えられたガタイのいい青年だ。練兵学部は魔法を主たる攻撃の手法としない兵士を育てる学部で、主に戦略立てをする課と、体を動かして剣や槍、魔法銃など物理的および魔法武器で戦う実技を学ぶ課があるが、彼は後者だろう。


【カスパー・リリイェルム。リリイェルム男爵の長男。父親は商人で、一代限りの男爵。魔法学部の学生で、特待生枠で学校に通っている。努力家で魔法については実技も筆記も得意】


 キルトフェルム王立学校で特待生枠で通うには学部だけではなく、全体で上位30位以内をキープする必要がある。魔法学部の学生が筆記の点数も高いことも多いので、イルヴァ、エリアス、ジルベスター、そしてさきほどのフェリクスは、全員全体での1位から4位である。

 彼もまた、総合試験で平均が30位以内の優秀生ということだ。

 イルヴァが思ったよりも他の人は順位表を気にしていそうなので、もしかすると彼はそれなりに知名度があるかもしれない。


 イルヴァが魔法でおおよその情報をインプットしている間に、エリアスとの会話は進行している。


「まさかエリアスが突然、婚約するなんて思ってもなかったよ。それも学年で1番の高嶺の花と」

「僕の幸運に感謝だよ。婚約のお披露目もかなりギリギリで招待を送ることになってすまない」

「かまわないさ。事情もあるのだろうし……」

 ヘンリックはおそらくアマルディアとのことも知っているのだろう。後半は声を潜めた。

「エリアスが2回続けて踊った時は、学校中がひっくり返りそうなほど大騒ぎだったけど、それから1ヶ月ぐらいでもうお披露目とは、エリアスもやるな」

 続いて、シーモンが快活に笑いながらパンとエリアスの肩を叩いた。彼は子爵家だが、かなり気安いので、本当に親しい友人なのだろう。


「あの、イル……あ、失礼しました。フェルディーン様は、あの謎の首席だったのですよね?」


 カスパーがイルヴァの名前を呼びかけて、それが爵位が上の貴族に対しては失礼であることを思い出したようだ。慌てた様子で名前を言い直した。


「ええ、私が首席でした。ちなみに呼び方ですが、リリイェルムさんはエリアスの友人ですから、イルヴァで構いませんよ」

「い、いえ……フェルディーン様と呼ばせていただきます。エリアス君が怖いので……」

「え?」


 隣のエリアスは微笑んでいて、特に気に障っているようには見えない。しかし、強く進めるほど呼び方にこだわってもいないので、イルヴァはそのままそれを受け入れることにした。


「水魔法による氷生成の魔法なのですが、あれを卒業試験の実技で披露したというのは本当ですか?」

「ええ」

「その、あれは既に体系化されているのですか?」


 以前までのイルヴァならこの質問にはいと答えていたが、リズベナー公国への旅道中で、他の人が言う体系化されているかという質問の意図を学んだので、これにはいいえと答えることにした。


「他の人が広く扱えるかと言う意味でしたらいいえ、です。水魔法を完全式で扱える人なら、扱えるかと」

「完全式で……なるほど。だからあの複雑な魔法式だったのですね」


 カスパーがハッとしたような表情になり、うなずいた。どうやらイルヴァが思っていたよりも、イルヴァが発表してきた論文は興味を持たれているようだ。


「さて、そろそろ他の人たちのところにいかないとかな」


 エリアスの一言で、エリアスの友人たちとの会話は終了し、その場を離れた。エリアスはしばし歩いて友人たちに声が届かなくなったところで、ぼそりと呟いた。


「顔に出てたかな……カスパーは以外と鋭いな」

「……? どうしたの?」

「いや、こっちの話。さて、次はあっちに行こう」


 何やらごまかされたようだったが、考える間も無く次の来客との会話が始まってしまい、エリアスのつぶやきの真意を聞くことはできなかった。

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