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楽しい初詣

 車に乗って神社に向かう。

 運転席にあずき、助手席に先輩、真ん中の席に俺とエイミーと幸子、最後尾の席に駄猫と雛子と六華。

 なんとか荷台まで持ち出さずに済んだ形だ。


 菓子を回し食いしながらおみくじを引くかなにをお願いするかとわいわい話しながら進む。

 正月にまで外出したくないのか車はいつもより少なかった。

 そして、俺達は神社に辿り着いた。


 八人で進む。

 なんかこれだけ人数がいて男が一人というのも居心地が悪い。

 賽銭箱の前に辿り着くと、先輩とエイミーとあずきは賽銭を投げ、二礼して二度拍手すると目を閉じてお祈りし深く一礼した。

 雛子とアリエルが面白がって鈴を鳴らしているところにそれである。

 なんというか人間としての完成度が違いすぎる。


 雛子は自信なさげにおずおずと俺に訪ねてきた。


「岳志君、こういう時の作法ってどうやるの?」


 俺に聞くな。

 俺は冷や汗を流しながら思う。


「まさか日本生まれ日本在住の岳志が作法を知らないなんてことはないよにゃ?」


 なにかを嗅ぎつけたらしくアリエルが追求してくる。


(くっ、この駄猫)


 年少組の期待の視線が俺に集まる。

 俺は、開き直ることにした。


「こういうのはな」


 俺の言葉に、年少組はうんうんと頷く。


「気持ちがこもってれば良いんだよ」


 なるほど、となったところで先輩に頭を軽く叩かれた、


「誤魔化さない」


「エイミーは良いこと言ってると思うけどなあ」


 その後、先輩に無事レクチャーを受け、俺の威厳は下がったところでおみくじタイムとなった。

 皆、吉や中吉を引く中で(駄猫なんて大吉を引いていた)エイミーだけが凶を引いていた。


「凶なんて本当にあったんだ……」


 幸子がいっそ感心したように言う。


「引き直せば?」


 先輩が気遣うように言う。

 エイミーはからりと笑って言った。


「これはこれで配信的に美味しいから、よし!」


 いつの間にか随分たくましくなったな、と数年のブランクを感じた出来事だった。

 その後、あずきの家で容量のバグったお雑煮を食べた。

 雛子とエイミーはこれでは一キロ太ってしまうと涙目だった。


「そんなにおかしな量かなあ……」


 あずきは困惑したように言う。

 並盛りでもち四個入ってる時点でおかしいんですよあずきさん。

 そんなこんなで、初詣も終わり、残りの三ヶ日もバイトに追われ、あっという間に学生の冬休みの時期は終わった。



続く


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