アリエルの言い分
「あー……」
言葉を探すようにそう言って、アリエルは頬をかく。
「一応言っとくにゃけど」
「うん」
俺は前のめりになりながら聞く。
「私、自分に戦闘能力がないなんて言ったことなんて一度もないにゃよ」
そう言えばそうだ。
「むしろ武のヒョウン魔のアリエルって感じで私達は女神様の両翼だにゃ」
「じゃあなんで俺が苦戦してるのを黙って傍観してたんですかねえ……」
「それはそれ」
アリエルはきっぱりと言う。
「人間の生み出したものは人間に始末させるという天界の方針にゃ」
「甘えんなってことか」
「有り体に言えばそうにゃね」
フフンと言った感じで言う。
有り体に言えばムカつく。
「じゃ、岳志が起きたなら次は私が寝るにゃ。くれぐれも不寝番よろしくにゃよ」
そう言うと、アリエルは数秒で眠ってしまった。
ちょっと前の俺だったら、眼の前で美人の女の子が寝ていると心の中の童貞が荒れ狂っていたことだろう。
しかし、相手が駄猫だからだろうか。それとも、ここ最近の女性ラッシュで女性慣れしたのだろうか。
そんな感情は微塵とも起きなかった。
思えば、こいつとの出会いからだ。
色々な出会いがあった。
色々な人を救った。
色々な冒険をした。
色々な恋をした。
全ては、こいつのおかげなのだろうか。
そう思うと、感謝してもよいのかも知れないという気持ちにさせられる。
まあ、この駄猫の素行を思い返す限り感謝する気なんてさらさらないが。
アリエルは心地よさそうに寝ている。
俺は、アリエルが少しでも心地よい夢を見ていることを祈った。
「うはは、スパチャざっくざくにゃー」
女神の使いはずいぶん俗物的な寝言を放っていた。
続く




