成長
地道に歩くこと八時間。
緊張感と疲労もあって眠気が襲ってきた。
それはアリエルも同じようで、不寝番を代わる代わるしつつ寝入ることとなった。
その時のことだった。
キイキイと耳障りな鳴き声が聞こえた。
それは、以前も聞いたことがある声。
巨大な目に羽が生えた化け物が、それも三体、俺達に向かって突進してきていた。
体が勝手に動いていた。
「サンダーアロー!」
雷撃の矢で一体を屠ると同時に、接近する。
「ファイア!」
至近距離の爆破で一体を倒し、もう一体を短刀で無言で一刀両断する。
あっという間に周囲は静かになった。
「は……はは」
嘘みたいな話だった。
ちょっと前は、あれ一体にビビり倒していたのだ。
「岳志はレベル関係なしに強くなったにゃあ」
アリエルが珍しく素直に褒めるものだから、なんだか照れくさくなってしまった。
「あの程度なら、ドラゴンを相手にするぐらいなら容易いさ」
「成長だにゃ、成長。風の精霊にもその力が通用するよう祈ってるにゃよ」
「待っているのは風の精霊なのか?」
風属性、とは聞いていたが、風の精霊とは聞いていない。
「正しくは旧、風の精霊にゃね。しかし、強さは折り紙付きにゃよ」
一気に不安になってきた俺だった。
俺は確かに強くなった。
しかし、精霊クラスの相手に対応できるのだろうか。
答えは未知数だった。
続く




