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勝負の感覚

 壁に背を預けて座りこむ。

 息を大きく吸って、吐く。


 これまでも、負けられない戦いは何度も乗り越えてきた。

 一回も負けられない野球のトーナメント戦。

 勝負をかける最終回に打席が回ってきたこともある。

 それでも、乗り越えてきた。


 勝負の経験値は足りている。

 命をかける経験値は足りてはいないが。

 勝負勘、のようなものはあると言って良いと思う。


 くるみの言葉が脳裏に蘇る。


「くるみね、自覚はしてるんだ。自分が長い暗いトンネルの中にいるってね。けど、終わらないトンネルはないんだって先生も言ってくれたしね」


 大人気Vtuberが精神科受診? と一騒ぎになった発言なのは御愛嬌。

 明けない夜はない。


 いくか。


 立ち上がる。

 そして、最後の部屋に入った。


 オークが鼻息荒く俺を見つけて、キョトンとした後、舌なめずりして駆けてくる。

 俺は唱えた。


「ファイア!」


 炎の玉を投擲する。

 鋭い速球がオークの斧を持つ右肩を焼いた。


 しかし、ダメージが足りない。

 オークの握りしめた斧は離れない。


 オークがついに接近し、斧を振り上げる。

 駄目か?

 そんな言葉が、脳裏をよぎる。


 バイキングの帽子なんかではこんな攻撃受け止めきれないだろう。

 そんな時、思い浮かんだのは試合の一シーン。

 振り上げられたグローブを、かいくぐる一瞬。

 俺は素早くしゃがむとスライディングして相手の背後に回っていた。


「二塁手のタッチを躱す要領ってね!」


 相手の喉笛を掻っ切る。

 大量の血が溢れ、蒸せるような匂いが溢れかえる。


 オークは振り返り、震える手を伸ばすと、そのまま事切れて倒れた。

 レベルアップ! という単語が脳裏に浮かび上がる。

 筋力、素早さ、魔力、器用さ、などなど様々な能力が上がったらしいことがわかる。


 確かに、短刀を握る力が以前より目に見えて強い。

 その時、天上から光が漏れてきた。

 それは集まり、光の柱となり、そこからは天女が舞い降りてきた。

 天女は巨乳だった。


「驚きました。オークを倒せるとは思わなかった」


 改めて言う。

 天女は巨乳だった。



続く



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