力比べといこうじゃないか
俺は息を大きく吐くと、両足を開いて、構えた。
「お互い相手の動きには慣れてる。キリがない。力比べと行こうじゃないか」
俺の提案に先生はしたり顔で答える。
「ほう。霊気と魔力の混合力を使う私と張り合うと?」
「出力は親父譲りだ。負けない」
認めたくないが、親父は偉い人だ。
沢山努力した。沢山のレベルアップを経て今の段階へ至った。
戦士としても、野球選手としても。
その魔力の素養を俺も引き継いでいる。
なら、親父を信じれば勝てると、そう思った。
「良いでしょう。その幼稚な誘いに乗ってあげようじゃないか」
先生はそう言うと、俺の前にやって来て、両足を開いて構えた。
互いに手と手を取り合って押し合う。
「おおおおおおおおおお!」
二つの声が重なった。
魔力と混合力がぶつかり合う。
じわり、じわりと形成が動き始めた。
俺が押している。
「ば、馬鹿な。魔力と霊力の混合力は通常の数十倍にも跳ね上がるはず。それに私は半神の末裔の魔力を得ているのだぞ!」
「刹那は魔力量が凄いんじゃない! 使い方が抜群に上手いんだ! その上っ面をなぞっただけのお前なんか……」
先生は手を離そうとする。
それを握りしめた。
「逃さない!」
手に力を込める。
「お前は今日、ここで止める!」
先生の手から力が抜けた。
「くっくっく……その程度で勝ち誇ったつもりか」
異変が起こった。
周囲から、霊気や魔力が飛び交ってくる。
「これは……?」
俺は思わず戸惑いの声を上げる。
「私の教え子の数を教えてあげようか」
先生が唇の端を上げる。
「三百六十七人だ」
次の瞬間、先生の体から爆発的な混合力が溢れ出し、俺を押し始めた。
「吸ったのか!? 三百人分以上の混合力を!」
「ああ、吸った! 全ては真に平等な世界のために!」
「其の為に人を傷つけてまで、お前はなにがしたい!」
「……君にはわからん」
最後の言葉は、冷たかった。
閃光がその場を包んだ。
つづく




