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衝撃
その日は、朝から違和感があった。
魔力が近くにあるような気がするのだが、探知しても何も引っかからない。
精度の高い探知ができる千紗は親父と遠征中。
どうしたものかと思う。
辰巳も同じことは感じているようで、靄々とした様子だった。
愛は口を利いてくれないので確認しようもない。
俺がなにか悪いことでもしたのだろうか?
問いただしたくなる。
愛しいのだが些細なことで一辺に憎らしく感じる。
これも思春期の不安定さなのだろうか。
朝のホームルームでは、転校生が紹介された。
「照星君、自己紹介して」
照星?
呼ばれた名に目を見開く。
辰巳も同じ表情をしていた。
先生の最後の刺客。その名前は照星ではなかったか。
「照星です。春武君と辰巳君と翔吾ちゃんには馴染みある名前かな。よろしくね」
「知り合いなの?」
先生がきょとんとした表情で問う。
「野球で、ちょっと」
俺は鈍い舌を動かして誤魔化した。
衝撃だった。
先生はついに探知を掻い潜る方法を発明した。
つづく




