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そんな難問持ち込まれても困るわよ

「そんな難問持ち込まれても困るわよ」


 都庁の一室で学校の勉強をしていた春歌は、愛とギシカのお願いに弱り顔だった。


「どうしても元に戻りたいのよ」


 愛がずいっと前に出る。


「……私もお母さんと仲直りしたばっかりだし、愛ちゃんも春武と付き合い始めたばかりだし。その、困る」


 ギシかもおずおずと言う。

 それを見て、春歌は呆れたような表情で扇子を振った。


「本当に入れ替わってるのね。雰囲気が違うわ。確かに、二人の魔力は似通っている。あなた達の母親が同郷だからかな? 興味深いわ」


 しみじみとした口調で言う。

 小学六年生徒は思えぬ貫禄だ。


「ただね。私が半神の末裔と言っても、魂をどうこうする力はないわ。それはもう模造創世石レベルの現実改変なのよ」


「お手上げってこと?」


 愛が恨みがましげに言う。

 あんたが最後の救いなんだぞこれで助からなかったらどうしてくれるんだ、とでも言いたげだ。


「うーん。案があるにはあるけど、できるかな」


「教えて!」


 愛が前のめりになって言う。


「簡単よ」


 そう言って、春歌は扇子を一枚開いて、音を立てて閉じた。


「二人が合体する。そうすれば自ずと元の体に魂が戻るんじゃないかしら」


 沈黙が場に漂った。


「……合体する?」


「私達で?」


 愛もギシかも情けない表情になっている。

 互いに隠しておきたい秘密はあるものだ。


「……ギシカ」


「いや、絶対に嫌! 私の中の感情とか思いとかを全部読まれるなんて、愛ちゃんだけにはありえない!」


「けどあんた、春武と合体したじゃない!」


「それはやむなくだよ。事態が事態だった」


「今だって事態が事態よ」


 愛が睨みつけてくる。

 ギシカは俯くが反攻の鉾を収めない。


「……ほんとに逆転してるのね。体が逆でやってることが違うから見ててシュールだわ」


 呆れたように言う春歌だった。


 読まれたくない思い。

 春武へのまだ燻る恋心。



つづく

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