ギシカの戦い
ギシカは屋上へ連れ出されていた。
同級生を人質に取られ、やむなく従ったのだ。
この先この少年がどんな提案をしてくるか想像すると、ギシカは怖気にかられる。
しかし、立ち向かうという決意があった。
自分は同級生を守ってみせる。そんな覚悟があった。
それも精神の安定あってのことかもしれない。
「……で、なんの用?」
「何、君達の中で一番強いのは六階道春武だろう?」
「まあ、そうね」
「なら、春武の前に君に勝てるかを試そうと思ってね」
予想外の展開にギシカは驚いた。
つまり、ここで終わりにできる?
ギシカはハーフデビルだ。
身体能力は仲間の中でも群を抜いている。
負ける、と言うイメージは沸かない。
「いいよ。私が叩きのめしてあげる」
「話が早くていいな」
相手は腰を落とすと、構えを取った。
それなりの量の魔力と霊力が混ざりあって莫大な混合力が放たれる。
強い。
気配だけでそうと察した。
「そうだ。賭けをしよう。負けたら君は俺の言いなりだ」
「……人間を奴隷とでも思っているような最低の発想ね」
吐き捨てて、ギシカも構えを取った。
負けたら何をされるかわからない。
必死に戦うことをギシカは決意した。
つづく




