再会
「速かったわね」
千紗は俺達の到着に目を丸くした。
「なんのために陰陽連から春歌が来てると思ってるんだよ。ワープゲートを繋いでもらったよ」
「ここが一軍練習場か。興奮するな」
辰巳はすっかり野球少年である。
呑気なものだ。
愛の様子がおかしいので、俺はそれとなく気づかってみた。
「どうした? お前でも臆することはあるのか?」
「……感じるのよ」
愛は小声で言った。
「近づいてくる。それと同時に私の中から私のものではない記憶が蘇ってくる。これは……なに? 独占欲?」
身震いするように自分の身体を抱きしめる愛。
独占欲。
愛の恋人である俺には聴き逃せないワードだ。
「ちょっと調子悪いんだって。お前なのにお前のものじゃない記憶が蘇るわけないって」
「それはそうなんだけど……」
愛は戸惑うように俯く。
「それじゃ、俺は試合に集中させてもらうからな」
親父がそう言ってぽんぽんと俺の頭を撫でる。
されるがままの俺。
「後、愛の記憶についてだが……心当たりがある」
「心当たり?」
思いもしない言葉に俺は驚いた。
何故親父が愛の秘密を知っている。
「エイミーなんだけどな。身ごもる前に一人の男の魂を受け入れてるんだよ。来世では可愛がってあげるよって。その男は、ある女性の復活に執着していた。もしかすると、その相手と再び巡り合わんとしているのかもな」
俺は顎が地面に落ちるかと思った。
生まれる前からの恋人? そんなのありか?
俺に勝ち目はあるのか?
恐る恐る、愛に視線をやる。
爆弾発言だけ残して気にした様子もなく去っていく親父。
愛ははっきりとした視線を、俺に送った。
「私の気持ちに変わりはない。前世がなんであろうと、私は、私」
その一言に安堵した俺だった。
しかし、愛の前世の恋人。
一体どんな奴なのだろう?
刻一刻と悪霊憑きの気配は近づきつつあった。
つづく




