告白
「おーい、片付いたぞ、愛」
そう言って俺は廊下に向かった。
愛が目をうるませてこちらを見ている。
そんなに怖かったのか。
励ましてやろうと傍に近寄る。
「これからもお前は俺が守ってやるから安心しろ」
愛は俺の手を握って言う。
「……本当だね?」
「ああ、本当も本当だ」
「未来永劫?」
「いや、先生事件が片付くまで……」
愛は俯く。
「未来永劫じゃなきゃ、許さないんだから」
「お前、それじゃまるで愛の告白だよ」
気恥ずかしく思いながら言う。
「そうだよ」
空気が硬直した。
「これが、私の、愛の告白だよ」
愛は真っ直ぐに俺を見ていた。
俺は混乱していた。
こいつは本当わけがわからない。
「いや、だって、お前、俺を嫌って」
「だって、春武、一緒にいたら将来的に破綻しそうだし、けど、目で追っちゃうし」
愛はまた俯いて、叫ぶように言う。
「恋してんだよ!」
「熱いわね~お二人さん」
歌うように言って春歌が歩いてくる。
「じゃ、記憶消去と回収してくから、後は適当にやって」
そう言って教室に入っていく。
愛は俺を見ていた。
潤んだ瞳で見ていた。
どうすれば良いんだ?
俺は次の言葉を紡ぎ出すのに戸惑った。
つづく




