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活路を見い出せ!

 刹那は俺に特訓はしてくれたが、殺意を放つようなことはなかった。

 真剣に勝負することはなかったわけだ。

 しかし、親父は勝負師。勝負事には真剣だ。


 それが、この場の緊迫感を産んでいる。

 それは殺意と言っても良いほどのものだ。


 ここを掻い潜れるかどうかで今後の俺の人生が決まる。

 思い込むほどにそう感じた。


 さて、どう攻める。

 相手は一騎当千。

 迂闊な手は読まれる。


 どう崩す。どう崩す、敵の居城を。

 二本の短剣をだらりと下げただけの親父が城のように頑強に見える。


 修練の経験なら俺にもある。

 それを本番に活かす手は――


(ある!)


 即座に縮地を使い、相手の懐に潜り込む。

 そんな単調な攻めを続けるのか。そんながっかりしたような表情が見える。


 俺はその瞬間、振り上げられた短剣に肘を打ちたいた。

 六階道家の秘技。相手に魔力を与えることで内暴走を引き起こす。


「鉄破孔!」


 短剣が肉に食い込む刹那、その刀身が爆発した。

 俺は親父を睨んでいる。親父も俺を睨んでいる。

 重々しく、どっしりとした様子で。


「一太刀入れれば勝ちというルールのはずだったんだがな」


 そう言って、親父は苦笑する。

 俺も、苦笑した。


「偉いぞ、春武。お前はもう、戦士だ」


 俺達の親子喧嘩はここに終幕を迎えたのだった。



つづく


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