霊力と魔力の混合術
「一つ案があるんだけどな」
岳志は、六華の護衛に付いて東京に滞在している刹那にソファーに寝転がってもたれかかった。
「なーにー?」
「霊力と魔力って重なり合うと跳ね上がるんじゃないか?」
刹那は読んでいる本のページを捲る手を止めた。
「そういえば春武達言ってたね。悪霊憑きが霊気を覚えたら総合力が跳ね上がったって」
「うん。霊力と魔力は重ねがけする効果があるような気がするんだ」
「けど私達、霊力って奴に心当たりないなあ」
「そうなんだよな。けど辰巳と翔吾って子達は霊力使いなんだろう?」
刹那は本を閉じて顔を上げる。
「教わったってことは教われるってことかな?」
「試してみる価値はあると思う。と言っても、精霊退治でレベルを大幅に増した時みたいにはいかないとは思うが」
「春武が愛なら天然の魔力を持ってる。味方戦力の補強としては十分だよ。もっとも」
刹那は俯く。
「子供達をそこまで使って良いのかって話はあると思うけど」
「最悪、刹那が習得できれば良い。刹那も天然の魔力持ちだもんな」
「よし、そうと決まれば動こう」
「明日から俺も出張だ。今日のうちに決めよう。春武に連絡してくれ」
「電話番号知らないの?」
「授業中だろ?」
「ラインは?」
岳志は黙り込む。
刹那は呆れたような表情になる。
「そういうとこだと思うよー。未だに心開かれてないの」
「……ごめん」
小さくなるしかない岳志なのだった。
つづく




