なにが起こっているんだ?
ネットで中継を見ていた千紗は、その画面が硬直状態にあることを確認した。
ぱっと見ではネット回線上の遅延と思われるだろう。
SNSを開いても現在の混乱は漏れ伝わっていない。
なにが起こっているんだ? というのが千紗の抱いた疑念だった。
こんな大事、大騒動になっていてもおかしくはない。
その時、千紗は肩をぽんと叩かれた。
「六華さん!」
巨人軍のベンチに都知事が。それだけでちょっとした騒ぎだ。
「大丈夫よ。彼女の後釜がいるから」
「彼女?」
「陰陽連の秘蔵っ子、紗理奈の娘がいるからね」
なにが起こっているんだ?
改めて思う。
得意の探知を使ってみると、電波に絡みついている魔力を確認した。
その根本に目をやる。
黒髪の美少女が、目を閉じ、扇子を前に差し出しているのが見えた。
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俺は外に出た勢いそのまま、人狼だった男を降ろして駆け始めた。
辰巳も戦っているはずだ。
一刻も速く加勢しなければ。
縮地を使って時短する。
すると、腹に手をやって蹲っている辰巳と、その背後で口元を抑えている愛と再会した。
その向かい側にいるのは初老にも見える中年男性。
先生だ。
俺は確信していた。
しかし、あの辰巳に近づくだけでなく一撃を喰らわせるとは。
侮れない。
状況的に、そう察していた。
先生は拳法の構えを取って、呼吸を整えている。
つづく




