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案外フランクな人だよ

「案外フランクな人だよ、部長は」


 ランニングをしつつ辰巳と会話をする。


「気難しそうに見えたが」


「口下手なんだ」


 苦笑交じりに辰巳が言う。


「いつも一言二言足りないのよね」


 一緒に走っていた翔吾も同意する。


「それで、合体についてだが」


 辰巳と翔吾は視線でにこやかに会話する。


「同じチームとなればお前は身内。教えても問題なかろう」


 そう辰巳はにっと微笑んだ。

 俺は思わず微笑み返す。


 そうこなくては。

 練習が終わった後、薄暗がりのベンチで四人で腰掛ける。


「まずな、血縁者ってのはそれだけ霊気の気質が近いんだ」


「ほむ」


「例えば私と辰巳は血液の半分が同じ家系。ちょっと調整すれば一緒にできちゃうわけ」


「調整って、何をだ?」


 俺は問う。


「霊気、だな」


 淡々とした口調で辰巳は語る。


「その霊気ってのの出し方、俺、知らないぜ」


「魔力ってのを使ってるんだろう? 元は一緒かもしれない」


「ふむ」


 俺は立ち上がると魔力を展開した。

 大地が震える。


「ギシカ、お前もやれよ」


 ギシカは渋々と言った体で立ち上がり、魔力を展開する。


「己を纏う魔力の色を近づけるイメージだ。そうすれば、自然とそのうち混ざり合う」


 俺とギシカは視線を交わす。

 そこは幼少期から魔力の使い方を叩き込まれた者同士、阿吽の呼吸がある。

 俺達の魔力はどんどん似通った性質のものとなっていった。


「やっぱやだ」


 ギシカはそう言うと、座り込んだ。


「春武と合体なんて、絶対にヤダ」


「駄々っ子みたいなこと言うなよ……」


 俺は呆れ混じりに言う。


「だって必要ないじゃん。現状の戦力だけで十分だよ」


「いや万が一がだなあ」


「それに頻繁に使いたがるでしょ、一度覚えたら。そんなのやーだー」


「人を覚えたての猿みたいに言うな」


「えっち」


「意識してるお前がむっつりなんだ!」


 ああ、お互い頬を赤くして何思春期してるんだろう俺達。


「……まあ、春武の魔力量ならそれもさもありなん」


 辰巳は半ば呆れたように言う。


「先生だってそんな規模の霊力持ってなかったぜ。俺達の前で本気を出してたかはわからんがな」


「俺のは天性のだから誇るもんでもないよ」


 戸惑いつつ答える。

 親戚に近い連中から魔力量を褒められたことは何度もあるが、外部から褒められたのは初めてだ。


「昨日は契約だろ? いつから投げるんだ、岳志選手は」


「来週頭。場所は、東京ドーム」


「先発か?」


「そのはずだよ」


「そうこなくっちゃな」


 辰巳はウキウキとした様子で立ち上がると、俺の肩を抱いた。


「俺達で井上選手を守るんだ。やってやろうじゃないか」


「そうだな」


 俺は苦笑交じりに言う。


「あんた達で合体すれば良いのに」


 ギシカが渋い顔で言う。

 それを想像すると、ギシカが俺と合体することに対して覚える抵抗感も少しは納得がいくのだった。



つづく

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