初めての敵
迷宮を慎重に進んでいく。
地図を見る限り広大な迷宮だ。
一度の間違いが致命傷になりかねない。
そんな中で、キィキィと聞き慣れない声を聞いた。
炎を浮かべた手を持ち上げて、照らしてみる。
目玉に羽の生えた化け物が、空中を飛んでみた。
相手を刺激しないように慎重に抜刀。
臨戦態勢へと移る。
ついに化け物まで出てきたか。
最近の夢はリアルだなあ。
化け物はこちらに気がつくと、襲いかかってきた。
単調な直線行動。
(これは……行けるのでは?)
短刀を投擲する。
それは、相手の体に沈んでめり込んだ。
相手の体が力なく地面に落ちた。
思わず、地面にへたり込む。
本格的にロールプレイングゲームじみてきたなと思う。
俺、そんな悪いことしたっけと思う
確かに高校は中退したし親の期待は裏切ったけどそれでも自立して立派に生活してきたつもりだ。
それとも、この世界の俺はキャラクターで、それを操るプレイヤーが別次元に存在しているのだろうか。
馬鹿げた考え、現実逃避だ。
短刀を拾い、再び歩き出す。
目的地は近い。
唸り声が近づいてくる。
嫌な予感がしつつ、歩いていく。
最後の部屋。
そこには、緑色の肌をした、筋骨隆々としたオークが、斧を持って闊歩していた。
「えっ」
短刀であれと戦えってマジ? 正気を疑う設定だった。
続く