チーム完成
そうして俺達はアリスのパフェ屋で決起集会を行うことになった。
「俺は六階道春武。戦闘担当だ」
パフェを齧りつつ自己紹介する。
「私は愛・キャロライン。治癒魔術なら任せて」
「……井上ギシカ、その、一応戦闘担当」
「千紗。頭脳労働と探知担当ね。その先生ってのの癖もそのうち教えてもらうから」
辰巳と翔吾は顔を見合わせた。
「……都知事の娘がいる」
「エイミーの娘もいる」
「なんかとんでもないことになってきたな」
しみじみと言う。
そして、意を決したように前を見た。
「俺は辰巳。戦闘担当」
「私は翔吾、撹乱捜査担当、かな」
全員がコップを手にして乾杯する。
「よろしく」
「よろしくね~」
雑談が始まる。
千紗は先生について情報を引き出しに掛かったし、愛は愛で翔吾との仲を詰めようとする。
アリスはお菓子の盛り合わせを持ってくると、微笑ましげに笑って戻っていった。
ああ、勝利の女神の後ろ髪が行ってしまう。
そんな中、割って入ってきたのはあまりにも見慣れた顔だった。
刹那だ。
「刹那、何しに来たんだよ」
「記憶に関することだと訊いてね」
涼やかに言う。
「あ、お姉さん。春武の野球の応援席にいた……」
辰巳が興味深げに言う。
「ちょっと君の記憶、見させてもらうよ」
そう言った時には、刹那は辰巳の頬に手を添えていた。
辰巳の顔が真っ赤に染まる。
「なるほどなるほど、こういう人かぁ」
そう言って、次は千紗の頬を撫でる。
魔力が千紗の中に流れ込んでいくのがわかる。
千紗はにっと微笑んだ。
「把握しました。助かります」
どうやら、記憶の共有を可能としたらしい。
陰陽連の面々はその辺り万能っぷりを発揮する時がある。
「それだけに来たのか? ゲート使える紗理奈でいいじゃん」
「今日は連絡もしにね。春武、覚悟しなよ」
「ん? 俺?」
今日一日だけで結構賑やかしかった気がするのだが。
「君のお父さんが帰ってくる」
俺は喉にパフェを詰まらせて、思わず窒息しかけた。
それほど、意表をついたニュースだった。
つづく




