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辰巳

 果たして、辰巳は隣接した市の中学のグラウンドで待っていた。

 俺の顔を見て、不敵に微笑んで片手を上げる。


「翔吾ー、ご苦労!」


 翔吾は俺を一瞥すると、駆けて辰巳の傍に移動した。


「気を付けて、辰巳。こいつら、先生のこと探ってる」


「ほう。ということは春武もやっぱり使ってたんだな。霊的ドーピング」


 俺はどきりとした。

 それは、自分が霊力……すなわち俺達の言うところの魔力を駆使しているということの告白に等しかったからだ。


「俺は野球に魔力を使ったことはないよ。それはフェアじゃないと思ってる」


「ふうん」


 辰巳は気にした様子もなく天を仰ぐ。


「けど先生は言っていたぜ。信仰を集める人には霊的な力が集まるって。それを無意識のうちに使うことでヒーローは怪物になるってな」


 辰巳は俺をまっすぐに見る。


「俺はその現象を意図的に使っているだけだ。何が悪い?」


「そりゃ、そうだけど。俺は使わないよ、そんな力」


「そんな力、か」


 辰巳は鞄から硬式球を取り出す。


「お前の実力の底を見てやろうじゃないか」


 そう言うと、辰巳は球を投じた。

 秒に満たないタイミングで俺を貫通しようとする球。

 俺は無意識のうちに炎の障壁を生み出すことで無事だった。


「やるねえ」


 そう言うと、辰巳は鞄を担いだまま高々と跳躍した。



つづく

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