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少女の会話記録

 画面には一人の少女が映っている。

 まだ年端もいかぬ少女だ。

 物心ついているのかいないのか。

 幼いとすら言える少女だった。


「それじゃあ、お父さんは貴女に名門高校に入るよう期待してるのね?」


「うん」


「いつからだったか覚えてる?」


「……ずっと前から。気がついた頃から言ってる」


「お父さんたちは仲良い?」


「喧嘩したり、くっついたりで、良くわからない」


「喧嘩の頻度は多い?」


「お父さんはあまり帰ってこないけど、帰ってきたら大抵……仕事が忙しくて滅多に帰ってこない」


「そっか」


 沈黙。


「お父さんとお母さん、好き?」


「大好き」


「だったら仲良くしてほしいね?」


「うん」


 沈黙。


「お母さんはいつも怒鳴るの?」


「……」


「お父さんも?」


「それは、私が悪いから、私に問題があるから」


「そうお父さん達は言うの?」


 沈黙。


「仲の良い男の子はいる?」


「前はいたけど、今はいない」


「どうしていなくなったの?」


「お父さんが怒って、相手の家に怒鳴り込んだから……それから男の子は、私のこと避けてる」


 沈黙。


「アリエル、困る。この子の両親、ちょっと勝手過ぎる。習い事もギチギチみたいだしその上でこんなピリピリした環境……潰れちゃうわよ」


「だからあずきに聞き取りを依頼したにゃ。この子には柱が必要にゃ。以前のあずきみたいに、また母親をやる日が来たのにゃ」


「……自分の実の娘もいないのに?」


「そう思ってるなら早く岳志への未練を忘れて男捕まえるにゃ」


「み、み、み、未練なんかないもん。あ、千紗ちゃん、ちょ~っと待っててね、録画切るから」



 画面が揺れ、暗闇になった。



つづく

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