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久々の実戦にゃ!

 アリエルは探りとっていた。

 一つの気配。

 助けを求めている。

 今は安堵に包まれているがいつこれが崩れるかという不安を抱えている。


 人類全員が自分のファン。そう豪語するアリエルにとってそれは助けなければならない対象だった。

 住宅街の屋根から屋根を跳躍していく。

 その時、空から一筋の流れ星が舞い降りてきた。


 消えることなく、アリエルを射抜くように落ちてきた。

 アスファルトの地面で足を止める。

 そして、天から落ちてきた一人の男、いや神を見上げた。


(神格――)


 纏う魔力だけでそうと確信できる。

 その対象が、眼の前にいる。


 神は不遜な顔でアリエルを見下ろした。


「ご苦労だった、天使アリエルよ。後は俺に処分を任せておけ」


 アリエルの脳裏に、ふと、岳志の言葉が蘇った。


「あんた、ヴァイスにゃ?」


「だとしたら、どうした」


「模造創世石を使った人間を殺す気にゃね?」


「ああ、そうだが? 宿主ごと消すのが安全だろう」


 何事もないことであるかのように男は言う。

 アリエルは歯ぎしりした。


「人類は全員私のファン。それを殺すなら私に一言あるべきにゃ!」


 ――ああ、啖呵を切ってしまった。

 一瞬そんな後悔が脳裏をよぎったが、発した言葉は戻らない。


「つまりそれは反逆の意思か? 天使アリエル」


 機械的な表情でヴァイスは言う。


「……私が回収する。それで良しとしてもらいたいにゃ」


「反逆の意思だな?」


「だから、私が回収するからここは穏便に」


 しばらく、見つめ合い。

 神クラスの魔力を持つアリエルでも本物の神相手となると少々手こずる。

 溜息を吐くとヴァイスは槍を召喚して構えた。


「人界に染まった哀れな天使よ。ここで朽ちるが良い」


「……久々の実戦にゃ!」


 苦笑しつつ、炎を呼び出す。

 こっちの方が自分にはわかりやすいか。

 そんな感想に至った。



つづく

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