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宿敵、再度

 刹那は光を纏って最後の幻覚を破った。

 そこに立っていたのは扇子を口元にやって微笑む陰陽師が一人。

 思わず目を見開く。

 安倍晴明だった。


 倒したはずだった。

 何故生きている。

 しかし、生きているからには倒さなければならない。


 あれから修練は積んだ。

 岳志とエイミーの力を借りねば倒せない相手だった。

 けど、今なら自分一人でも倒せる。

 そう信じて、刹那は呼吸を吸って腰を落として構えを取った。


+++


 エドゥルフは駆けるのを辞めた。

 待っていたのは肉塊だった。

 肉塊は蠢いて、いくつもある目でエドゥルフを見る。

 その目に理性があることに気がついて、エドゥルフは進軍を止めたのだ。


「エドゥルフ殿か……」


 その声にエドゥルフはハッとする。


「悪魔の長老殿か? 変わり果てた姿に……」


「全てはシュヴァイチェに逆らったがゆえの末路よ」


 嘆くように言う長老だった。

 そして長老は、黒いオーラを纏うオーブを取り出した。


「このオーブはこの空間の中枢だ。なんとか取り出すことに成功した。しかしの。私の力では分解できない」


 エドゥルフは慎重にオーブを受け取る。


「あたうか?」


 願うように長老は問う。


「やるしかあるまい」


 複雑な呪法によって作られたオーブだ。

 分解するとなれば相当な技術と時間が必要になるだろう。

 一刻も争う現状、時間をかける暇はない。

 しかし、これが一番の近道である気がしていた。



つづく

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