着々と進む
ギシニルが協力すると申し出てきたのは九月も近い八月の終わり頃だった。
決断が遅れただけで、こうなることは既定路線だっただろう。
刹那もエイミー邸で待機している。
次に悪魔達が攻めてきた時には六大名家収束状態を遺憾なく発揮する模様だ。
アウラとは一悶着あった。
「貴女のことは気に食わないけど」
刹那は言う。
「この戦いが終わってからにしてあげる」
「お互い生きておったら良いがのう」
洒落にならないことを言うアウラである。
そして俺は、アウラを影に入れてもすぐに正気に戻れるように訓練をしていた。
徐々に、徐々に正気に戻るスピードが早くなっていく。
天界の協力も得られることになった。
エドゥルフが参戦してくれることになったのだ。
もっとも、天界はまだ様子見段階で、戦力をどこまで投入するかはシュヴァイチェの出来次第といったところらしい。
決戦に向けて、順調に準備は進みつつあった。
そんな中で、明るいニュースもあった。
まず、あずきの声優活動第二弾がスタートした。今回も評価は上々。アリエルとタッグを組んで、また知名度が上がった形だ。
そして俺は、軟式野球大会で思わぬ相手と対峙していた。
鬼瓦だ。
鬼瓦が、ファーストベースを守っていた。
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「我が身の統合……完結せん」
闇の中に声が響いた。
悪魔の長老がびくりと肩を震わせる。
「神の身体と悪魔の身体。相反する力がこの身に一つになったのだ」
長老は震え始めている。
「地上侵攻……開始せん」
そのおどろおどろしい声は、建物の中に低く低く響いた。
つづく




