竜族の姫君
門の奥には沢山の竜が寝そべっていた。
戸惑うように、首をもたげてこちらを見る。
「封印が解かれる日が来たか……」
「外界はそんな物騒なことになっているのか?」
「ああ」
俺は答える。
「創世石を求めてある神が堕天した。その神は悪魔を支配し人間界に流入しようとしている」
どよめきが起こる。
「おお……」
「創造神殺しを狙う者が現れようとは、なんと恐れ多い」
「我々は貴殿に力を貸そう」
「ならば、妾の出番だな!」
活力に満ちた声が響いた。
しかし、その声に俺は呆気に取られた。
あまりにも幼すぎるのだ。
竜達が傅く。
その前を、悠々と一人の少女が歩いてきた。
鱗の肌に緑とピンクのウェーブの髪。
口からは犬歯が覗いている。
「竜族の姫、アウラ・ロゼ・ラフティーノ」
両手に腰を置いて胸を張る。
「そなたの力となろうぞ!」
「……いや、そこらのでかい竜一匹じゃ駄目かな?」
あまりにも頼りない外見すぎる。
「妾は竜族の姫じゃ」
滑稽そうにアウラは言う。
「姫の決定は絶対じゃ!」
そう言って、アウラは俺を指した。
なんかパワーアップを狙ってきたはずなのにとんでもないことになってきた気がするなあ。
アリスはというと、何故か目に対抗心を燃やしていた。
年少組同士思うところがあるのかもしれない。
つづく




